『なにもない空間』
著：ピーター・ブルック
訳：高橋康也・喜志哲雄
1971年 晶文選書

日常生活においては〈もしも〉は虚構だ。演劇においては〈もしも〉は実験だ。日常生活においては〈もしも〉は逃避だ。演劇においては〈もしも〉は真実だ
わたしたちがこの真実を信じる気になった時、演劇と人生は一つになる

大学の時の推薦図書を今読む。
演劇の退廃、形骸化して死んだも同然な形になっている現状を分析する所からスタートし、
俳優・批評家・作家・演出家の諸問題に言及、
最終的に「満足ですか？」と観客・読者に問う「退廃演劇」の章。
続いて演劇のもともとの力「見えないものを見える」ようにする力を考える「神聖演劇」
現代においては演劇の荒々しさが活きていること、さらにシェイクスピアには神聖と野性が同時に存在することを論じる「野性演劇」
最終章の「直接演劇」では、時代を読みつつ求められるものを模索する在り方が示される。

燃える演劇おじさんピーター・ブルックの演劇愛がギュッと詰まった一冊。

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【感想を一分間の動画にしました】

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【読書メモ】

�� 退廃演劇

p.13 言葉は初めから言葉としてあるのではない。それはまず衝動として出発したあるものの最終的産物であり、表現を求めてやまぬ態度なり行動なりがそれをつき動かしているのである。

p.16 退廃演劇では、その芝居はどう演じられるべきかを、どこかの誰かがすでに発見し定義しているのだ、といった立場から古典を眺める。

p.54 ご自分の期待し欲しておられるものを演劇がいま与えてくれていると、あなたは本気で感じておいでですか？


�� 神聖演劇

p.82 見えるものとなった見えぬもの、それは神聖な性格を帯びる。

p.86 貧乏が彼らの歎きであり、また貧乏が彼らの口実である。


�� 野性演劇
p.140 演劇はほとんど求められてもいないし、そこで働く人びとはほとんど信用されてもいない。


�� 直接演劇
p.146 一定の公式など存在しない、決まった方法などありはしない
p.205 観客がいなければ、到達点も意味もありえないのだ
目と焦点と欲求と享楽と集中という援助があればー反復は表現に変わる
p.206 日常生活においては〈もしも〉は虚構だ。演劇においては〈もしも〉は実験だ。日常生活においては〈もしも〉は逃避だ。演劇においては〈もしも〉は真実だ
わたしたちがこの真実を信じる気になった時、演劇と人生は一つになる