『きりぎりす』
著:太宰治
新潮文庫
【書籍情報はコチラ】
女性一人称語りの『灯籠』『皮膚と心』『きりぎりす』『千代女』
が一冊に収まった文庫。
さらに、おしゃれと犬に異様な執念を見せる『おしゃれ童子』『畜犬談』
ドライな質感で破滅を語る『水仙』『日の出
前』
心中物の『姥捨』、名作すぎる短編『黄金風景』
やぶれかぶれの『善蔵を思う』
戦地の兵隊と本土の自分を描く『鴎』
見栄っ張りがかわいい『佐渡』に、
ベテラン作家と新進作家の書簡の往復というスタイルで描かれる『風の便り』
どれだけスタイルを持ってるんだと、この一冊だけでも「楽しませ」精神に感服する。
その多様なスタイルの中を一本貫くのが、
人が進んでは語りたがらない、ドロっとしたもの、恥ずかしい部分。
あとがきでよく書かれている、
太宰治は自らを「十字架にかけた」
というような文言も、なるほどなぁである。
人一倍カッコつけたい人であろうに、
人一倍カッコ悪い所をさらけ出している。
そこになにやら前向きさがあって、好きなのである。

【ネタバレあらすじメモ】
リンクは私の朗読へ飛びます。
『灯籠』
「牢はいったい誰のためにあるのです。お金のない人ばかり牢へいれられています」
付き合っている男にいい水着を着せたい一心で水着を万引きし、捕まり、演説をぶち、男には学問のない女と見下される、さき子の独白。
『姥捨』
二人とも心中し損ねて、男は逃げる。
心中に踏み切るまでの、女は生かそう、という心理描写。
『黄金風景』
名作過ぎる短編。
幼少期にいじめ抜いた女中との不意の再会、幸せそうな家族の光景。
「負けた。これは、いいことだ。そうなければ、いけないのだ。」
『畜犬談』
犬が怖い、憎いとさんざこき下ろしていた作者が、犬に襲われぬようにへつらっていたら逆に好かれてしまい、犬を飼う。愛情すら感じる。
「弱者の友なんだ。芸術家にとって、これが出発で、また最高の目的なんだ。」
『おしゃれ童子』
子供の時からおしゃれ。うまくいかないと、センスが死ぬ。
『皮膚と心』
できものが身体中に出来てしまった女の独白。
集合体恐怖症的な所から美しさが命、まで。
皮膚の潔癖、心の潔癖。
ぐるぐる考えてぽかんと解決。
「女は、肌だけで生きて居るのでございますもの。」
『鴎』
戦地から送られてくる兵隊さんの小説、家まで訪ねてきた編集者、寿司屋の女中の事など。
『善蔵を思う』
三鷹へ引っ越し、百姓女風の者からバラを売り付けられ断れない。
故郷の名士を集める会合にうっかり出席してしまい、
故郷に錦を、という思いと、
自分は誰にも相手にされない、
という思いとの間で引き裂かれ、
酒を飲み、暴言を吐く。
名誉を、諦めろ。
後日、バラは大層いいものだと友人に聞かされる。
「まんざら嘘つきでもないじゃないか」
嘘から出る美しさも、ある。
『きりぎりす』
女の独白。画家の旦那が、自分にしか理解できぬ天才だと思っていたが、めきめき売れ、その様子がまるで愚物のようになっていく。お別れします、という。
「心の中で、遠い大きいプライドを持って、こっそり生きていたいと思います。」
「この世では、やはり、あなたのような生きかたが、正しいのでしょうか。」
『佐渡』
佐渡へやってきた太宰。
船から佐渡のシルエットを見間違えて人に教えたか?とオロオロする様がかわいい。
『千代女』
子供のときに書いた作文で天才文学少女と祭り上げられた女性の、現在。
文学への念。
『風の便り』
作家と作家の手紙のやりとり、という形式で描かれる作品。
天才とは、自分のことをしょうもないと思っている人。
『水仙』
世辞で持ち上げられているのか、本当に才能があるのか。その狭間で狂気に落ちた人妻の話。
『日の出前』
放蕩な兄と優しい妹。
家庭を崩壊に導く兄に悩んだ父はボートに兄を乗せて…。
実際に起きた事件がモチーフらしい…。
著:太宰治
新潮文庫
【書籍情報はコチラ】
