『尺には尺を』
原題:Measure for Measure
作:ウィリアム・シェイクスピア
執筆年:1603年か1604年
ウィーンの公爵が一人の男に全権を任せ旅に出る。
公爵代理となった男は、機能していなかった法律を復活させるべく、厳しすぎる政治を開始。
婚前交渉で女性を妊娠させたクローディオは死刑を言い渡され、兄を救うために妹のイザベラが奔走する。
修道僧に変装した元・公爵はイザベラを全面的にバックアップする、という筋書き。
この助命嘆願の際に、公爵代理となったアンジェロがイザベラに突きつける条件がすごい。
俺と寝ろ、そしたら助ける。である。
しかも実行した上で助ける気がない。
このセクハラ&パワハラを世に告発しようとしたイザベラに放つセリフがさらに酷い。
イザベラたちはアンジェロを打ち負かす事が出来るのか…というのが見所。
あれれ、現代でもこんな話、色んな所から聞こえてくるような…
結末も決してスッキリとは終わらないシェイクスピアの問題劇。
正義とは、真実とは。
この頃の喜劇で流行ったベッドトリック(暗闇でベッドを共にして、Aさんだと思ったら実はBさんだった)なども盛り込みながらも、
時代を越えて現代にも響いてくる一作。
さすがのシェイクスピア。

【書籍情報】
『尺には尺を』
作:ウィリアム・シェイクスピア
訳:松岡和子
ちくま文庫
【Amazon商品ページはこちら】
【ネタバレあらすじメモ】
★第一幕★
第一場 ウィーン、公爵の執務室
ヴィンセンショー公爵が年配の貴族・エスカラスと話している。自分が公爵代理を任せるアンジェロについてどう思うか訪ね、エスカラスもアンジェロを推す。
アンジェロがやってくる。公爵はアンジェロを正式に代理人に、エスカラスをナンバーツーに指名し旅立つ。
アンジェロとエスカラスはお互いの状況を確認しようと話し合う。
第二場 ウィーンの街路
ルーチオが紳士らと話している。ウィーンはハンガリーとの揉め事に直面しているらしい。公爵の匙加減で和平か戦争かである。
そこへ女郎屋の女将オーヴァダンがクローディオが逮捕されて三日以内に処刑されるという知らせを持ってくる。恋人のジュリエットを妊娠させた罪だそうだ。ルーチオらは本当かどうか確かめに行く。
女郎屋の番頭・ポンペイが、周辺地域の女郎屋が布告により取り壊しになる、また、女が一人捕まったという知らせを持ってくる。布告による厳しい取り締まりが広がっている様子。二人は去り際に獄吏に引かれるクローディオとジュリエットを目にする。
クローディオが獄吏に引かれてやってくる。友人のルーチオは彼に話しかける。クローディオは、結婚の約束をしたジュリエットと結婚前にベッドを共にしたのだと語る。今の公爵代理は昔の法律を再度適用し自分の力を誇示しようとしているのだと。クローディオはルーチオに、クローディオの妹への伝言を頼む。公爵代理に取り入って助命嘆願をしてくれるようにと。妹は頭脳明晰で美しいからと望みを託す。ルーチオは早速伝言に走り、クローディオは引き立てられる。
第三場 修道院
公爵は修道院を訪れている。彼は修道士に胸の内を明かす。彼もまた厳しい法律を復活させたかったのだが、自分がやると圧政だと誹謗中傷される恐れがある。そのためアンジェロに一時権力を譲渡し、自分は外国に行くと見せかけたのだと。そしてアンジェロの統治ぶりを観察するために、修道士に扮したいから服を貸してくれと。
第四場 女子修道院
ルーチオが修道院に、クローディオの妹・イザベラを訪ねる。若い娘の力でアンジェロを籠絡し、兄を助けてくれと嘆願。イザベラも早速準備にかかる。
