『FEVER ビーバー!』
原文:Hundreds of Beavers
監督:マイク・チェスリック
製作:2022年/アメリカ
上映時間:108分

男が、惚れた女と結婚する為に、雪原で数百匹のビーバーを狩る為に奮闘する。

なんだそれなあらすじだが、なんだそれなのはあらすじだけではない。
アニメと実写を織り交ぜた、といっても決してスタイリッシュではない、むしろ雑なコラージュみたいなオープニングから始まり、変わらずどこか隙のある雪原での行動、遭遇する動物たちはのきなみ着ぐるみ、そして台詞のないサイレント映画仕立て。
情報が渋滞しているのに何一つ中身のない出だしに正直「これずっと続くのツライかも…」と思った。
しかし、雪原での体を張ったアクション、着ぐるみとの格闘、その繰り返しを見つめるうち、「あれ…おもしろいぞ…」という感覚に変化してくる。とりたててストーリーが展開したわけでもないのだが、なんだか引き込まれる。
雑な合成だったりするけれど、確実に撮影が大変だったことを感じさせるアクション。アクションと呼ぶより、体を張ったギャグ、という方が正しいかもしれない。
その大変そうさに、CGに慣れきった脳みそが、どこか新鮮さと、懐かしさをキャッチする。過酷さ。労力。そんな物は感じさせないような顔をしているスクリーンに映る人たちは、確実に大変な思いをしている。
チャップリン、バスター・キートンなどを思わせるアクションに、生身の愛おしさを感じる。

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雪原での生活に適応し始めた頃、映画にストーリーらしきものが生まれる。
雪原にあるお店を発見する主人公。そこではビーバーとかウサギを持っていくと、数に応じて色々なアイテムと交換が出来る。
このお店の娘に一目惚れした主人公は、彼女との結婚を目指し、果てしないビーバー狩りの生活に身を投じる事になる。
書いていてもなんだこれ、と思うが、これがこの映画のストーリーだ。
ストーリーがこの辺に来る頃には、観客の受け入れ態勢もバッチリ整っているから、「なんだよそれ」と思いつつ楽しく観れる。
ビーバー狩りはなかなか進展しない。
同じような凡ミスを繰り返し、ちょっとずつしか進行しないストーリー。
このもどかしさ、トライ&エラーな感じ、何かに似てると思ったら、ゲームだった。
『風来のシレン』とか『モンスター・ハンター』とか、とにかく死んで覚える系のゲームをプレイしてる感にすごく似てる。
時にはコントローラーを放り出したくなりながら、「なんだよそれ!」とか思いながら夢中で遊んだあの感覚を、スクリーンの中の人が味わってる。それがこちらにも伝わってくる。
少しずつ少しずつ前進する主人公。
タイトルは『FEVER ビーバー!』だが、それほどビーバーにクローズアップしないな…と思っていると、後半、すごい勢いで物語が加速する。
ビーバーが本当にフィーバーする。
古のアクションゲームによくありそうな罠をくぐり抜けながらビーバーと戦う主人公。押し寄せるトンデモ展開の連続。相変わらず体を張りまくる主人公。
ノンストップビーバーアクションが繰り広げられ、往年の名画のオマージュがふんだんに盛り込まれ、やがて辿り着くクライマックスの音楽。
モンハンでテーマ曲が流れる時くらい、ワクワクした。
なんだこの映画、と思いながら、これはとても大切な一本に出会った、と思わせてくれる作品でした。なんだこれ。