『はつかねずみと人間』<戯曲版&小説版>
原題:Of Mice and Men:A Play in Three Acts
作:ジョン・スタインベック(1902-68)
1937年 ミュージック・ボックス・シアター

スタインベックのドヤ顔がすごい。
エネルギーたくましそう。
大男で頭の鈍いレニーと、小柄で頭のキレるジョージの二人が、
自分たちの土地を手に入れるために働く農場で起こる、やるせない出来事。
小説版と戯曲版が存在する作品。
といっても、小説版も、作者が
「劇小説(Play-novelette)」
と名付けた形式で書かれていて、人物の台詞がかなり多い。
全集の解説によれば、この劇小説形式は、
戯曲を読み慣れない人に向けて、
スタインベックがより分かりやすくした結果だという。
同じく解説にもあったけれど、
その分、解釈の幅が固定されているとも言える。
しかし、実際読書好きでさえ少し敬遠しがち(なイメージのある)な戯曲形式にいきなり触れるよりも、
読みやすいのではなかろうか、と思う。
私は戯曲好きなので、初めから戯曲で書きなさいよ!って思ったけども。
全集の解説が非常に面白い。
小説版では、象徴的な意味合いの言葉が地の文に散りばめられてあるが、
舞台になると、それはそこに存在するから、
むしろ象徴的な理解がしやすい、ということ。
そう、まさに、これをしてるときもあれをしてるときも、そこにいる人はちゃんといて、物もちゃんとある、もしくは想起させられる。
いやぁ、演劇、面白いですね。
で、この『はつかねずみと人間』
どっちも面白かった。
小説版で、かなりの悪役ぶりを発揮する女性が、
戯曲版だと割と人間らしく描かれていたり。
逆に小説に登場する妄想のおばさんや大ウサギが戯曲版には登場しなかったり。
(大ウサギ面白いから残してほしかった)
舞台に乗せる上で、どんな所が変わったのか、
その効果まで想像してみる楽しみがある。
といっても大筋は変わらず、大がかりな仕掛けの変化もない。
野外で語られる夢の美しさから入って、
農場の人々の登場、不穏な出来事、夢の実現?、決定的な破滅と、
物語のお手本のような作りでポンポン進み、読みやすい。
なんか漂う嫌な予感もきっちりバッドエンドに向かっていき、
その中でも必死にハッピーを探そうとする人々の辛さが光る。
しかし、これも全集に書いてあって面白かったのがあって、
それは、スタインベックは常に、「強者の視点」から弱者を見てしまう、
ということ。
物語最終場において、
ジョージはレニーに対しある選択をするのだけど、
それは、強者の目から見た弱者への哀れみでしかなく、
当の弱者の気持ちに少しも寄り添う気配がない、
という解説の高村博正さんの論は、
まさにお説ごもっとも、となってしまう。
観る側も、話の流れから、自然に強者の視点に同化させられそうになる所が、
この作品の危うい所である、という。
最終場での感動は、強者の感動である、というのは本当に、言われてみればその通り、となる。
あぁ、ツライネ、こんなに辛いことってあるだろうか、かわいそうに、
というこの涙は、レニー視点では絶対に流せないものである。
まぁしかし、悪気がないとはいえ決定的な罪があるわけで、レニーを弱者として守り、
罪にも罰を与える方法はなんだったのか、
という話になると、
法の裁きの他に道はないじゃんよ、ということになる。
なので、「もうこれしかない」と、
リンチか、あるいは、の選択を提示した、
農場で神のごとき支配力を持つスリムさん、
あんたもっとなんとかできなかったのか、
と思いました。
老いて役に立たない犬を、
痛みを感じない方法で殺す、という、
中盤の安楽死問題が、全体に象徴的に流れているので、
こういう展開はしょうがないとしても、ですよ。
もっと他に方法はなかったのか!
