『トロイラスとクレシダ』
原題:Troilus and Cressida
作:ウィリアム・シェイクスピア
執筆時期:1602年
【この本をAmazonで探す】
『ロミオとジュリエット』ばりの切ない恋の物語、と思いきや、観客はトロイラスと共に不実なクレシダを目の当たりにする。
クレシダの浮気の現場を見たトロイラスが思わず口走るのが上記の台詞。
この憤りを戦争に向け、トロイラスは獅子奮迅の活躍をするのだが…
恋のあっけない裏切り、なかなか働かない英雄、唐突な英雄の死など、思わず「えっ!?」と声に出そうな展開が満載の歴史劇。
あらゆる意味で「裏切り」の詰まった一作だ。
【収録】
『トロイラスとクレシダ』
シェイクスピア全集23
作:ウィリアム・シェイクスピア
訳:松岡和子
2012年/ちくま文庫
【ネタバレあらすじメモ】
プロローグ
甲冑を着た序詞役が、トロイ戦争のありましを説明し観客を誘う。ギリシャのメネラオスの妻ヘレネが強奪され、トロイのパリスと暮らしているのが発端。
★第一幕★
第一場 トロイ、プリアモス王の宮殿の前
トロイ王の息子の一人・トロイラスは恋をしている。相手はギリシャ方に寝返った男を父に持つクレシダ。トロイラスはクレシダの叔父・パンダロスに恋の悩みを説いているが、パンダロスは「クレシダは父とギリシャに逃げるべきだった」などと言って去る。
トロイラスは、クレシダを口説くためにはパンダロスを通さなくてはならないが、パンダロスがいっこうにその気にならないのを嘆く。
そこへ司令官のアエネアスがやってくる。同じくトロイ王の息子パリスが、ヘレネの夫メネラオスに傷つけられたとの知らせ。二人は戦場へ向かう。
第二場 トロイの街路
クレシダに従者アレクサンドロスが知らせる。ギリシャのアイアスがヘクトルを打ち負かし怒らせていると。
そこへ叔父のパンダロス。パンダロスとクレシダはヘクトルとトロイラスの話をする。ヘクトルを褒めるクレシダ、トロイラスに肩入れするパンダロス。パンダロスは、ヘレネがトロイラスに惚れているとしきりに繰り返す。
凱旋する軍隊が通り過ぎる。中にトロイラスを見つけ、パンダロスはしきりに褒めあげるが、クレシダにはいまいち響かない様子。
トロイラスの小姓がパンダロスを呼び出す。
クレシダは一人、トロイラスへの思いを語る。安い女に見られたくなくてツンツンしているのだ。
第三場 ギリシャ軍の陣営
ギリシャの総司令官アガメムノンが演説をしていると、ユリシーズが口を開く。ギリシャが未だ勝てないのは、アキレウスが偉ぶり兵たちを増長させているからだ、と。
と、アエネアスがトロイからの使者として到着。
アエネアスはギリシャに対し挑戦状を叩きつける。一同はそれを受け、退場。
残ったユリシーズはネストルにある計画を打ち明ける。ギリシャの増長したアキレウスをトロイのヘクトルに挑ませるのはまずい、負ければ全軍の指揮に関わり、勝てばいよいよ調子に乗る。ならば戦わせず、愚鈍なアイアスを代表に立てよう、と。
★第二幕★
第一場 ギリシャ軍の陣営
アイアスと道化のテルシテスが殴り合う。
そこへアキレウスとパトロクロス。テルシテスは二人にも絡み始める。話題は先程出た布告について。明朝11時に、両陣営の中間地点でヘクトルと決闘するものを決める、とのことだ。
第二場 プリアモスの宮殿
プリアモス、ヘクトル、トロイラス、パリス、ヘレノスが、ヘレネを返すか否か話している。ヘクトルは返すべきと。対してトロイラスは返してはならないと主張。
そこへカサンドラがやってきて、トロイは滅びるヘレネの為に、と予言し、去っていく。
再び議論。パリスもヘレネの返還に反対。名誉の問題なのだと。そしてヘクトルも、そこが気になる、実は既にギリシャに挑戦状を送ってある、と好戦の構えを示す。
第三場 ギリシャ軍の陣営
道化のテルシテスが一人でアイアスを罵っている。
そこへアキレウスの友・パトロクロス、次いでアキレウスが来る。戯れる。
アガメムノン、ユリシーズ、ネストル、ディオメデス、アイアス、カルカスが来る。アキレウスは去る。
