『アマチュア』
原題：The Amateur
監督：ジェームズ・ホーズ
製作：2025年／アメリカ
上映時間：123分


暗号解析などの頭脳労働に抜群の才能を持つCIAのサイバー捜査官・チャーリー（ラミ・マレック）が、テロで殺された妻の復讐の為に、慣れない戦闘訓練を受け「殺しのアマチュア」としてテロリストに単身立ち向かうアクション映画。



戦闘訓練の教官にはマトリックスでお馴染みのローレンス・フィッシュバーンが。
この人に訓練されたらさぞ強く…と思いきや、「お前に殺しは無理だ」との烙印を押される。
おまけにCIAの「知ってはいけないこと」を知ってしまったチャーリーは、テロリストを追いつつCIAから追われるという事態に。
殺しのアマチュアは復讐という任務を遂行することが出来るのか…。

面白かった。復讐物語は映画でもよくあるけれど、主人公が特に強くない、というのがなんとも新しく感じた。
善良そうで、暗殺とか何も出来なそうな主人公が、それでも復讐の念に駆られて突き進む姿、自分の秀でた分野を活かした闘い方を身に着けていく姿は応援したくなると共に、複雑な思いも感じる。人の死に触れ、動揺し迷う主人公。次第にアクション映画の主人公らしい振る舞いにはなってくるものの、物語が後半に進むにつれ、表情が険しく病的になり、心が蝕まれている感が滲み出てくる。ラミ・マレックの表情、とても良かった。
時折現れる妻の幻影。彼女が願うのは、復讐か、赦しか。

主人公の身体能力が高くないがゆえに、ド派手なアクションシーン！という感じの映画ではないけれど、その分頭脳戦だったり、テクノロジーに頼った知的な戦い方が観られる。追う身でありながら追われる身でもある、という設定もスリリング。
ありそうでなかったアクション映画に触れた感があった。あと、ローレンス・フィッシュバーン、こわい。