という。
でもしかし、この、
「もっと他に方法はなかったのか!?」
という、誰も何も幸せにならない終り方こそが、
この作品の魅力でもあると言えるような。
もう、夢を語るシーンが美しすぎるだけに、
現実が凄惨すぎる。
そんな一冊でございました。
【収録】
(戯曲&小説)『スタインベック全集4 はつかねずみと人間<小説・戯曲>』
作:スタインベック/訳:高村博正
2000年 大阪教育図書
(小説版)『ハツカネズミと人間』
作:スタインベック/訳:大浦暁生
1994年 新潮文庫

【戯曲版・ネタバレあらすじメモ】
第一幕
第一場 サリーナス川の砂地の岸辺、木曜日の夕方
でこぼこコンビのレニーとジョージ、農場を目指す。レニーはジョージの夢語りが大好き。
ハツカネズミ、ケチャップ、うさぎ。
何かトラブルがあった時は、ここに集合。
第二場 飯場の内部 金曜日の朝遅く
農場にたどり着いた二人。
片腕の老人や親方、
その息子のヤバイやつカーリーとそのヤバい妻、
御者のスリムらと出会う。
レニーはスリムの子犬を貰いたい。
第二幕
第一場 第一幕二場と同じ、金曜日の午後七時半ごろ
ジョージとスリムが話す。
レニーとつるむ理由、前の農場はなぜ追い出されたのか、など。
片手を失くしたキャンディの老犬を始末する件。
キャンディの前で、ジョージとレニーは例の夢を語り始める。
キャンディ、自分は結構な財産を持っているからその話に乗っからせてくれ、と。
直に自分はここで用済みとなるだろう、そんなみじめな思いをしたくない、自分の土地が欲しい、と。
キャンディを仲間に加える。
そこへカーリー妻。だれかと喋りたいのだという。
ついで男たちの声が聞こえ、妻は去る。
(このタイミングでの妻の登場は、小説版にはない)
と、スリムとカーリーが帰ってくる。
カーリーは、妻とスリムがなんかあったのではないか、と疑うが、スリムにやりこめられ不完全燃焼。
夢の話でまだニヤニヤしているレニーを見て、喧嘩をふっかけ殴る。
耐えるレニーだが、ジョージが「やれ!」
と声をかけると、カーリーの拳を握り粉々に粉砕する。
カーリーを病院に連れていくことになる。
スリムは、「機械で怪我したんだよな?」と言い含める。でないと事の顛末を暴露する、お前は笑い者だ、レニーを追い出そうとするなよ、と。
第二場 馬係の部屋。納屋の外壁から外側にさしかけた小さな小屋。土曜日の夜一〇時
黒人・クルックスの馬屋。
皆が外に出ている間、レニーは子犬を可愛がりにくる。
クルックスに、夢の話をする。
クルックスは馬鹿の戯言だと思い、
「もしジョージがいなくなったらどうする?」
と問う。レニーは怒りに満ちてきた。仮に、が通用しない。
クルックスはレニーをなだめ、
人には仲間が必要だ、孤独は存在が危うい、と自分の愚痴を漏らす。
そこへキャンディ。
キャンディはレニーと共にクルックスに夢を語り、
クルックスも仲間に入れて欲しいと頼む。
街へ行っていたジョージが先に帰ってくる。
(小説版ではまだ帰ってこない)
カーリー妻現れる。
妻は、カーリーの拳を潰したのが誰か探している。
傷だらけのレニーに気付き、あんたがやったのね、ありがとう。
ジョージはそれ以上話さないように割ってはいるが妻と喧嘩になりそうに。
そこへ親方現れて、ジョージ、思いとどまる。
(小説版にある、妻による黒人差別がない)
第三幕
第一場 大きな納屋の端 日曜日の午後
皆は外でゲームをしている。
子犬を死なせてしまったレニー。
もうウサギの世話はさせてもらえないかもしれないとしょげる。
そこへキャンディ。昨夜の件、親方はクビにはしないそうだ、カーリーの妻もこっぴどく怒られた、と報告して去る。
