『豊臣兄弟 天下を獲った処世術』
著:磯田道史
2025年・文春新書1514

豊臣兄弟について勉強する為に手に取った本。現代のビジネスにも通ずる処世術、として書かれていて読みやすい。
はじめに、に書かれている、永続が大事な日本で一からのし上がった人物、という表記に、そうか、そうだな、すごいなと今さらながらに思う。

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各章はこんなタイトルで進む。

第1章 豊臣兄弟の謎
第2章 類まれな経済センス
第3章 強さの秘密
第4章 天下人への道
第5章 秀吉の「分身」


秀吉の姓、羽柴は丹羽長秀の羽と柴田勝家の柴で羽柴。
弟の名は、信長の長と秀吉の秀で長秀。後の小牧・長久手の戦いの最中に秀長となる。
なんていうのも、今まで日本史の一人物の名前として認識していた所から、人の思惑が浮き上がってきて面白い。
さらに、秀長になったのは、信長の長・秀吉の秀、という順だったのを逆転させて、もはや織田家の下ではないという意思表示とも取れる。なんて書かれた日には、わー、すごい、となる。

無茶をしがちな兄・秀吉。
そんな兄の侵略戦争のアフターケアに秀長が奔走、侵略先の現地の人たちを大切に扱った、愛された秀長の葬儀には20万人が集まった、などなど、歴史の記述から浮き上がってくる人間が面白い。

秀長は秀吉の分身。後継者としても考えられていた。
彼の死後、豊臣家は転げ落ちるように没落していく。
という記述から、ああ、この人は最強のバランサーだったのだな、と思ったりした。

この本は、信頼できる資料、という事にこだわっていて、というかこの手の本を読むのが初めてに近いので、歴史の記述に信頼できる資料を大事にするのはあたり前なのかもしれないけれど、資料に当たり過去を考える、という仕事、すごい、と思った。

ちなみに一次資料の数は秀吉が7000くらい、秀長が130くらいと、圧倒的に量の差があるという。
資料が少ない分、真実がより分からない分、秀長のドラマは自由に描けるのだろうな、なんてことも思った。
ドラマ『豊臣兄弟』では、至る所に出現する秀長。今後もよりドラマが楽しみになる一冊でした。