アガメムノンはアキレウスを訪ねてきたが、アキレウスは応じず、戦には出ないと言う。アイアスは彼を猛烈に非難し、ユリシーズらがアイアスを煽る。ギリシャ陣営の信頼関係はガタガタだ。
★第三幕★
第一場 トロイ、プリアモスの宮殿
パンタロスとパリスの召使い。パンダロスがパリスを探していると、パリスとヘレネがやってくる。
パンダロスはパリスに、今夜トロイラスを探さないように頼みに来た。パリスとトロイラス以外の男たちはこぞって戦に出た様子。パンダロス去る。
男たちが戻ってくるラッパが鳴る。
第二場 パンダロス邸の庭
パンダロスがトロイラスの小姓にトロイラスの居所を聞いている、とトロイラス来る。
パンダロスはクレシダを呼びに行く。
パンダロスがクレシダを連れてくる。トロイラスとクレシダは愛の言葉を交わし(名場面)ベッドへ向かう。
第三場 ギリシャの陣営
ギリシャに降伏しているクレシダの父・カルカスはアガメムノンに願い出る。先日捕虜にしたトロイの重臣・アンテノルとクレシダを人質交換してほしいと。娘を手元に呼び寄せる気なのだ。ディオメデスは使いとして出発する。
アキレウスがアガメムノンらのテントの前に来るが、皆は彼を無視する。その後ユリシーズがアキレウスに、「トロイのポリュクセネに恋をしているからと、戦わない場合ではない」とアキレウスを焚き付けて去る。
パトロクロスもアキレウスに戦うように頼む。
道化のテルシテスがやってくる。アキレウスは彼にアイアスへの伝言を頼む。ヘクトルとアガメムノンを、武装を解かせて連れてくるようにと。
★第四幕★
第一場 トロイの宮殿の中庭
トロイとギリシャの会談。パリスはクレシダの人質交換を進める。
パリスはディオメデスに問う。ヘレネにふさわしいのは自分か、夫のメネラオスかと。ディオメデスは皮肉たっぷり、どちらもふさわしいと答える。
第二場 カルカスの留守宅の庭
トロイラスとクレシダが別れを惜しんでいる。
そこへパンダロスが来て二人をからかう。と、ノックの音。トロイラスとクレシダは奥へ。
アエネアスがやってきて、トロイラスを呼び出す。トロイラス出てくる。アエネアスは彼に、クレシダとの人質交換の話を告げる。去る二人。
クレシダが出てくる。パンダロスは人質交換の話を告げる。クレシダはギリシャへ行くくらいなら死ぬと決意表明。
第三場 カルカスの留守宅の前
パリスはトロイラスに、クレシダを連れてくるよう命じる。
第四場 カルカスの家
トロイラスとクレシダ(とパンダロス)が別れを惜しむ。トロイラスは毎晩ギリシャに会いに行くと誓う。
クレシダが引き渡される。そして戦が再開する。
第五場 ギリシャ軍の陣営
ギリシャの陣営にクレシダが到着。男たちは皆、彼女のキスを求める。
トロイの軍も現れる。アイアスとヘクトルの戦いが始まる。やがてヘクトルは、アイアスとの血の繋がりゆえに戦いをやめる。
ギリシャ軍はトロイのヘクトルの強さを讃え、陣営に招く。ギリシャのアキレウスはヘクトルにライバル心バチバチ。トロイラスもギリシャ陣営に招かれ、彼はクレシダの所在を確かめ、今夜そこに伺いたいとユリシーズに頼む。
★第五幕★
第一場 ギリシャ軍の陣営
アキレウスとパトロクロス、テルシテス。アキレウスの手元にはトロイの彼の恋人・ポリュクセネから贈り物が届く。
アキレウスとヘクトルは同じテントに、トロイラスはクレシダのもとに案内されてゆく。
第二場 ギリシャ軍の陣営
クレシダのもとを訪れるディオメデス、それを観察するトロイラスとユリシーズ、それを観察するテルシテス。
ディオメデスを誘惑するらしいクレシダに嫉妬するトロイラス。
クレシダはディオメデスに、トロイラスから貰った袖を渡そうとしたり取り返そうとしたり、結局奪われてしまう。心が揺れているようだ。
クレシダは去り、ディオメデスは帰る。見ていたトロイラスは嫉妬に燃える。「あれはクレシダであってクレシダではない」ディオメデスは戦場で兜に先程の袖を付けるという。トロイラスは必ずその兜を打ち破ると心に誓う。
アエネアスが戦の準備の時を知らせる。トロイラスは自陣に帰っていく。
第三場 トロイ、プリアモスの宮殿
