𠮷田見本市夫婦公演2
『仮面夫婦の鑑』『リボン・ルーム』
日程:2019年7月26〜29日
料金:前売・当日3000円 性別不問のカップル割5500円
会場:新宿眼科画廊
チラシの絵がかわいい。
「仮面夫婦の鑑」
作・演出:横山拓也(iaku)
と
「リボン・ルーム」
作:池田美樹(劇団きらら)
演出:國吉咲貴(くによし組)
のセット公演。
どちらも二人芝居で、
『仮面夫婦の鑑』の一場
↓
『リボン・ルーム』
↓
『仮面夫婦の鑑』の二場
という進み方をするのが面白かった。
出演者二人が一度違う人物になって、
そしてまた仮面夫婦に戻ってくる時の感じが、
久しぶりの友人に合ったようでおもろい。
『リボン・ルーム』の内容と、
『仮面夫婦の鑑』の時間経過も相まって印象的。
『仮面夫婦の鑑』の一場は、
自分が醜いと思って、
旦那の出張中に相談なしに整形した妻と、
その当て付け?仕返し?に、
イケメンから「中の下、いや、下の上」に整形した夫の喧嘩。
互いの大切に主張したい部分が食い違って、
どちらも分かり合いたそうなのにどんどん喧嘩になり、すれ違っていく。
こうやって舞台上で見ると「バカだなぁ、げらげら」と思うけれど、
いざ自分の身にこういったことが分かると、
必死に主張しているのに相手は
「分かってくれない」
と思っていることは多々あるだろうな、とヒヤリ。
妻が妊娠を打ち明け、
流れで和解。子はかすがい。
そして『リボン・ルーム』
死後の世界ぽいとこで、
後頭部が砕けた女と、首に包丁刺さった男が出会う、
という、あらすじだけでなんじゃそりゃ(笑)
の戯曲。
互いに狭い足場の上で自由に動けないらしく、
下に降りるとなんか暑いらしい。
照明が、女の頭についてるライトと、男が持ってるライトのみ、というアグレッシブな仕掛けだった。
やたらに暗いわ、上から降ってくる何かを待ってるわで、
芥川の『蜘蛛の糸』的な地獄を連想したけど、
降ってきたのは蜘蛛の糸じゃなかった。
この、やたらに暗い、というの、僕はもう、
「暗い!」中に「ライト!」
というだけで楽しい人間なので、
(過去に明かりが役者の持つ提灯だけ、という舞台を演出した事があるのも手伝って)
見えないことの面白さが凄かったけども、
人によっては「見えない」事へのストレスの方が大きかろうなと思った。
明かりを当てるタイミングとか計算されてはいるんだろうけど、
あまりに見えなすぎるのも損が大きいかしら、と思ったり。
特に、男が、女と運命を共にするような決断をするに到る変化、みたいなものが、
これたぶん表情見たいとこ!と思ったのだけど、
暗いのと前のお客さんの頭が被ってたのとでまるで見えず残念。
リボーン!と叫んで消えていく二人の背中が、馬鹿馬鹿しく、深かった。
そして『仮面夫婦の鑑』の二場に帰ってくる。
お腹が大きくなり、おそらくリボーンたちを宿している感じの妻。
二場の話題は、妻のヌードデッサンが、
夫の入った喫茶店に掲げられていた件について。
またも分かり合えない論争が続く。
「だったら俺はこうしてやる」
という報復が反感を生み、
相互理解が遠のいていく。
馬鹿馬鹿しいやり取りの中に、
分かり合えない人類の哀しみを、ふと感じる。
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