(この件は小説にはない)
カーリーの妻が、小さなスーツケースを隠しにくる。
隠し終わり、レニーに気付く。
妻は昨日こっぴどく叱られたので、出ていこうとしていた。
内緒にするようにレニーに言い、会話を始める。
レニーはウサギの話、妻は自分の生い立ちの話。
少し話し、柔らかいものが好きというレニーに、
妻は髪を触らせる。
レニーの手が髪にからまり、悲鳴をあげる妻。
レニーはあわてて妻の口をふさぎ、
暴れさせないようにしていると、
妻の首の骨折れて死ぬ。
レニー逃亡。
キャンディが死体を発見し、ジョージを呼ぶ。
いつかこうなることは分かってた…。
ジョージは自分が共犯だと思われないように皆の所に一度戻る。
それを確認してからキャンディ、助けを呼ぶ。
死体発見。
カーリーはでかい奴の仕業に違いないといい、
レニー狩りの準備。
スリムはジョージに、
もはやレニーを助ける方法は一つしかない、と告げる。
第二場 第一幕一場と同じ 日曜日の夜
レニーはあの場所に来ている。
そこへジョージたちが探しに来る。
ジョージはレニーを茂みに隠す。
ジョージの様子を見ていたスリムは皆を別の場所に誘導。
レニーとジョージは二人きり、夢の話をする。
(妄想クララおばさんと大きいウサギのシーンは小説のみ)
ジョージは、おそらくカールソンから盗んだ銃で(盗んだのは、妻の死体を見た後だろう)
夢を語るレニーの背後から狙いをつける。
迷った末に、撃つ。
幕
【小説版・ネタバレあらすじメモ】
1
でこぼこコンビのレニーとジョージ、農場を目指す。レニーはジョージの夢語りが大好き。
2
農場にたどり着いた二人。
片腕の老人や親方、その息子のヤバイやつカーリー、
そのヤバい妻、スリムらと出会う。
レニーはスリムの子犬を貰いたい。
3
ジョージとスリムが話す。
レニーとつるむ理由、前の農場はなぜ追い出されたのか、など。
片手を失くしたキャンディの老犬を始末する件。
キャンディの前で、ジョージとレニーは例の夢を語り始める。
キャンディ、自分は結構な財産を持っているからその話に乗っからせてくれ、と。
直に自分はここで用済みとなるだろう、そんなみじめな思いをしたくない、自分の土地が欲しい、と。
キャンディを仲間に加える。
と、スリムとカーリーが帰ってくる。
カーリーは、妻とスリムがなんかあったのではないか、と疑うが、スリムにやりこめられ不完全燃焼。
夢の話でまだニヤニヤしているレニーを見て、喧嘩をふっかけ殴る。
耐えるレニーだが、ジョージが「やれ!」
と声をかけると、カーリーの拳を握り粉々に粉砕する。
カーリーを病院に連れていくことになる。
スリムは、「機械で怪我したんだよな?」と言い含める。でないと事の顛末を暴露する、お前は笑い者だ、レニーを追い出そうとするなよ、と。
4
黒人・クルックスの馬屋。
皆が外に出ている間、レニーは子犬を可愛がりにくる。
クルックスに、夢の話をする。
クルックスは馬鹿の戯言だと思い、
「もしジョージがいなくなったらどうする?」
と問う。レニーは怒りに満ちてきた。仮に、が通用しない。
クルックスはレニーをなだめ、
人には仲間が必要だ、孤独は存在が危うい、と自分の愚痴を漏らす。
そこへキャンディ。
キャンディはレニーと共にクルックスに夢を語り、
クルックスも仲間に入れて欲しいと頼む。
そこへカーリーの妻。
クルックスは出ていけと言うが、
お前を木に吊るすことはわけない、と脅され黙る。
カーリーの妻はレニーの顔を見て、
カーリーの拳を潰したのはレニーだと悟る。
ありがとう、と。
そして、ジョージたちが帰ってくる。