★第二幕★
第一場 法廷
アンジェロが裁判をしている。エスカラスは助命を嘆願するが、アンジェロは「私が同じ罪を犯したら死刑に処せ」と聞き入れない。
役人のエルボーが、オーヴァダンの店の番頭・ポンペイらを引っ立ててくる。
言葉遊びと言い間違いの押収で嫌になったアンジェロはエスカラスに後を任せて退出。
相変わらず会話が大混乱。エルボーの女房が焦点らしいが、ややこしいのでエスカラスはフロスを帰らせる。
続いてポンペイに対し売春宿の違法性を説いてから帰らせるエスカラス。ポンペイはまるで懲りていない。
巡査のエルボーには、管轄内の優秀な人材を何人か紹介するように言って帰す。
その後エスカラスはクローディオの死刑に心を痛め、去る。
第二場 同じ場所の別室
クローディオの処刑は厳罰すぎると監獄長もアンジェロに意見するがアンジェロの態度は変わらず。そこへルーチオとイザベラが到着。
イザベラは言葉を尽くして嘆願すると、アンジェロの心がやや動く。明日また来るように言われ、去るイザベラたち。
一人残ったアンジェロは、完全にイザベラへの恋に落ちた事を独白する。
第三場 監獄内の一室
ヴィンセンショー公爵が修道士に変装して監獄長を訪ねる。ジュリエットに面会し、罪を悔いているかと聞き、次いでクローディオに会いに行く。
第四場 アンジェロ邸の一室
アンジェロがイザベラへの恋心と葛藤している。そこへイザベラが来る。
アンジェロは、自分に体を差し出すなら兄を許すと愛を打ち明けるが、イザベラは激しく怒り、妹が永劫の苦しみに落ちるくらいなら兄は死ぬべき、と主張。さらに、アンジェロにこの条件を持ちかけられた事を世間にバラすと言うが、アンジェロは「世間は自分を信じる」と自信あり。拒めば兄を拷問にかけ殺す、返事は明日までに、と出ていく。
イザベラは苦悩し、兄に相談しようと考える。
★第三幕★
第一場 監獄内の一室
公爵がクローディオに、死を受け入れるように説いている。ところへイザベラがやってくる。公爵は、隠れて兄妹の話を聞きたいと監獄長に頼み、公爵と監獄長は姿を消す。
イザベラはアンジェロに持ちかけられた助命の条件をクローディオに伝える。クローディオは始めは死の決心をするが、やがて死への恐怖を語り始め、アンジェロの要求を飲むように頼む。激しく怒るイザベラ。
公爵が現れクローディオに語る。アンジェロは人の心を試しているだけだ、助かる見込みはないのだと。アンジェロは妹への言動を悔い、去る。
公爵はイザベラと二人きりになり知恵を授ける。アンジェロには昔、マリアナという結婚相手がいた。彼女が持参金と裕福な兄を失くしたためにアンジェロは、彼女の不義をでっちあげて結婚を取りやめたのだという。作戦はこうだ。イザベラは今晩アンジェロのベッドを訪ねると約束し、そこに沈黙と暗闇という条件をつける。イザベラは約束を取り付けたら公爵とマリアナのもとを訪ね、マリアナは彼女と入れ替わってアンジェロのベッドへ向かう。そうすればアンジェロは言い逃れできず、マリアナも恋が叶い、兄も助かると。イザベラと公爵は早速計画に取り掛かる。
第二場 監獄の前の街路
エルボー巡査がポンペイを連行している所に出会う公爵。実際の罪人と、罪を隠しているアンジェロを比較する。
ルーチオが来て、ポンペイをいじるだけいじって見送る。
ルーチオは修道士の姿の公爵に、公爵の居所を訪ね、ついで公爵をけなし始める。公爵も自身の弁護を始めるが、ルーチオは公爵の友人なのだ、知っているのだと強気の発言。やがてルーチオは去る。公爵は覚えのない中傷にぷるぷるする。
