『ヂアロオグ・プランタニエ(対話)』
作:岸田國士
発表:1927年4月1日
岸田國士の戯曲の中では上演をよく目にする女性二人芝居。上演すると10分くらいか。
由美子と奈緒子が、一人の男性を巡った駆け引きを繰り広げる。
やりとりの情報を拾って信じていくなら、男は由美子と結婚したい様子で、奈緒子は片思い的な位置にある。
奈緒子がどの程度「嘘をついているか」「由美子の事を想っているか」が、台詞に見えない部分に流ているようで、その辺の匙加減によって色々な姿に変わりそうな人間関係の機微が面白い。

【収録】
『岸田國士全集3』
『青空文庫』
【ネタバレあらすじメモ】
由美子が奈緒子に話を切り出す。
「町田さん」が奈緒子の家に度々行っているんだって?と。
奈緒子は、あなたの家に行くようにね、と返す。
町田は由美子の兄の友達だという。
奈緒子は相談を持ち出す。
「町田さん」は、二人のうちどちらかを想っている、と。町田をどう思うかと奈緒子が尋ねると、由美子は「考えたことがない」と返す。
奈緒子は町田の事が好きだと打ち明ける。彼はそのうちどちらかの家に来なくなる、ならば向こうで選ばれるのは癪だから、こっちで先に決めておこう、と花を出し花びらをむしりはじめる。あなた、わたし、と。
この決定は絶対にしよう、仮にこちらで決めた方を彼が拒んだら、もう一方も彼を拒むのだ、と。花びらは減っていく。
由美子は「あの人がうちの母に何か言ったらしい」と切り出す。奈緒子は「わたしの母にも」と返す。二人ともなんとなく結婚を匂わされている、らしい。
由美子は「結婚の予定がないなら当分外へ決めないでくれ」と母が言われたと告げる。
花びら、どっちかよく分からなくなる。
由美子は町田に「二人の奥さんを持つつもりか」と言ってやる、と言い出し、泣く。
町田はどっちを好きなのだろう、という話になると由美子は「あなたに決まってる」と言う。続いて由美子と奈緒子、どちらがより町田を好きなのか、という話に。
長い沈黙がやってくる。
「もし町田が私と結婚したらどうする?」
と互いに聞く。
由美子は、死んでしまうと答え、奈緒子は、町田をきっと殺す、と答える。
またしても長い沈黙。
奈緒子は、もし町田を殺したら、あなたは私を恨むだろうね、と由美子に。
由美子は、恨むが、許したい気もすると答える。
由美子は、私が結婚出来なくて死んだらあなたどうする、と奈緒子に。
奈緒子はしばらく答えないが、平気だと返す。あなたの分まであの人と生きる、と。
でもきっと、口で言うだけだな、と続ける。私たちは、一人の男のために生きたり死んだりしなきゃいけないのか、と漏らした後、さっきのは嘘、町田がうちへ来るのは、あなたの友達だから、と告げる。
なぜそんな嘘をと由美子が問うと、あなたがあんまり幸せだから、と返す奈緒子。
また沈黙。
由美子が「わたしは本当に幸福か」と漏らすと、奈緒子はそうだと返す。幸福になれることが幸福ならば、そうだと。
由美子は「あの人私のこと何か言ってた?」と聞く。言っていた、と奈緒子。あの人にもそんな事を聞かれた場合、何と答えてよいか分からないから、言うべき答えを教えてくれと奈緒子は言う。
困る由美子。
奈緒子は、あの人があなたを愛していることは確かだ、だが男は何人もの女を同時に愛することが出来るものだ、と由美子に言う。
女が一人の男を選んで置くなど無意味だ、求められた手を差し出すか否かの時にしか、一人の男と向き合うことは出来ないのだ、と漏らす。
由美子は奈緒子の変な様子に、どうしたのかと問う。
どうもしない、と空を見上げる奈緒子。鳥が飛んでいる。
作:岸田國士
発表:1927年4月1日
