『ブゴニア』
原題:Bugonia
監督:ヨルゴス・ランティモス
製作:2025年/イギリス、アイルランド、韓国、アメリカ
上映時間:118分


2003年の韓国映画『地球を守れ!』のリメイク作品。
陰謀論に染まりきった男二人が、ある会社のCEOを、地球を侵略する宇宙人だと思い込み拉致、様々な拷問を繰り返す。
あからさまに言動がヤバい誘拐者たちに「自分は人間だ、宇宙人じゃない」と必死の弁解を繰り返すCEO。
対話し、すれ違い、エスカレートしていく拷問。
脱出を試みるCEOは無事に逃れることが出来るのか…。

というあらすじ。
誘拐されるCEOを演じるのはエマ・ストーン。『哀れなるものたち』に続きヨルゴス・ランティモス監督とのタッグ。かなり体当たりな演技で、未見の『哀れなるものたち』にも興味が湧いた。


映画は始終ハラハラする作りで手に汗握る雰囲気なのだけれど、ジャンルに「コメディ/SF」と表記されるように、内容がぶっ飛びすぎててもはや何を見せられてるのか分からない。
全く考え方が異なる人たちの会話はもうホントに異星人との会話のようで、着地点が見えなすぎてすごい。
途中から陰謀論に話を合わせ始めるエマ・ストーンだが、合わせたら合わせたでヤバい事になる八方塞がり。

基本的にエマ・ストーンに寄り添って観る人が圧倒的に多そうな映画だけれど、そこから「おいおいおい」って展開に持っていかれて、ラストシーンはもう笑う他ない所に辿り着く。
もしかしてこのギャグやるための映画!?とさえ思ってしまうこの作りは、やっぱりコメディなのかもしれない。

とはいえ、「人は信じやすい事柄を真実とするよね」という圧倒的に皮肉なエッセンスがモリモリに盛ってあって、正しさなんてどこにもないんだな、「正しい」と盲信する事ほど危険な事はないんだなと、深く心を抉られる映画でもあり、観るものの常識を揺さぶってくる面白い作り。
何事も、疑ってかかりたくなっちゃう映画。

ヨルゴス・ランティモス監督の映画は昔『ロブスター』を観て、「なんじゃこりゃ」と思った記憶があるのだけれど、ちょっとまた観たくなりました。
ランティモス監督はギリシャの人。
北欧の映画はなんか狂気をはらんだ物が多い、と最近思ってましたが、今回はギリシャの狂気に出会えました。

元となった映画『地球を守れ!』も気になる…。こうしてどんどんと観たい物、読みたい物が増えていくんですねぇ。

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