『傲慢と善良』
著:辻村深月
2019年/朝日新聞出版
2022年/朝日文庫
Audibleで聴了。
婚活で疲れ切った末にマッチングアプリで出会い、結婚を控えた男女。
だが、結婚を前に女性が行方不明になる。姿を消す前にストーカーにつきまとわれていたらしい女を想い、男は必死に捜索を続ける。彼女の過去の婚活相手たちとの面談。その過程で明らかになる、傲慢と、善良。
読む前、勝手にミステリー小説だと思っていたのだが、読み進めるうちに、かなりシビアに人間の気持ちを見つめる物語だなと気付く。
婚活、という行為における「ピンとこない」という感覚に焦点を当て、そこに潜む感情を描き出す。人が人に向ける無意識の点数付け、そこに存在する傲慢さ。
人間関係における「嘘」の使い方、「善良」な人ほど婚活に苦労する、などなど、人が「隠したい」と思うような本心をぐいぐいと描いていく、痛みを持った物語。
男性主人公・架の視点から描かれた後、女性主人公・真実の視点で描かれる物語。
恋人の失踪、という出来事が二人の視点で描かれる事で、そこに潜むドロドロした感情が炸裂する。
物語の構成的に、デヴィッド・フィンチャー監督の映画『ゴーン・ガール』(2014年公開)をちらちら思い出した。
「このまま一生一人かもしれない」
年齢を重ねるごとに強くなるある種の呪いからの、解放の物語のようにも感じる。
物語中盤に登場する結婚相談所のやり手女性が語る「結婚相談所は最後の手段ではなく、最初の手段」という言葉が印象に残る。
Audible版は雨宮天・松岡禎丞の豪華ダブルナレーターで、男女それぞれの内面をぐらぐらと描き出す。

著:辻村深月
2019年/朝日新聞出版
2022年/朝日文庫
Audibleで聴了。
婚活で疲れ切った末にマッチングアプリで出会い、結婚を控えた男女。
だが、結婚を前に女性が行方不明になる。姿を消す前にストーカーにつきまとわれていたらしい女を想い、男は必死に捜索を続ける。彼女の過去の婚活相手たちとの面談。その過程で明らかになる、傲慢と、善良。
読む前、勝手にミステリー小説だと思っていたのだが、読み進めるうちに、かなりシビアに人間の気持ちを見つめる物語だなと気付く。
婚活、という行為における「ピンとこない」という感覚に焦点を当て、そこに潜む感情を描き出す。人が人に向ける無意識の点数付け、そこに存在する傲慢さ。
人間関係における「嘘」の使い方、「善良」な人ほど婚活に苦労する、などなど、人が「隠したい」と思うような本心をぐいぐいと描いていく、痛みを持った物語。
男性主人公・架の視点から描かれた後、女性主人公・真実の視点で描かれる物語。
恋人の失踪、という出来事が二人の視点で描かれる事で、そこに潜むドロドロした感情が炸裂する。
物語の構成的に、デヴィッド・フィンチャー監督の映画『ゴーン・ガール』(2014年公開)をちらちら思い出した。
「このまま一生一人かもしれない」
年齢を重ねるごとに強くなるある種の呪いからの、解放の物語のようにも感じる。
物語中盤に登場する結婚相談所のやり手女性が語る「結婚相談所は最後の手段ではなく、最初の手段」という言葉が印象に残る。
Audible版は雨宮天・松岡禎丞の豪華ダブルナレーターで、男女それぞれの内面をぐらぐらと描き出す。

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