「あたしたちは、一人の男の為めに、生きたり、死んだりしなけれやならないのか知ら……。」
岸田國士の戯曲の中では上演をよく目にする女性二人芝居。上演すると10分くらいか。
由美子と奈緒子が、一人の男性を巡った駆け引きを繰り広げる。
やりとりの情報を拾って信じていくなら、男は由美子と結婚したい様子で、奈緒子は片思い的な位置にある。
奈緒子がどの程度「嘘をついているか」「由美子の事を想っているか」が、台詞に見えない部分に流ているようで、その辺の匙加減によって色々な姿に変わりそうな人間関係の機微が面白い。

【収録】
『岸田國士全集3』
『青空文庫』
【ネタバレあらすじメモ】
由美子が奈緒子に話を切り出す。
「町田さん」が奈緒子の家に度々行っているんだって?と。
奈緒子は、あなたの家に行くようにね、と返す。
町田は由美子の兄の友達だという。
奈緒子は相談を持ち出す。
「町田さん」は、二人のうちどちらかを想っている、と。町田をどう思うかと奈緒子が尋ねると、由美子は「考えたことがない」と返す。
奈緒子は町田の事が好きだと打ち明ける。彼はそのうちどちらかの家に来なくなる、ならば向こうで選ばれるのは癪だから、こっちで先に決めておこう、と花を出し花びらをむしりはじめる。あなた、わたし、と。
この決定は絶対にしよう、仮にこちらで決めた方を彼が拒んだら、もう一方も彼を拒むのだ、と。花びらは減っていく。
由美子は「あの人がうちの母に何か言ったらしい」と切り出す。奈緒子は「わたしの母にも」と返す。二人ともなんとなく結婚を匂わされている、らしい。
由美子は「結婚の予定がないなら当分外へ決めないでくれ」と母が言われたと告げる。
花びら、どっちかよく分からなくなる。
由美子は町田に「二人の奥さんを持つつもりか」と言ってやる、と言い出し、泣く。
町田はどっちを好きなのだろう、という話になると由美子は「あなたに決まってる」と言う。続いて由美子と奈緒子、どちらがより町田を好きなのか、という話に。
長い沈黙がやってくる。
「もし町田が私と結婚したらどうする?」
と互いに聞く。
由美子は、死んでしまうと答え、奈緒子は、町田をきっと殺す、と答える。
またしても長い沈黙。
奈緒子は、もし町田を殺したら、あなたは私を恨むだろうね、と由美子に。
由美子は、恨むが、許したい気もすると答える。
由美子は、私が結婚出来なくて死んだらあなたどうする、と奈緒子に。
奈緒子はしばらく答えないが、平気だと返す。あなたの分まであの人と生きる、と。
でもきっと、口で言うだけだな、と続ける。私たちは、一人の男のために生きたり死んだりしなきゃいけないのか、と漏らした後、さっきのは嘘、町田がうちへ来るのは、あなたの友達だから、と告げる。
なぜそんな嘘をと由美子が問うと、あなたがあんまり幸せだから、と返す奈緒子。
また沈黙。
由美子が「わたしは本当に幸福か」と漏らすと、奈緒子はそうだと返す。幸福になれることが幸福ならば、そうだと。
由美子は「あの人私のこと何か言ってた?」と聞く。言っていた、と奈緒子。あの人にもそんな事を聞かれた場合、何と答えてよいか分からないから、言うべき答えを教えてくれと奈緒子は言う。
困る由美子。
奈緒子は、あの人があなたを愛していることは確かだ、だが男は何人もの女を同時に愛することが出来るものだ、と由美子に言う。
女が一人の男を選んで置くなど無意味だ、求められた手を差し出すか否かの時にしか、一人の男と向き合うことは出来ないのだ、と漏らす。
由美子は奈緒子の変な様子に、どうしたのかと問う。
どうもしない、と空を見上げる奈緒子。鳥が飛んでいる。
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