クルックスは、仲間に入れてくれと言ったことを取り消し、しょげる。
5
レニーが子犬を死なせてしまう。
ジョージが怒ると怯えていると、カーリーの妻やってくる。
少し話し、柔らかいものが好きというレニーに、
妻は髪を触らせる。
レニーの手が髪にからまり、悲鳴をあげる妻。
レニーはあわてて妻の口をふさぎ、
暴れさせないようにしていると、
妻の首の骨折れて死ぬ。
レニー逃亡。
キャンディとジョージが死体を見つけるが打つ手がない。
一度そこから出て、皆と共に死体を発見。
レニー狩りが始まる。
6
困ったときにはそこへ、レニーは最初の場所に戻ってきていた。
妄想のクララおばさんやでかいウサギに説教される。
そしてジョージが現れる。
夢の話をせがむレニー。
ジョージは、川の方を向いていれば話してやる、と言い、レニーの背中に銃を向ける。
ためらいを見せるジョージだが、
農場の男たちの迫る音を聞き、老犬が撃たれたのと同じ位置を一発。
かけつける男たち。
スリムはジョージに、飲まずにおれんだろう、と語りかける。
他の男たちは、二人がなぜ落ち込んでいるのか、気にもかけない。
おしまい
原題:Of Mice and Men:A Play in Three Acts
作:ジョン・スタインベック(1902-68)
1937年 ミュージック・ボックス・シアター
はつかねずみと人間の、最善をつくした計画も
あとからしだいに狂ってゆき
望んだよろこびのかわりに
嘆きと苦しみのほかは、われわれに何も残さない
人間には仲間が必要だ―そばにいる仲間が
初めの初めからわかってたんだよ。けっしてできないとわかってたような気がする。

スタインベックのドヤ顔がすごい。
エネルギーたくましそう。
大男で頭の鈍いレニーと、小柄で頭のキレるジョージの二人が、
自分たちの土地を手に入れるために働く農場で起こる、やるせない出来事。
小説版と戯曲版が存在する作品。
といっても、小説版も、作者が
「劇小説(Play-novelette)」
と名付けた形式で書かれていて、人物の台詞がかなり多い。
全集の解説によれば、この劇小説形式は、
戯曲を読み慣れない人に向けて、
スタインベックがより分かりやすくした結果だという。
同じく解説にもあったけれど、
その分、解釈の幅が固定されているとも言える。
しかし、実際読書好きでさえ少し敬遠しがち(なイメージのある)な戯曲形式にいきなり触れるよりも、
読みやすいのではなかろうか、と思う。
私は戯曲好きなので、初めから戯曲で書きなさいよ!って思ったけども。
全集の解説が非常に面白い。
小説版では、象徴的な意味合いの言葉が地の文に散りばめられてあるが、
舞台になると、それはそこに存在するから、
むしろ象徴的な理解がしやすい、ということ。
そう、まさに、これをしてるときもあれをしてるときも、そこにいる人はちゃんといて、物もちゃんとある、もしくは想起させられる。
いやぁ、演劇、面白いですね。
で、この『はつかねずみと人間』
どっちも面白かった。
小説版で、かなりの悪役ぶりを発揮する女性が、
戯曲版だと割と人間らしく描かれていたり。
逆に小説に登場する妄想のおばさんや大ウサギが戯曲版には登場しなかったり。
(大ウサギ面白いから残してほしかった)
舞台に乗せる上で、どんな所が変わったのか、
その効果まで想像してみる楽しみがある。
といっても大筋は変わらず、大がかりな仕掛けの変化もない。
野外で語られる夢の美しさから入って、
農場の人々の登場、不穏な出来事、夢の実現?、決定的な破滅と、
物語のお手本のような作りでポンポン進み、読みやすい。
なんか漂う嫌な予感もきっちりバッドエンドに向かっていき、
