『夏の夜の夢』
原題:A Midsummer Night's Dream
作:ウィリアム・シェイクスピア
執筆年代:1595〜96年
訳:松岡和子(ちくま文庫)

「芝居というものは最高の出来でも所詮は影、そのかわり最低のものでも影以下ということはない。想像力で補えばいいのだ。」

シェイクスピア作品の中ではかなり人気のある部類の喜劇。
貴族たちの世界、町人の世界、森の妖精の世界が、
ある夜森の中で交錯して巻き起こすドタバタコメディ。


四人の恋人たちのすれ違う恋に妖精の惚れ薬が加わり、本物の恋が偽りとなり、偽りの恋が実を結ぶ。
職人の頭はロバに変わり、爆笑悲劇で幕を閉じる。

これだけ出来事が混乱してるのに、世界観がハッキリしてるので混乱せず読める。
関係性が混乱した恋人たちのやり取りは、観る側も演じる側も、とても楽しそう。


【収録】
『夏の夜の夢・間違いの喜劇』【Amazonで購入】
訳:松岡和子
ちくま文庫

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【ネタバレあらすじメモ】


第一幕

第一場 シーシアス公爵の宮廷

シーシアスはヒポリタとの婚礼を心待ちにしている。式にアテネの若者たちを誘うように部下に命じる。

ハーミアの父イジーアス、娘のハーミア、ライサンダー、ディミートリアスが来る。
イジーアスはハーミアの許嫁ディミートリアスを差し置いて、ライサンダーが娘の心を奪ってしまったからどうにかしてくれと訴え出る。
シーシアスが説得を試みるもハーミアのライサンダーへの愛は変わらず、シーシアスは彼女に
「次の新月までに、死ぬか尼になるか結婚するか決めるように」
と言い渡す。
ライサンダーはシーシアスに、ディミートリアスはヘレナという女性を口説いて、彼女は彼に夢中なのだと告げる。
シーシアスもその事は耳に挟んでおり、イジーアスとディミートリアスに話があるからと出ていく。

残されたライサンダーとハーミア。
二人は明日の晩こっそり家を抜け出し、森で合流し、ライサンダーの叔母を頼って駆け落ちをする事に。

そこへヘレナがやってくる。
二人は彼女に駆け落ちの計画を打ち明け出ていく。

ヘレナはディミートリアスに、二人の駆け落ちの事をバラす事にする。森へ向かうディミートリアスの姿を見られるだけでも、彼女には幸せなのだ。


第二場

アテネの町の職人たちが、シーシアスの結婚式で披露する芝居の打ち合わせで集まっている。配役が発表される。
ボトムは全部の役を自分がやりたがるほど、なんだか面白い人。


第二幕

第一場

オーベロン側のパックとティターニア側の妖精が出会う。オーベロンとティターニアは現在、インドの子供を巡って対立中である事が明らかになる。

と、オーベロン、ティターニア登場。
出会った早々から喧嘩腰の二人。オーベロンはヒポリタに、ティターニアはシーシアスにそれぞれ入れあげている事もあり、嫉妬合戦。お陰で森のバランスが狂っている。
ティターニアは出ていく。

オーベロンはパックを呼びつけ、浮気草を取りにやらせる。眠っているときにまぶたに塗れば、目覚めて最初に見たものを恋い慕うようになるという草だ。
これをティターニアに塗り、その隙にインドの子供を取り上げようという計画。
もちろん、解除する草もある。

と、悪巧みするところへディミートリアスとヘレナ。
ディミートリアスは徹底的にヘレナをなじり突き放すが、ヘレナはそれが快感でもあるように後を追い回す。
その様子を見たオーベロンは、ヘレナに味方したくなる。
二人は去っていく。

オーベロンは戻ってきたパックと草を分け、自分はティターニアに塗りに、パックには
「アテネの男」のまぶたに塗り、その男に恋い焦がれる女の姿を最初に見せるようにするよう言いつける。


第二場

ティターニアは妖精の歌で眠りにつく。
オーベロンはやってきてまぶたに例の薬を塗り去る。

ライサンダーとハーミアがやってきていちゃいちゃする。ライサンダーは傍に寝ようとするが、ハーミアは乙女の慎みを発揮して、離れて寝るように言う。二人が離れて眠ると、そこにパック。
アテネの男をようやく見つけ、離れて寝ている二人を見て勘違い、ライサンダーの目に薬を塗る。