アンドロマケは、不吉な夢を見たからと、ヘクトルの出陣を止めようとしている。カサンドラも彼を止めるが、ヘクトルは名誉が大事だと聞く耳持たない。
出陣しようとするトロイラスを今度はヘクトルが止める。トロイラスは敵に情をかけるヘクトルに対し反発を示す。敵を倒すのだと。
カサンドラが父プリアモスを引き連れて戻る。プリアモスもヘクトルを止めるが、彼の出陣の決心は固い。結局プリアモスも、ヘクトルを戦に出す。
出陣しようとするトロイラスの所へクレシダから手紙が届くが、彼は心のない言葉だと、それを破いて捨てる。
第四場 両陣営の中間地帯
テルシテスが戦いの様子を実況している。
トロイラスはディオメデスと戦う。
ヘクトルはテルシテスに声をかけるが、見逃す。
第五場 戦場の他の場所
ディオメデスはトロイラスの馬を捕らえ、クレシダに送るよう手下に言いつける。
アガメムノンは戦況を確認、ディオメデスに半人半馬の怪物退治を命じる。
ギリシャ軍は、敵のヘクトルの活躍、トロイラスの戦いぶりの強烈さを報じる。
ギリシャのアキレウスもついに猛り立って戦場へ向かう。
第六場 戦場の別の場所
戦い。アイアスとディオメデスはトロイラスを相手に、ヘクトルはアキレウスと闘う。アキレウス撤退。ヘクトルは見逃す。
ヘクトルはギリシャ兵の甲冑を気に入り、奪おうと追い回す。
第七場 戦場の別の場所
アキレウス、仲間を集めてヘクトル討伐命令を出す。
第八場 戦場の別の場所
道化のテルシテスはメネラオスとパリスの一騎打ちを実況。
と、プリアモス王(トロイ王)の私生児・マーガレトンがテルシテスに戦いを挑むが、テルシテスは逃亡する。
第九場 戦場の別の場所
武装を解いて休むヘクトル。彼をアキレウスと手下たちが襲撃し、殺す。
第十場 戦場の別の場所
アガメムノンのもとに、ヘクトルをアキレウスが倒した知らせが届く。
第十一場 戦場の別の場所
トロイラスはヘクトルが死んだと聞き奮い立つ。一同戦いへ。残されたパンダロス、仲介役の不幸を歌い、幕。
原題:Troilus and Cressida
作:ウィリアム・シェイクスピア
執筆時期:1602年
【この本をAmazonで探す】
「あれはクレシダであってクレシダではない」トロイ戦争を舞台にした、トロイラスとクレシダの恋模様が描かれる。
『ロミオとジュリエット』ばりの切ない恋の物語、と思いきや、観客はトロイラスと共に不実なクレシダを目の当たりにする。
クレシダの浮気の現場を見たトロイラスが思わず口走るのが上記の台詞。
この憤りを戦争に向け、トロイラスは獅子奮迅の活躍をするのだが…
恋のあっけない裏切り、なかなか働かない英雄、唐突な英雄の死など、思わず「えっ!?」と声に出そうな展開が満載の歴史劇。
あらゆる意味で「裏切り」の詰まった一作だ。
【収録】
『トロイラスとクレシダ』
シェイクスピア全集23
作:ウィリアム・シェイクスピア
訳:松岡和子
2012年/ちくま文庫
【ネタバレあらすじメモ】
プロローグ
甲冑を着た序詞役が、トロイ戦争のありましを説明し観客を誘う。ギリシャのメネラオスの妻ヘレネが強奪され、トロイのパリスと暮らしているのが発端。
★第一幕★
第一場 トロイ、プリアモス王の宮殿の前
トロイ王の息子の一人・トロイラスは恋をしている。相手はギリシャ方に寝返った男を父に持つクレシダ。トロイラスはクレシダの叔父・パンダロスに恋の悩みを説いているが、パンダロスは「クレシダは父とギリシャに逃げるべきだった」などと言って去る。
トロイラスは、クレシダを口説くためにはパンダロスを通さなくてはならないが、パンダロスがいっこうにその気にならないのを嘆く。
そこへ司令官のアエネアスがやってくる。同じくトロイ王の息子パリスが、ヘレネの夫メネラオスに傷つけられたとの知らせ。二人は戦場へ向かう。
第二場 トロイの街路
クレシダに従者アレクサンドロスが知らせる。ギリシャのアイアスがヘクトルを打ち負かし怒らせていると。
そこへ叔父のパンダロス。パンダロスとクレシダはヘクトルとトロイラスの話をする。ヘクトルを褒めるクレシダ、トロイラスに肩入れするパンダロス。パンダロスは、ヘレネがトロイラスに惚れているとしきりに繰り返す。