オーヴァダンがエスカラスに連行されてくる。彼女はルーチオの密告で捕まったらしい。ルーチオが娼婦と作った子供を育ててやったのに!と悔しがるオーヴァダン、連れられていく。
エスカラスは修道士=公爵に、クローディオの死への覚悟はどんな具合かと訪ねる。もうすっかり決まっているようだと公爵は答え、エスカラスはクローディオの命を惜しむ。自分だったらこんな判決にはしないのに、と。エスカラス去る。
公爵一人。改めてアンジェロを罰する覚悟を決めて、去る。
★第四幕★
第一場 聖ルカ教会近くの農家
マリアナは少年の歌声に聞き入っている。公爵が彼女を訪ねてくる。マリアナと少年を一時下がらせ、公爵はやってきたイザベラと話をする。
イザベラはアンジェロとの待ち合わせの詳細を公爵に伝える。公爵はマリアナを呼び戻す。
マリアナはイザベラから計画を聞き乗り気。別れ際に「兄のことをお忘れなく」と伝えるようにイザベラは彼女に頼む。一同は計画に向け気合を入れる。
第二場 監獄内の一室
監獄長はポンペイに、首切り役人の助手をしないか、刑期を短縮するからと持ちかける。
首切り役人アブホーソンが呼び出され、ポンペイを助手にと監獄長に言われるが断る。監獄長出ていく。
アブホーソンとポンペイが話す。死刑執行には良い腕が必要だから任せられないというアブホーソン。
監獄長が戻ってくる。アブホーソンはなんだかんだポンペイを助手にすることにし、彼を連れ出ていく。
死刑囚のクローディオが呼ばれ、死刑執行の時間を伝えられる。ノックの音が聞こえ、クローディオは去る。
監獄長を訪ねてきたのは修道士に変装した公爵。クローディオの死刑について二人が話しているとまたもや激しいノック。
アンジェロからの使者が来る。書状を差し出し去る使者。
書状にはクローディオの死刑を必ず執行してアンジェロに首を見せるように、とある。同時に死刑執行の予定のバーナディンに関しては遅れてもよい、と。公爵は赦免状だと思っていたが当てが外れ、監獄長に死刑執行を延長するよう頼む。クローディオが有罪ならば必ずアンジェロも同じ罪をおかしている、それを証明するのに時間が欲しい、と。公爵はバーナディンの首をはねてアンジェロに届けるように頼む。首はなんとかごまかせるからと。戸惑う監獄長に公爵は、公爵直筆の印と手紙を渡す。このことであなたが責められることはないと保証するためだ。バーナディンの死刑執行準備が始まる。
第三場 監獄内の別の場所
ポンペイは監獄を見舞わす。かつて自分の店の客だった者ばかり収監されている。
アブホーソンはポンペイに、バーナディンを連れてくるよう言いつける。
バーナディンは酔っ払っていてぐずぐずしている。
修道士(公爵)がバーナディンを諭しに来るが、バーナディンは監獄へ引っ込んでしまう。
監獄長はポンペイとアブホーソンにバーナディンを追わせ、公爵と話をする。
監獄長はバーナディンの代わりに、熱病で死んだ海賊の首をアンジェロに届けてはと提案。公爵も承知し、クローディオはバーナディンと同じ監獄に隠すよう命じる。
公爵はアンジェロに対し、もうすぐ戻る旨の手紙を書くことを思いつく。
監獄長は海賊の首をアンジェロに届けに行く。
イザベラが来る。公爵はまだ偽の首の事は告げず、クローディオは処刑されたのだと伝える。(後で沢山喜ばせたいから伝えないらしい)続いて、明日公爵が帰ってくること、その後にアンジェロに報復するのが良いということを伝え、ピーター神父への手紙を届けるように伝える。
そこへルーチオが来て公爵の悪口を言い、イザベラに対してクローディオを哀悼する気持ちを告げる。イザベラ去る。