その中でも必死にハッピーを探そうとする人々の辛さが光る。
しかし、これも全集に書いてあって面白かったのがあって、
それは、スタインベックは常に、「強者の視点」から弱者を見てしまう、
ということ。
物語最終場において、
ジョージはレニーに対しある選択をするのだけど、
それは、強者の目から見た弱者への哀れみでしかなく、
当の弱者の気持ちに少しも寄り添う気配がない、
という解説の高村博正さんの論は、
まさにお説ごもっとも、となってしまう。
観る側も、話の流れから、自然に強者の視点に同化させられそうになる所が、
この作品の危うい所である、という。
最終場での感動は、強者の感動である、というのは本当に、言われてみればその通り、となる。
あぁ、ツライネ、こんなに辛いことってあるだろうか、かわいそうに、
というこの涙は、レニー視点では絶対に流せないものである。
まぁしかし、悪気がないとはいえ決定的な罪があるわけで、レニーを弱者として守り、
罪にも罰を与える方法はなんだったのか、
という話になると、
法の裁きの他に道はないじゃんよ、ということになる。
なので、「もうこれしかない」と、
リンチか、あるいは、の選択を提示した、
農場で神のごとき支配力を持つスリムさん、
あんたもっとなんとかできなかったのか、
と思いました。
老いて役に立たない犬を、
痛みを感じない方法で殺す、という、
中盤の安楽死問題が、全体に象徴的に流れているので、
こういう展開はしょうがないとしても、ですよ。
もっと他に方法はなかったのか!
という。
でもしかし、この、
「もっと他に方法はなかったのか!?」
という、誰も何も幸せにならない終り方こそが、
この作品の魅力でもあると言えるような。
もう、夢を語るシーンが美しすぎるだけに、
現実が凄惨すぎる。
そんな一冊でございました。
【収録】
(戯曲&小説)『スタインベック全集4 はつかねずみと人間<小説・戯曲>』
作:スタインベック/訳:高村博正
2000年 大阪教育図書
(小説版)『ハツカネズミと人間』
作:スタインベック/訳:大浦暁生
1994年 新潮文庫

【戯曲版・ネタバレあらすじメモ】
第一幕
第一場 サリーナス川の砂地の岸辺、木曜日の夕方
でこぼこコンビのレニーとジョージ、農場を目指す。レニーはジョージの夢語りが大好き。
ハツカネズミ、ケチャップ、うさぎ。
何かトラブルがあった時は、ここに集合。
第二場 飯場の内部 金曜日の朝遅く
農場にたどり着いた二人。
片腕の老人や親方、
その息子のヤバイやつカーリーとそのヤバい妻、
御者のスリムらと出会う。
レニーはスリムの子犬を貰いたい。
第二幕
第一場 第一幕二場と同じ、金曜日の午後七時半ごろ
ジョージとスリムが話す。
レニーとつるむ理由、前の農場はなぜ追い出されたのか、など。
片手を失くしたキャンディの老犬を始末する件。
キャンディの前で、ジョージとレニーは例の夢を語り始める。
キャンディ、自分は結構な財産を持っているからその話に乗っからせてくれ、と。
直に自分はここで用済みとなるだろう、そんなみじめな思いをしたくない、自分の土地が欲しい、と。
キャンディを仲間に加える。
そこへカーリー妻。だれかと喋りたいのだという。
ついで男たちの声が聞こえ、妻は去る。
(このタイミングでの妻の登場は、小説版にはない)
と、スリムとカーリーが帰ってくる。
カーリーは、妻とスリムがなんかあったのではないか、と疑うが、スリムにやりこめられ不完全燃焼。
夢の話でまだニヤニヤしているレニーを見て、喧嘩をふっかけ殴る。
耐えるレニーだが、ジョージが「やれ!」
と声をかけると、カーリーの拳を握り粉々に粉砕する。
