『道成寺(一幕劇)』
作:郡虎彦(1890-1924)
初演:1912年4月
安珍と清姫の物語として知られるいわゆる
『道成寺』のその後の話。
道成寺の山全体が清姫の呪いにかかり、
男は一度足を踏み入れたら帰れない山になっている。
寺の僧たちは必死にその呪いを祓おうとするが、和尚は気が触れて、いわくつきの鐘を再度作り…。
そして山に迷い込んだ若い僧の運命は…。
郡虎彦…知らない…とWikipediaを見ると、
二十代でヨーロッパに渡り、イタリアで能を上演してイェイツに刺激を与えた、とか。
それによってイェイツが『鷹の井戸』(能っぽい戯曲)の霊感を得た、とか。
台詞の装飾が見事で、和製シェイクスピアっぽい。
和製シェイクスピアといえば三島由紀夫!
と思ったら、郡さん、三島由紀夫にも多大な影響を与えていたとか…。
結構戯曲書いてる様子なので、ちょっと全集とか探してみたい。
青空文庫には現在、この『道成寺』のみの収録。
三十代で亡くなってる早逝の劇作家・郡虎彦。
面白かったです。

【ネタバレあらすじメモ】
第一段
迷い込んだ若僧と妙信(60歳くらい)が、和尚が崖に登るのを見てる様子。
この寺の鐘には悪蛇の呪いがかかっているとか。その音が災いを呼びそうと震える。
呪いは山全体を包んでいるらしく、一度上ると無事に下山することが出来ない。
若僧は不壊の知識(不老不死的な)を求めて山を上ってきた。
呪いの起こりは20年前、清姫という14の娘が男を追って大蛇になり、寺の鐘に巻き付いて、鐘に隠れた男もろともに溶けてしまったことからである。
和尚は以後、その怨念が頭に入り込み、日一日と狂っていった。
現在の鐘は、依志子という怪しい女の鐘造が、和尚と邪淫にふけり生んだ子と共に作り上げたもの。
ゆえに鐘の音には邪悪な響きがある。
女の呪いゆえか、山へは女は自由に出入りが出来る。
しかし鐘の出来た日から山は女人禁制となった。
若僧は自分を呼ぶ怪しげな声を聞く。
第二段
そこへ、妙源、妙海がやってくる。
妙源は荒々しい風貌、妙海は常識ありそう。共に中年。
二人とも山門の見張りをしていたが、怖くて合流しにきた。
僧たちは、悲惨な目にあった妙良の事を思い出し一層怖がる。
女の髪が草の上を擦れるような不気味な音が聞こえて、一同びびる。
第三段
和尚・妙念が怪しげな目の光で登場。
四人を見ると、女蛇が化けた姿だ、分かってるんだ!と罵る。
若僧逃げ出し、追う和尚。
凄まじい叫び声が聞こえ、戻ってきた和尚は血だらけである。
若僧を岩に打ち付けて殺した様を語り、
蛇は殺した安心しろと告げるが、
僧たちが何も言わないので、己らも蛇の化身かとキレる。
僧たち、釈明する。
第四段
依志子がやってくる。三十歳くらい。
和尚は蛇を倒したと告げるが、依志子は、それは違う、自分は先程鬼女が三人に分裂して山を上がるのを見た、もう来るはずだと告げる。
和尚は僧らに山門の警備を命じ、
依志子から詳細を聞く。
やがて依志子の様子おかしくなる。
和尚もおかしくなる。
第五段
三人の鬼女に別れた清姫、鐘の所に姿をあらわす。
依志子倒れる。
三人の僧らが逃げ駆け込んでくる。
寺が火事になり、山全体が燃えている、滝に逃げるより生きる道はないと和尚に説く三人だが、和尚は立ち尽くしたまま動かない。
三人は和尚を見捨てて逃げる。
和尚、気がふれた様子で山の赤きを見る。
幕が降り始め、鬼女ら姿を現し、終焉。
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