ルーチオは公爵が実は女好きだという話をし、昔自分が娼婦を妊娠させたが公爵の前で知らぬ存ぜぬで通した、という話もする。
第四場 アンジェロ邸内の一室
アンジェロとエスカラスは公爵からの手紙に困惑している。明日の帰国を門で出迎え、その際に権限を返還するように。また、不正な裁きの取り消しを求める者があれば請願書を街頭で提出するように、とのこと。実行する準備のため、エスカラスは去る。
アンジェロはクローディオを処刑した事(思い込み)を深く嘆く。自分がイザベラ(実はマリアナ)の処女を奪った罪が心に刺さるのだ。
第五場 市外の野原
変装を解いた公爵はピーターに自分の手の者を集めさせる。
第六場 城門近くの街頭
マリアナとイザベラが話をしている。イザベラは公爵に、君を非難することがあっても計画の内だ、と言われたらしい。
ピーターがやってきて、二人を公爵が帰還する門へと導く。
★第五幕★
第一場 市の大門近くの広場
公爵をアンジェロとエスカラスが出迎える。公爵はアンジェロの統治を褒め称える。
ピーターとイザベラが現れ、イザベラは正しい裁きを、話を聞いてくれと公爵に求める。アンジェロはイザベラを気狂い扱いする。イザベラはクローディオ処刑のいきさつ、兄の助命の為、ベッドを共にするよう迫られたこと、それを守ったのに兄を処刑されたことを暴露。公爵はアンジェロの節操の硬さを説き、イザベラに対し誰に唆されたのかと聞く。イザベラとルーチオはロドウィク神父の名を出す。公爵が化けていた神父だ。続いて修道士ピーターは、イザベラの主張が事実無根であると主張。それを証明するためにマリアナが登場。
マリアナは、イザベラが抱かれたと言う時刻には自分が抱かれていたのだと告白。そして自分はアンジェロの妻だという。アンジェロはかつて婚約はしたが持参金のトラブルと不身持ちの噂により解消したのだと主張。マリアナはあずま屋でアンジェロと交わった事を告白する。アンジェロは怒りマリアナを自ら裁くと宣言。公爵はイザベラたちを焚き付けたロドウィク神父を探すよう監獄長に命じる。
公爵は事件の調査をアンジェロとエスカラスに命じ一時去る。そして修道士(公爵)となって監獄長と共に現れ、アンジェロを糾弾する。エスカラスはその無礼を咎める。エスカラスは修道士を引っ立てるようにルーチオに命じ、ルーチオは修道士の目深に被ったフードを脱がすと公爵登場。ルーチオは修道士の前で散々公爵の悪口を言ったことを後悔する。アンジェロは罪を告白し死刑を求めると、公爵は彼とマリアナを結婚させるよう言いつける。
公爵はイザベラに、兄を救えなかった事を詫びる。
アンジェロとマリアナは結婚を済ませて戻ってくる。改めて公爵はアンジェロに死刑を言い渡す。マリアナは助命を嘆願。マリアナはイザベラにも助けを求める。公爵は嘆願を退ける。次いで、クローディオを異例の時刻に処刑した事を咎め監獄長を免職に。監獄長は後悔を述べ、バーナディンの名を出す。公爵はバーナディンを連れてくるよう命じる。
監獄長はバーナディンと覆面のクローディオとジュリエットを連れて戻る。公爵はバーナディンの罪を許し、次にクローディオの覆面を取らせる。クローディオだ。公爵はイザベラに求婚する。ルーチオにはかつて彼が妊娠させた売春婦を妻とする事を命じ、監獄長の免職も取り消し、アンジェロも赦し、全てに収集をつけた後、改めてイザベラに求婚する公爵。
幕
原題:Measure for Measure
作:ウィリアム・シェイクスピア
執筆年:1603年か1604年
「ああ、ひとたび正道を踏み外すと何一つうまくゆかない。こうしたいと思いながら、そうしたくないとも思うのだ。」
