下北沢演劇祭参加
ここ風 〜其ノ十八〜
『トタン屋根でスキップ』
作・演出:霧島ロック
日程:2020年2月5〜11日
料金:前売3500円/当日3800円
会場:下北沢シアター711
アイツが店の金を盗って 行方くらました時
俺は正直ホッとした
これでホントのことを話さずに済むって
前回の『ッぱち!』に引き続き、
ここ風観劇。
おおざっぱな物語の形として、
どこかで傷を抱えた人が、
人生の「ホーム」みたいな場所を再訪して、
人間関係や抱えた傷を修復して、
旅立っていく
みたいな事が共通していて、
あぁ、これが団体のカラーなのかしら、と。
わりとこういう「ザ・人間ドラマ」みたいなものが、
私苦手なんですけど、
前回に引き続き楽しく観ました。

いかにも「良い話」を紡ぐプロットなのだけど、
人物のほとんどが関西弁&ノリが関西人、
という所が、
「泣かせますぜ!」
みたいな空気を微塵も感じさせないのが良いのかもしれない。
結構深刻なシーンですら、どこかに茶々を入れてくるバランス感覚が、とてもよかった。
関西弁世界に適応するまでの序盤はやや違和感を感じるものの、
いつの間にか世界に引きずり込まれている感じがする。
前半に、人間関係の「謎」みたいなものを匂わせておいて、
後半怒濤の伏線回収をしていく感じも楽しい。
「えー!そうだったのか!」
と素直に入り込める。
匂わせ方も、あからさまでなく、かといって全く気づかないわけでもなく、
関係性の「しこり」みたいなものが丁度よく見えてくる。
後半に入ると、伏線回収のためもあって、
結構、「昔の出来事」を人物がわりと長めに語るシーンが多くなる。
そんなに昔の事をぽろぽろ喋るかしら?
と感じなくもないものの、
いやいや、喋るか。と思ったりするので、
捻り出すように語られる「しこり」も違和感なく観られる。
一つの場所に集う人々が、
もつれ、からまり、ほどけていく。
うまくいかない、けどそれでいい、
みたいなとこがあって、
生きてゆく事の肯定、みたいな事を感じる。
良い話だった!感動しました!
という感想を素直に出せる、
押し売ってこない感動。
舞台の良い話で泣く事なんて滅多にないんだけど、
少し、じんわりきました。
願いのような、祈りのような、僅かなファンタジー要素が、ひどく刺さりました。
ラストシーン周りに関してはもう、
「そこまで語らなくてもしっかり観てたから伝わりますよ!大丈夫です!」
という気も、少ししました。
うっかり聞き逃してると「?」ってなる可能性もあるけれど、何も説明なくても、
グッとくるシーンだなぁ、と思います。
全体的に、喜劇と悲劇の間をいくバランス感が、
絶妙なんだろうなー、なんて思いました。
この団体がチェーホフとか上演するの観てみたい。
と思ったりした。
きっと、面白い。
さて、この団体に、
香月健志、という俳優がいるんです。
僕が文学座の研究生だった時分に同期だった男なんですけど、
尖りすぎて筆記用具ではなくなってしまった鉛筆、
みたいな俳優だと思っていたんです、当時から。
その香月くんが、これ以上ないくらいに、
その性能を発揮している!
さすが所属団体!
と、前回も今回も思いました。
出てくるだけで、客席の空気が優しくなる、
稀有な才能だと思います。
私の、密かな推し俳優です。

香月くん。
そして、後藤英樹さんの雰囲気が、パーフェクトに素敵でした。
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