『ベシー・スミスの死』
原題:THE DEATH OF BESSIE SMITH
作:エドワード・オールビー
初出:1959年

ベシー・スミスは1937年に亡くなった黒人歌手。自動車事故の為に死亡したが、人種差別で白人病院から治療を断られた結果だったと伝えられている。

そのベシー・スミスの死について描かれる戯曲。オールビーの作品にしては「訳分からん」部分が少ない。
ただ、ベシー・スミスの死、について直球で描かれると言うよりは、彼女が運び込まれた病院が、いかに仕事が適当だったか、が描かれる。

看護婦はインターンと雑役、二人の男を翻弄する事に夢中。インターンは彼女に夢中。雑役は彼女の言いなり、という具合の病院で、その病院には現在市長が入院している。
どんな患者よりも市長を優先すること、といったほのめかしがあったりする。

また、随所に黒人差別的な要素が見られ、ベシー・スミスが最初に運び込まれる病院は、「ここは白人専用の病院だ」と言って彼女の治療を拒否。

社会の理不尽を不条理な展開で描いているエドワード・オールビーだが、この作品で描いた時代は、わざわざ不条理演劇にしなくても十分に理不尽だったのかもしれない。


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【収録】
『エドワード・オールビー全集2』
訳:鳴海四郎
昭和49年/早川書房


【ネタバレあらすじメモ】

第一景
酒場でジャックとバーニーが久々の再会。ジャックはニューヨークに行ってきたのだという。

第二景
病気の父と看護婦の娘。父は黒人のレコードがかかっているのが気に食わず機嫌が悪い。娘は病院に車で送っていって欲しいがそれもしてくれない様子。
父と市長が親友らしいという話。なぜ彼氏に送ってもらわないのか、と父。娘は出かけていく。

第三景
ジャックは鏡に向かって話す。どうやら歌手のベシー・スミスと仕事をしているらしく、彼女に話しかけている様子。そろそろ休養から復帰しよう、と。一場の出来事のすぐ後の様子だ。

第四景
看護婦と雑役。雑役は黒人。雑役は市長と話したい、出世したいと話す。看護婦は彼に現実を突きつける。肌を漂白しろとか、北部に行けば自由だ、とか言う。雑役にタバコを買ってくるように頼む。

第五景
先程の看護婦が別の病院の看護婦に電話する。
ジャックが車で事故を起こす。ベシーが…。
そしてまた看護婦の電話。

第六景
インターンの医師が看護婦を口説く。
雑役が帰ってくるが、看護婦は彼を引っ込ませる。
看護婦は自分をひどく侮辱したインターンに怒るが、なんだかんだ、今夜も車で送ってもらうことに。

第七景
ジャックが大怪我をしたベシーを第二の看護婦の病院に連れて行く。黒人差別がひどくて取り合ってもらえない。

第八景
雑役が帰ってくると、看護婦はインターンにコーヒーを買いに行かせる。看護婦は雑役に、雑役と看護婦との結婚はほぼ決まっている、と告げる。雑役は収入が高いらしい。
ジャックが飛び込んでくる。看護婦は「ここは白人専用の病院」と応対するが、戻ってきたインターンは話を聞き、雑役を連れて外に向かう。
ジャックは看護婦に事故の様子を語る。ベシーの片腕はもげかけ、腹にドアがめり込んでいるという。飲酒運転だった。
インターンが戻る。彼はジャックに問う。死んでいると分かっていて連れてきたのか、と。
看護婦は事実を受け止めきれず、半ば狂ったように歌う。インターンは彼女をひっぱたき奥へ。
死体を運び込む事に呆然とする雑役。
幕。