ウィーンの公爵が一人の男に全権を任せ旅に出る。
公爵代理となった男は、機能していなかった法律を復活させるべく、厳しすぎる政治を開始。
婚前交渉で女性を妊娠させたクローディオは死刑を言い渡され、兄を救うために妹のイザベラが奔走する。
修道僧に変装した元・公爵はイザベラを全面的にバックアップする、という筋書き。
この助命嘆願の際に、公爵代理となったアンジェロがイザベラに突きつける条件がすごい。
俺と寝ろ、そしたら助ける。である。
しかも実行した上で助ける気がない。
このセクハラ&パワハラを世に告発しようとしたイザベラに放つセリフがさらに酷い。
「あなたは、何でも言いたいことを言っていい、あなたの真実は私の虚偽に勝てないのだから。」権力を持つ自分が否定すれば、真実も嘘になると堂々と発言する権力者。
イザベラたちはアンジェロを打ち負かす事が出来るのか…というのが見所。
あれれ、現代でもこんな話、色んな所から聞こえてくるような…
結末も決してスッキリとは終わらないシェイクスピアの問題劇。
正義とは、真実とは。
この頃の喜劇で流行ったベッドトリック(暗闇でベッドを共にして、Aさんだと思ったら実はBさんだった)なども盛り込みながらも、
時代を越えて現代にも響いてくる一作。
さすがのシェイクスピア。

【書籍情報】
『尺には尺を』
作:ウィリアム・シェイクスピア
訳:松岡和子
ちくま文庫
【Amazon商品ページはこちら】
【ネタバレあらすじメモ】
★第一幕★
第一場 ウィーン、公爵の執務室
ヴィンセンショー公爵が年配の貴族・エスカラスと話している。自分が公爵代理を任せるアンジェロについてどう思うか訪ね、エスカラスもアンジェロを推す。
アンジェロがやってくる。公爵はアンジェロを正式に代理人に、エスカラスをナンバーツーに指名し旅立つ。
アンジェロとエスカラスはお互いの状況を確認しようと話し合う。
第二場 ウィーンの街路
ルーチオが紳士らと話している。ウィーンはハンガリーとの揉め事に直面しているらしい。公爵の匙加減で和平か戦争かである。
そこへ女郎屋の女将オーヴァダンがクローディオが逮捕されて三日以内に処刑されるという知らせを持ってくる。恋人のジュリエットを妊娠させた罪だそうだ。ルーチオらは本当かどうか確かめに行く。
女郎屋の番頭・ポンペイが、周辺地域の女郎屋が布告により取り壊しになる、また、女が一人捕まったという知らせを持ってくる。布告による厳しい取り締まりが広がっている様子。二人は去り際に獄吏に引かれるクローディオとジュリエットを目にする。
クローディオが獄吏に引かれてやってくる。友人のルーチオは彼に話しかける。クローディオは、結婚の約束をしたジュリエットと結婚前にベッドを共にしたのだと語る。今の公爵代理は昔の法律を再度適用し自分の力を誇示しようとしているのだと。クローディオはルーチオに、クローディオの妹への伝言を頼む。公爵代理に取り入って助命嘆願をしてくれるようにと。妹は頭脳明晰で美しいからと望みを託す。ルーチオは早速伝言に走り、クローディオは引き立てられる。
第三場 修道院
公爵は修道院を訪れている。彼は修道士に胸の内を明かす。彼もまた厳しい法律を復活させたかったのだが、自分がやると圧政だと誹謗中傷される恐れがある。そのためアンジェロに一時権力を譲渡し、自分は外国に行くと見せかけたのだと。そしてアンジェロの統治ぶりを観察するために、修道士に扮したいから服を貸してくれと。
第四場 女子修道院
