『ババヤガの夜』
著:王谷晶
2020年/河出書房新社
暴力が趣味、という主人公・新道依子。
ある日暴力団の構成員相手に暴力沙汰を起こし拉致される。
と、そこの組長に一人娘の護衛を任される、というお話。
バイオレンスな表現がもりもりなのだけれど、一人娘の護衛に入ってからは結構
「決められた人生から逃れられない悲哀」みたいな物が描かれていて染みるストーリー。
暴力から逃れられない運命の一人娘と、暴力しか知らない主人公。その二人の心の交流が切なく描かれる。結末がどこに行き着くのかハラハラドキドキしながら読める。
一人娘の母は昔組員と駆け落ちして姿を消しており、父は逃げられた妻への執着をもろに娘に向けていたり、娘の婚約者は拷問大好きの激ヤバ野郎だったり、もう環境が詰みすぎていて悲しい。そこから逃れる術のない一人娘の護衛に、暴力キレッキレの主人公・新道がつく。
この「私はあなたの剣です」感がたまらねぇ。
物語は読んでいて発生する「思い込み」が「うぉいおいおい」と覆される展開も用意されていて、思わず読み返してしまう。想像力って面白い。言葉で作られた世界が一気に書き換わる快感。
私はAudibleにて、甲斐田裕子さんの語りを堪能。ハードボイルドな世界観がより強固な物になっていた。
作中語られる鬼婆のエピソード、タイトル『ババヤガの夜』が内容と響き合って味わい深い。

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