凱旋する軍隊が通り過ぎる。中にトロイラスを見つけ、パンダロスはしきりに褒めあげるが、クレシダにはいまいち響かない様子。
トロイラスの小姓がパンダロスを呼び出す。
クレシダは一人、トロイラスへの思いを語る。安い女に見られたくなくてツンツンしているのだ。
第三場 ギリシャ軍の陣営
ギリシャの総司令官アガメムノンが演説をしていると、ユリシーズが口を開く。ギリシャが未だ勝てないのは、アキレウスが偉ぶり兵たちを増長させているからだ、と。
と、アエネアスがトロイからの使者として到着。
アエネアスはギリシャに対し挑戦状を叩きつける。一同はそれを受け、退場。
残ったユリシーズはネストルにある計画を打ち明ける。ギリシャの増長したアキレウスをトロイのヘクトルに挑ませるのはまずい、負ければ全軍の指揮に関わり、勝てばいよいよ調子に乗る。ならば戦わせず、愚鈍なアイアスを代表に立てよう、と。
★第二幕★
第一場 ギリシャ軍の陣営
アイアスと道化のテルシテスが殴り合う。
そこへアキレウスとパトロクロス。テルシテスは二人にも絡み始める。話題は先程出た布告について。明朝11時に、両陣営の中間地点でヘクトルと決闘するものを決める、とのことだ。
第二場 プリアモスの宮殿
プリアモス、ヘクトル、トロイラス、パリス、ヘレノスが、ヘレネを返すか否か話している。ヘクトルは返すべきと。対してトロイラスは返してはならないと主張。
そこへカサンドラがやってきて、トロイは滅びるヘレネの為に、と予言し、去っていく。
再び議論。パリスもヘレネの返還に反対。名誉の問題なのだと。そしてヘクトルも、そこが気になる、実は既にギリシャに挑戦状を送ってある、と好戦の構えを示す。
第三場 ギリシャ軍の陣営
道化のテルシテスが一人でアイアスを罵っている。
そこへアキレウスの友・パトロクロス、次いでアキレウスが来る。戯れる。
アガメムノン、ユリシーズ、ネストル、ディオメデス、アイアス、カルカスが来る。アキレウスは去る。
アガメムノンはアキレウスを訪ねてきたが、アキレウスは応じず、戦には出ないと言う。アイアスは彼を猛烈に非難し、ユリシーズらがアイアスを煽る。ギリシャ陣営の信頼関係はガタガタだ。
★第三幕★
第一場 トロイ、プリアモスの宮殿
パンタロスとパリスの召使い。パンダロスがパリスを探していると、パリスとヘレネがやってくる。
パンダロスはパリスに、今夜トロイラスを探さないように頼みに来た。パリスとトロイラス以外の男たちはこぞって戦に出た様子。パンダロス去る。
男たちが戻ってくるラッパが鳴る。
第二場 パンダロス邸の庭
パンダロスがトロイラスの小姓にトロイラスの居所を聞いている、とトロイラス来る。
パンダロスはクレシダを呼びに行く。
パンダロスがクレシダを連れてくる。トロイラスとクレシダは愛の言葉を交わし(名場面)ベッドへ向かう。
第三場 ギリシャの陣営
ギリシャに降伏しているクレシダの父・カルカスはアガメムノンに願い出る。先日捕虜にしたトロイの重臣・アンテノルとクレシダを人質交換してほしいと。娘を手元に呼び寄せる気なのだ。ディオメデスは使いとして出発する。
アキレウスがアガメムノンらのテントの前に来るが、皆は彼を無視する。その後ユリシーズがアキレウスに、「トロイのポリュクセネに恋をしているからと、戦わない場合ではない」とアキレウスを焚き付けて去る。
パトロクロスもアキレウスに戦うように頼む。
道化のテルシテスがやってくる。アキレウスは彼にアイアスへの伝言を頼む。ヘクトルとアガメムノンを、武装を解かせて連れてくるようにと。
★第四幕★
第一場 トロイの宮殿の中庭
トロイとギリシャの会談。パリスはクレシダの人質交換を進める。
パリスはディオメデスに問う。ヘレネにふさわしいのは自分か、夫のメネラオスかと。ディオメデスは皮肉たっぷり、どちらもふさわしいと答える。
第二場 カルカスの留守宅の庭
トロイラスとクレシダが別れを惜しんでいる。
そこへパンダロスが来て二人をからかう。と、ノックの音。トロイラスとクレシダは奥へ。
アエネアスがやってきて、トロイラスを呼び出す。トロイラス出てくる。アエネアスは彼に、クレシダとの人質交換の話を告げる。去る二人。