ルーチオが修道院に、クローディオの妹・イザベラを訪ねる。若い娘の力でアンジェロを籠絡し、兄を助けてくれと嘆願。イザベラも早速準備にかかる。
★第二幕★
第一場 法廷
アンジェロが裁判をしている。エスカラスは助命を嘆願するが、アンジェロは「私が同じ罪を犯したら死刑に処せ」と聞き入れない。
役人のエルボーが、オーヴァダンの店の番頭・ポンペイらを引っ立ててくる。
言葉遊びと言い間違いの押収で嫌になったアンジェロはエスカラスに後を任せて退出。
相変わらず会話が大混乱。エルボーの女房が焦点らしいが、ややこしいのでエスカラスはフロスを帰らせる。
続いてポンペイに対し売春宿の違法性を説いてから帰らせるエスカラス。ポンペイはまるで懲りていない。
巡査のエルボーには、管轄内の優秀な人材を何人か紹介するように言って帰す。
その後エスカラスはクローディオの死刑に心を痛め、去る。
第二場 同じ場所の別室
クローディオの処刑は厳罰すぎると監獄長もアンジェロに意見するがアンジェロの態度は変わらず。そこへルーチオとイザベラが到着。
イザベラは言葉を尽くして嘆願すると、アンジェロの心がやや動く。明日また来るように言われ、去るイザベラたち。
一人残ったアンジェロは、完全にイザベラへの恋に落ちた事を独白する。
第三場 監獄内の一室
ヴィンセンショー公爵が修道士に変装して監獄長を訪ねる。ジュリエットに面会し、罪を悔いているかと聞き、次いでクローディオに会いに行く。
第四場 アンジェロ邸の一室
アンジェロがイザベラへの恋心と葛藤している。そこへイザベラが来る。
アンジェロは、自分に体を差し出すなら兄を許すと愛を打ち明けるが、イザベラは激しく怒り、妹が永劫の苦しみに落ちるくらいなら兄は死ぬべき、と主張。さらに、アンジェロにこの条件を持ちかけられた事を世間にバラすと言うが、アンジェロは「世間は自分を信じる」と自信あり。拒めば兄を拷問にかけ殺す、返事は明日までに、と出ていく。
イザベラは苦悩し、兄に相談しようと考える。
★第三幕★
第一場 監獄内の一室
公爵がクローディオに、死を受け入れるように説いている。ところへイザベラがやってくる。公爵は、隠れて兄妹の話を聞きたいと監獄長に頼み、公爵と監獄長は姿を消す。
イザベラはアンジェロに持ちかけられた助命の条件をクローディオに伝える。クローディオは始めは死の決心をするが、やがて死への恐怖を語り始め、アンジェロの要求を飲むように頼む。激しく怒るイザベラ。
公爵が現れクローディオに語る。アンジェロは人の心を試しているだけだ、助かる見込みはないのだと。アンジェロは妹への言動を悔い、去る。
公爵はイザベラと二人きりになり知恵を授ける。アンジェロには昔、マリアナという結婚相手がいた。彼女が持参金と裕福な兄を失くしたためにアンジェロは、彼女の不義をでっちあげて結婚を取りやめたのだという。作戦はこうだ。イザベラは今晩アンジェロのベッドを訪ねると約束し、そこに沈黙と暗闇という条件をつける。イザベラは約束を取り付けたら公爵とマリアナのもとを訪ね、マリアナは彼女と入れ替わってアンジェロのベッドへ向かう。そうすればアンジェロは言い逃れできず、マリアナも恋が叶い、兄も助かると。イザベラと公爵は早速計画に取り掛かる。
第二場 監獄の前の街路
エルボー巡査がポンペイを連行している所に出会う公爵。実際の罪人と、罪を隠しているアンジェロを比較する。
ルーチオが来て、ポンペイをいじるだけいじって見送る。
ルーチオは修道士の姿の公爵に、公爵の居所を訪ね、ついで公爵をけなし始める。公爵も自身の弁護を始めるが、ルーチオは公爵の友人なのだ、知っているのだと強気の発言。やがてルーチオは去る。公爵は覚えのない中傷にぷるぷるする。
