『すいかの匂い』
著:江國香織
2000年 新潮文庫

「夏」というとどんなイメージが湧くでしょうか?
この『すいかの匂い』は夏を感じさせる短篇11作が集まった江國香織さんの短篇集。

この一冊に漂うのはどこか気だるい、湿度のある、そしてどこか不穏な空気。
誰にも話せない、自分だけの秘密。
ジャムのように粘っとした夏の空気感。
サクッと読める読みやすさと、見ては行けないものを覗き見るような読書感が共存した本でした。

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【読書メモ】

『すいかの匂い』
シャム双生児的な子に出会う、不穏で切ない短編。

『蕗子さん』
下宿していた蕗子さんと落とし穴を掘る。突如いなくなる蕗子さん。冬眠。不穏。

『水の輪』
子供の頃の私とやまだたろう。カタツムリ、クマゼミの鳴き声「シネシネシネシネ」こわい。

『海辺の町』
私とおばさんと。鬼灯、水泳教室。

『弟』
弟のお葬式を通して描く、夏。蟻が葬儀屋という描写、すごい。

『あげは蝶』
新幹線の中で出会った女と逃亡する…?

『焼却炉』
なんでも捨てちゃう焼却炉、ナイフ、影絵劇団。

『ジャミパン』
父親代わりの叔父が結婚する事になった。
その叔父と、母との関係。たいした女じゃないじゃない。

『薔薇のアーチ』
いじめられている私は、帰省で出来た友達に自分が恵まれた学校生活を送っているような嘘をつく。

『はるかちゃん』
団地の友達はるかちゃんと、飛び交うひとさらいの噂。終始不穏な空気感が怖い。

『影』
私と友人のM。幼少期からMは、困った時に傍にいて話をしてくれた。