クレシダが出てくる。パンダロスは人質交換の話を告げる。クレシダはギリシャへ行くくらいなら死ぬと決意表明。
第三場 カルカスの留守宅の前
パリスはトロイラスに、クレシダを連れてくるよう命じる。
第四場 カルカスの家
トロイラスとクレシダ(とパンダロス)が別れを惜しむ。トロイラスは毎晩ギリシャに会いに行くと誓う。
クレシダが引き渡される。そして戦が再開する。
第五場 ギリシャ軍の陣営
ギリシャの陣営にクレシダが到着。男たちは皆、彼女のキスを求める。
トロイの軍も現れる。アイアスとヘクトルの戦いが始まる。やがてヘクトルは、アイアスとの血の繋がりゆえに戦いをやめる。
ギリシャ軍はトロイのヘクトルの強さを讃え、陣営に招く。ギリシャのアキレウスはヘクトルにライバル心バチバチ。トロイラスもギリシャ陣営に招かれ、彼はクレシダの所在を確かめ、今夜そこに伺いたいとユリシーズに頼む。
★第五幕★
第一場 ギリシャ軍の陣営
アキレウスとパトロクロス、テルシテス。アキレウスの手元にはトロイの彼の恋人・ポリュクセネから贈り物が届く。
アキレウスとヘクトルは同じテントに、トロイラスはクレシダのもとに案内されてゆく。
第二場 ギリシャ軍の陣営
クレシダのもとを訪れるディオメデス、それを観察するトロイラスとユリシーズ、それを観察するテルシテス。
ディオメデスを誘惑するらしいクレシダに嫉妬するトロイラス。
クレシダはディオメデスに、トロイラスから貰った袖を渡そうとしたり取り返そうとしたり、結局奪われてしまう。心が揺れているようだ。
クレシダは去り、ディオメデスは帰る。見ていたトロイラスは嫉妬に燃える。「あれはクレシダであってクレシダではない」ディオメデスは戦場で兜に先程の袖を付けるという。トロイラスは必ずその兜を打ち破ると心に誓う。
アエネアスが戦の準備の時を知らせる。トロイラスは自陣に帰っていく。
第三場 トロイ、プリアモスの宮殿
アンドロマケは、不吉な夢を見たからと、ヘクトルの出陣を止めようとしている。カサンドラも彼を止めるが、ヘクトルは名誉が大事だと聞く耳持たない。
出陣しようとするトロイラスを今度はヘクトルが止める。トロイラスは敵に情をかけるヘクトルに対し反発を示す。敵を倒すのだと。
カサンドラが父プリアモスを引き連れて戻る。プリアモスもヘクトルを止めるが、彼の出陣の決心は固い。結局プリアモスも、ヘクトルを戦に出す。
出陣しようとするトロイラスの所へクレシダから手紙が届くが、彼は心のない言葉だと、それを破いて捨てる。
第四場 両陣営の中間地帯
テルシテスが戦いの様子を実況している。
トロイラスはディオメデスと戦う。
ヘクトルはテルシテスに声をかけるが、見逃す。
第五場 戦場の他の場所
ディオメデスはトロイラスの馬を捕らえ、クレシダに送るよう手下に言いつける。
アガメムノンは戦況を確認、ディオメデスに半人半馬の怪物退治を命じる。
ギリシャ軍は、敵のヘクトルの活躍、トロイラスの戦いぶりの強烈さを報じる。
ギリシャのアキレウスもついに猛り立って戦場へ向かう。
第六場 戦場の別の場所
戦い。アイアスとディオメデスはトロイラスを相手に、ヘクトルはアキレウスと闘う。アキレウス撤退。ヘクトルは見逃す。
ヘクトルはギリシャ兵の甲冑を気に入り、奪おうと追い回す。
第七場 戦場の別の場所
アキレウス、仲間を集めてヘクトル討伐命令を出す。
第八場 戦場の別の場所
道化のテルシテスはメネラオスとパリスの一騎打ちを実況。
と、プリアモス王(トロイ王)の私生児・マーガレトンがテルシテスに戦いを挑むが、テルシテスは逃亡する。
第九場 戦場の別の場所
武装を解いて休むヘクトル。彼をアキレウスと手下たちが襲撃し、殺す。
第十場 戦場の別の場所
アガメムノンのもとに、ヘクトルをアキレウスが倒した知らせが届く。
第十一場 戦場の別の場所
トロイラスはヘクトルが死んだと聞き奮い立つ。一同戦いへ。残されたパンダロス、仲介役の不幸を歌い、幕。
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