オーヴァダンがエスカラスに連行されてくる。彼女はルーチオの密告で捕まったらしい。ルーチオが娼婦と作った子供を育ててやったのに!と悔しがるオーヴァダン、連れられていく。
エスカラスは修道士=公爵に、クローディオの死への覚悟はどんな具合かと訪ねる。もうすっかり決まっているようだと公爵は答え、エスカラスはクローディオの命を惜しむ。自分だったらこんな判決にはしないのに、と。エスカラス去る。
公爵一人。改めてアンジェロを罰する覚悟を決めて、去る。
★第四幕★
第一場 聖ルカ教会近くの農家
マリアナは少年の歌声に聞き入っている。公爵が彼女を訪ねてくる。マリアナと少年を一時下がらせ、公爵はやってきたイザベラと話をする。
イザベラはアンジェロとの待ち合わせの詳細を公爵に伝える。公爵はマリアナを呼び戻す。
マリアナはイザベラから計画を聞き乗り気。別れ際に「兄のことをお忘れなく」と伝えるようにイザベラは彼女に頼む。一同は計画に向け気合を入れる。
第二場 監獄内の一室
監獄長はポンペイに、首切り役人の助手をしないか、刑期を短縮するからと持ちかける。
首切り役人アブホーソンが呼び出され、ポンペイを助手にと監獄長に言われるが断る。監獄長出ていく。
アブホーソンとポンペイが話す。死刑執行には良い腕が必要だから任せられないというアブホーソン。
監獄長が戻ってくる。アブホーソンはなんだかんだポンペイを助手にすることにし、彼を連れ出ていく。
死刑囚のクローディオが呼ばれ、死刑執行の時間を伝えられる。ノックの音が聞こえ、クローディオは去る。
監獄長を訪ねてきたのは修道士に変装した公爵。クローディオの死刑について二人が話しているとまたもや激しいノック。
アンジェロからの使者が来る。書状を差し出し去る使者。
書状にはクローディオの死刑を必ず執行してアンジェロに首を見せるように、とある。同時に死刑執行の予定のバーナディンに関しては遅れてもよい、と。公爵は赦免状だと思っていたが当てが外れ、監獄長に死刑執行を延長するよう頼む。クローディオが有罪ならば必ずアンジェロも同じ罪をおかしている、それを証明するのに時間が欲しい、と。公爵はバーナディンの首をはねてアンジェロに届けるように頼む。首はなんとかごまかせるからと。戸惑う監獄長に公爵は、公爵直筆の印と手紙を渡す。このことであなたが責められることはないと保証するためだ。バーナディンの死刑執行準備が始まる。
第三場 監獄内の別の場所
ポンペイは監獄を見舞わす。かつて自分の店の客だった者ばかり収監されている。
アブホーソンはポンペイに、バーナディンを連れてくるよう言いつける。
バーナディンは酔っ払っていてぐずぐずしている。
修道士(公爵)がバーナディンを諭しに来るが、バーナディンは監獄へ引っ込んでしまう。
監獄長はポンペイとアブホーソンにバーナディンを追わせ、公爵と話をする。
監獄長はバーナディンの代わりに、熱病で死んだ海賊の首をアンジェロに届けてはと提案。公爵も承知し、クローディオはバーナディンと同じ監獄に隠すよう命じる。
公爵はアンジェロに対し、もうすぐ戻る旨の手紙を書くことを思いつく。
監獄長は海賊の首をアンジェロに届けに行く。
イザベラが来る。公爵はまだ偽の首の事は告げず、クローディオは処刑されたのだと伝える。(後で沢山喜ばせたいから伝えないらしい)続いて、明日公爵が帰ってくること、その後にアンジェロに報復するのが良いということを伝え、ピーター神父への手紙を届けるように伝える。