女性一人称語りの『灯籠』『皮膚と心』『きりぎりす』『千代女』
が一冊に収まった文庫。
さらに、おしゃれと犬に異様な執念を見せる『おしゃれ童子』『畜犬談』
ドライな質感で破滅を語る『水仙』『日の出
前』
心中物の『姥捨』、名作すぎる短編『黄金風景』
やぶれかぶれの『善蔵を思う』
戦地の兵隊と本土の自分を描く『鴎』
見栄っ張りがかわいい『佐渡』に、
ベテラン作家と新進作家の書簡の往復というスタイルで描かれる『風の便り』
どれだけスタイルを持ってるんだと、この一冊だけでも「楽しませ」精神に感服する。
その多様なスタイルの中を一本貫くのが、
人が進んでは語りたがらない、ドロっとしたもの、恥ずかしい部分。
あとがきでよく書かれている、
太宰治は自らを「十字架にかけた」
というような文言も、なるほどなぁである。
人一倍カッコつけたい人であろうに、
人一倍カッコ悪い所をさらけ出している。
そこになにやら前向きさがあって、好きなのである。

【ネタバレあらすじメモ】
リンクは私の朗読へ飛びます。
『灯籠』
「牢はいったい誰のためにあるのです。お金のない人ばかり牢へいれられています」
付き合っている男にいい水着を着せたい一心で水着を万引きし、捕まり、演説をぶち、男には学問のない女と見下される、さき子の独白。
『姥捨』
二人とも心中し損ねて、男は逃げる。
心中に踏み切るまでの、女は生かそう、という心理描写。
『黄金風景』
名作過ぎる短編。
幼少期にいじめ抜いた女中との不意の再会、幸せそうな家族の光景。
「負けた。これは、いいことだ。そうなければ、いけないのだ。」
『畜犬談』
犬が怖い、憎いとさんざこき下ろしていた作者が、犬に襲われぬようにへつらっていたら逆に好かれてしまい、犬を飼う。愛情すら感じる。
「弱者の友なんだ。芸術家にとって、これが出発で、また最高の目的なんだ。」
『おしゃれ童子』
子供の時からおしゃれ。うまくいかないと、センスが死ぬ。
『皮膚と心』
できものが身体中に出来てしまった女の独白。
集合体恐怖症的な所から美しさが命、まで。
皮膚の潔癖、心の潔癖。
ぐるぐる考えてぽかんと解決。
「女は、肌だけで生きて居るのでございますもの。」
『鴎』
戦地から送られてくる兵隊さんの小説、家まで訪ねてきた編集者、寿司屋の女中の事など。
『善蔵を思う』
三鷹へ引っ越し、百姓女風の者からバラを売り付けられ断れない。
故郷の名士を集める会合にうっかり出席してしまい、
故郷に錦を、という思いと、
自分は誰にも相手にされない、
という思いとの間で引き裂かれ、
酒を飲み、暴言を吐く。
名誉を、諦めろ。
後日、バラは大層いいものだと友人に聞かされる。
「まんざら嘘つきでもないじゃないか」
嘘から出る美しさも、ある。
『きりぎりす』
女の独白。画家の旦那が、自分にしか理解できぬ天才だと思っていたが、めきめき売れ、その様子がまるで愚物のようになっていく。お別れします、という。
「心の中で、遠い大きいプライドを持って、こっそり生きていたいと思います。」
「この世では、やはり、あなたのような生きかたが、正しいのでしょうか。」
『佐渡』
佐渡へやってきた太宰。
船から佐渡のシルエットを見間違えて人に教えたか?とオロオロする様がかわいい。
『千代女』
子供のときに書いた作文で天才文学少女と祭り上げられた女性の、現在。
文学への念。
『風の便り』
作家と作家の手紙のやりとり、という形式で描かれる作品。
天才とは、自分のことをしょうもないと思っている人。
『水仙』
世辞で持ち上げられているのか、本当に才能があるのか。その狭間で狂気に落ちた人妻の話。
『日の出前』
放蕩な兄と優しい妹。
家庭を崩壊に導く兄に悩んだ父はボートに兄を乗せて…。
実際に起きた事件がモチーフらしい…。
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