そこへディミートリアスとヘレナ。
相変わらず追いかけっこしているが、ディミートリアスは逃げる。
ヘレナは寝ているライサンダーを発見し、起こす。
ライサンダー、途端にヘレナに求愛するが、ヘレナはライサンダーが自分を馬鹿にしていると思い込み、悲しみ出ていく。
ライサンダーはハーミアに憎しみの言葉を向け、ヘレナの後を追う。
一人目覚めたハーミアはライサンダーを探しに行く。


第三幕

第一場

職人たちが芝居の稽古をしているところにパックが現れていたずらをする。
ボトムが引っ込んだスキに彼の頭をロバの頭に変えて、再登場の際に一同パニック。
職人たちは逃げ去るが、その騒ぎの中ティターニアは目を覚ましロバ頭のボトムを目撃。
薬の効果から彼女はボトムに一目惚れし、妖精たちに彼をもてなさせる。

第二場

パックはオーベロンに手柄を報告する。
と、ディミートリアスとハーミアがやってくる。

ハーミアはディミートリアスが、眠っているライサンダーを殺したのだと疑い物凄い勢いで非難する。
ディミートリアスは潔白を訴えるがハーミアの怒りはおさまらず、去っていく。
ディミートリアスは疲れから眠ってしまう。

オーベロンはパックが「アテネの男」を勘違いしたことをこの様子から知り、ヘレナをこの場に連れてくるよう言いつける。
その間に彼はディミートリアスの目に薬を塗る。

パックかの報告。
ヘレナはライサンダーに追いかけられもうすぐこの場に到着する。
ディミートリアスが魔法にかかれば二人の男がヘレナを口説く。パックはこの状況が楽しくてたまらない。

ヘレナとライサンダーがやってくる。
ディミートリアスは目を覚ましヘレナを見、早速ヘレナに愛の告白。
ヘレナは二人に馬鹿にされているのだと心底傷つく。
ライサンダーとディミートリアスはお互いに「ハーミアはお前にやる」と言い、ヘレナを奪い合う。

そこへハーミア。
ハーミアはライサンダーとの再会を喜ぶが、ライサンダーはヘレナに夢中。
その様子を見てヘレナは推測する。
ハーミアもグルで、自分をからかっているのだと。ヘレナは深く傷つきハーミアに抗議するとディミートリアスとライサンダーは自分の愛を証明しようとする。
この様を見てハーミアは本当にライサンダーの心が変わったのだと知る。
ハーミアはヘレナがライサンダーを奪ったのだと怒り狂い、ヘレナも応戦、その最中にライサンダーもディミートリアスも対立しつつヘレナを援護するというカオス極まる状況になる。
ライサンダーとディミートリアスは決着をつけるためどこかに行き、ヘレナは逃走、ハーミアも去る。

オーベロンとパック。
オーベロンはパックに惚れ薬の効果を解く薬を渡し、四人をそれぞれ引き離しつつライサンダーに薬を塗るよう指示。
果たして恋人たちはそれぞれ眠りにつき、パックはライサンダーの薬の効果を解除する。


第四幕

第一場

ティターニアにもてなされ、ボトムはいい気で眠りにつく。ティターニアも彼とともに眠ると、そこへパックとオーベロン。
オーベロンはティターニアからインドの子供を奪ったので満足、魔法を解く。
パックもボトムの頭を治してやり、妖精たちは去っていく。

シーシアス、ヒポリタ、イジーアスらがやってきて寝ている恋人たちを発見。
シーシアスがハーミアの結婚騒動の答えを問うと、ライサンダーはハーミアと駆け落ちしたのだと答える。
イジーアスは怒ってディミートリアスに同意を求めるが、ディミートリアスは「ハーミアへの愛は冷めてヘレナを愛している」と告白。
シーシアスはこれはめでたいと、三組の結婚式を挙げることを宣言し、皆は去っていく。
残されたボトムも一人目を覚まし、奇妙な夢を見たと不思議がる。

第二場
職人たちのもとへボトムが戻る。
結婚式の余興に彼らの芝居が採用される事になり、一同は慌ただしく準備する。


第五幕

第一場

ヒポリタとシーシアスが、恋人たちから聞いた話を不思議に思っていると、カップルたちもやってくる。

シーシアスは一通り余興のラインナップを聞き、ボトムたちの芝居を観ることに決める。
不器用なものの真心を大切にしたい、といういい台詞。

職人たちの芝居「ピラマスとシスビー」が劇中劇として始まる。
役者が客に自分の素性を説明したり、演技が信じられないほど臭かったりしてカップルたちもツッコミながら「爆笑悲劇」を楽しみ、最後に職人たちの踊りがあって余興は終了。
恋人たちも去っていく。

パック、オーベロン、ティターニアらが登場し、幻想的な夜の空気で恋人たちを祝福する。

さらにパック一人残り、観客に挨拶し、幕。