そこへルーチオが来て公爵の悪口を言い、イザベラに対してクローディオを哀悼する気持ちを告げる。イザベラ去る。
ルーチオは公爵が実は女好きだという話をし、昔自分が娼婦を妊娠させたが公爵の前で知らぬ存ぜぬで通した、という話もする。
第四場 アンジェロ邸内の一室
アンジェロとエスカラスは公爵からの手紙に困惑している。明日の帰国を門で出迎え、その際に権限を返還するように。また、不正な裁きの取り消しを求める者があれば請願書を街頭で提出するように、とのこと。実行する準備のため、エスカラスは去る。
アンジェロはクローディオを処刑した事(思い込み)を深く嘆く。自分がイザベラ(実はマリアナ)の処女を奪った罪が心に刺さるのだ。
第五場 市外の野原
変装を解いた公爵はピーターに自分の手の者を集めさせる。
第六場 城門近くの街頭
マリアナとイザベラが話をしている。イザベラは公爵に、君を非難することがあっても計画の内だ、と言われたらしい。
ピーターがやってきて、二人を公爵が帰還する門へと導く。
★第五幕★
第一場 市の大門近くの広場
公爵をアンジェロとエスカラスが出迎える。公爵はアンジェロの統治を褒め称える。
ピーターとイザベラが現れ、イザベラは正しい裁きを、話を聞いてくれと公爵に求める。アンジェロはイザベラを気狂い扱いする。イザベラはクローディオ処刑のいきさつ、兄の助命の為、ベッドを共にするよう迫られたこと、それを守ったのに兄を処刑されたことを暴露。公爵はアンジェロの節操の硬さを説き、イザベラに対し誰に唆されたのかと聞く。イザベラとルーチオはロドウィク神父の名を出す。公爵が化けていた神父だ。続いて修道士ピーターは、イザベラの主張が事実無根であると主張。それを証明するためにマリアナが登場。
マリアナは、イザベラが抱かれたと言う時刻には自分が抱かれていたのだと告白。そして自分はアンジェロの妻だという。アンジェロはかつて婚約はしたが持参金のトラブルと不身持ちの噂により解消したのだと主張。マリアナはあずま屋でアンジェロと交わった事を告白する。アンジェロは怒りマリアナを自ら裁くと宣言。公爵はイザベラたちを焚き付けたロドウィク神父を探すよう監獄長に命じる。
公爵は事件の調査をアンジェロとエスカラスに命じ一時去る。そして修道士(公爵)となって監獄長と共に現れ、アンジェロを糾弾する。エスカラスはその無礼を咎める。エスカラスは修道士を引っ立てるようにルーチオに命じ、ルーチオは修道士の目深に被ったフードを脱がすと公爵登場。ルーチオは修道士の前で散々公爵の悪口を言ったことを後悔する。アンジェロは罪を告白し死刑を求めると、公爵は彼とマリアナを結婚させるよう言いつける。
公爵はイザベラに、兄を救えなかった事を詫びる。
アンジェロとマリアナは結婚を済ませて戻ってくる。改めて公爵はアンジェロに死刑を言い渡す。マリアナは助命を嘆願。マリアナはイザベラにも助けを求める。公爵は嘆願を退ける。次いで、クローディオを異例の時刻に処刑した事を咎め監獄長を免職に。監獄長は後悔を述べ、バーナディンの名を出す。公爵はバーナディンを連れてくるよう命じる。
監獄長はバーナディンと覆面のクローディオとジュリエットを連れて戻る。公爵はバーナディンの罪を許し、次にクローディオの覆面を取らせる。クローディオだ。公爵はイザベラに求婚する。ルーチオにはかつて彼が妊娠させた売春婦を妻とする事を命じ、監獄長の免職も取り消し、アンジェロも赦し、全てに収集をつけた後、改めてイザベラに求婚する公爵。
幕
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