『友達〈改訂版〉』
作:安部公房
1967年

「さからいさえしなければ、私たちなんか、ただの世間にしかすぎなかったのに……」

安部公房の有名戯曲『友達』
改訂版の改訂要素は、祖母→祖父だったり、兄弟が増えてたり(たしか改訂前のやつに三男はいなかったような気が…)する。

人との繋がりを大事にしよう、孤独はよくないよ!
と、突然知らない家族が一人暮らしの男の家に押しかけてくる。
追い出そうにも追い出せず、警察を呼んでも「危害を加えられていない」事から相手にしてもらえない。
やがて男の生活は家族に乗っ取られていき…

というなんともハチャメチャなのに妙にリアルで恐ろしい戯曲。

善意を掲げて近付いてくる集団の存在は、色々な物に読みかえられそう。
コントのような軽妙なタッチで恐ろしい結末に連れて行かれる戯曲。
上演も、安部公房戯曲ではわりと頻繁に行われているイメージ。
文庫で読める手軽さも嬉しい。


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【収録】
『友達・棒になった男』
著:安部公房
昭和62年 新潮文庫

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【あらすじメモ】

一幕

1
家族たちが登場し、一人ぼっちの人を救ってあげたいと主張し、去る。平均的だが怪しげな家族。

2
男が恋人と電話している所に、ドアを叩く音。

3
家族が男の家に侵入する。男は警察に通報しようと電話を取る。

4
通報しようとする男に対して、孤独はいけないと説く家族たち。

5
警察とアパートの管理人が到着するが、あまり積極的でない様子。家族は警官たちに笑顔で接し、男は必死に不法侵入を訴えるが、警官たちは「暴力の証拠もないし事件には出来ない」として帰ってしまう。

6
タバコ泥棒騒ぎからの足払い、泥棒猫論、スリ騒動。男から財布をすったと皆に疑われた長男だが、手品の手腕で会計係の母の手元に現金を入れる。
金を得た家族は、一転結託してしらばっくれる。色々騒動があったところへ、男の彼女から電話。
男は電話の間だけ静かにしてくれ、そうすれば今夜は泊まっていいと譲歩するが、通話中も騒がしくなり電話は切れてしまう。
家族たちは素早く男をハンモックに乗せ自分たちも寝る準備。




二幕

7
男と待ち合わせをしている婚約者だが、先に長男が接触する。

8
男は婚約者に状況を説明し分かって貰えそうになるが、一枚の写真から急激にこじれ、婚約者は去ろうとする。近くに兄が来ているから相談してくる、という。

9
取り残された男に三男が接触。都会は冷たい、というエピソードを話すが、それは家族が婚約者の兄に接触するための時間稼ぎだった。

10
婚約者の兄も家族たちに取り込まれている。

11
しばらく後。
長女が男を逃がそうとしたと次女に詰められている。長女も男も言い訳するが、結局男は檻に入れられることになる。

12
男、檻の中で胎児のようにうずくまったり犬のマネをしたりする。

13
次女が男に食事を運ぶ。男は世界との繋がりがどんどんなくなっている。
次女は彼に毒を盛り、男は死ぬ。そして家族は新たな引越し先を求めて去っていく。