カーリーを病院に連れていくことになる。
スリムは、「機械で怪我したんだよな?」と言い含める。でないと事の顛末を暴露する、お前は笑い者だ、レニーを追い出そうとするなよ、と。
第二場 馬係の部屋。納屋の外壁から外側にさしかけた小さな小屋。土曜日の夜一〇時
黒人・クルックスの馬屋。
皆が外に出ている間、レニーは子犬を可愛がりにくる。
クルックスに、夢の話をする。
クルックスは馬鹿の戯言だと思い、
「もしジョージがいなくなったらどうする?」
と問う。レニーは怒りに満ちてきた。仮に、が通用しない。
クルックスはレニーをなだめ、
人には仲間が必要だ、孤独は存在が危うい、と自分の愚痴を漏らす。
そこへキャンディ。
キャンディはレニーと共にクルックスに夢を語り、
クルックスも仲間に入れて欲しいと頼む。
街へ行っていたジョージが先に帰ってくる。
(小説版ではまだ帰ってこない)
カーリー妻現れる。
妻は、カーリーの拳を潰したのが誰か探している。
傷だらけのレニーに気付き、あんたがやったのね、ありがとう。
ジョージはそれ以上話さないように割ってはいるが妻と喧嘩になりそうに。
そこへ親方現れて、ジョージ、思いとどまる。
(小説版にある、妻による黒人差別がない)
第三幕
第一場 大きな納屋の端 日曜日の午後
皆は外でゲームをしている。
子犬を死なせてしまったレニー。
もうウサギの世話はさせてもらえないかもしれないとしょげる。
そこへキャンディ。昨夜の件、親方はクビにはしないそうだ、カーリーの妻もこっぴどく怒られた、と報告して去る。
(この件は小説にはない)
カーリーの妻が、小さなスーツケースを隠しにくる。
隠し終わり、レニーに気付く。
妻は昨日こっぴどく叱られたので、出ていこうとしていた。
内緒にするようにレニーに言い、会話を始める。
レニーはウサギの話、妻は自分の生い立ちの話。
少し話し、柔らかいものが好きというレニーに、
妻は髪を触らせる。
レニーの手が髪にからまり、悲鳴をあげる妻。
レニーはあわてて妻の口をふさぎ、
暴れさせないようにしていると、
妻の首の骨折れて死ぬ。
レニー逃亡。
キャンディが死体を発見し、ジョージを呼ぶ。
いつかこうなることは分かってた…。
ジョージは自分が共犯だと思われないように皆の所に一度戻る。
それを確認してからキャンディ、助けを呼ぶ。
死体発見。
カーリーはでかい奴の仕業に違いないといい、
レニー狩りの準備。
スリムはジョージに、
もはやレニーを助ける方法は一つしかない、と告げる。
第二場 第一幕一場と同じ 日曜日の夜
レニーはあの場所に来ている。
そこへジョージたちが探しに来る。
ジョージはレニーを茂みに隠す。
ジョージの様子を見ていたスリムは皆を別の場所に誘導。
レニーとジョージは二人きり、夢の話をする。
(妄想クララおばさんと大きいウサギのシーンは小説のみ)
ジョージは、おそらくカールソンから盗んだ銃で(盗んだのは、妻の死体を見た後だろう)
夢を語るレニーの背後から狙いをつける。
迷った末に、撃つ。
幕
【小説版・ネタバレあらすじメモ】
1
でこぼこコンビのレニーとジョージ、農場を目指す。レニーはジョージの夢語りが大好き。
2
農場にたどり着いた二人。
片腕の老人や親方、その息子のヤバイやつカーリー、
そのヤバい妻、スリムらと出会う。
レニーはスリムの子犬を貰いたい。
3
ジョージとスリムが話す。
レニーとつるむ理由、前の農場はなぜ追い出されたのか、など。
片手を失くしたキャンディの老犬を始末する件。
キャンディの前で、ジョージとレニーは例の夢を語り始める。
キャンディ、自分は結構な財産を持っているからその話に乗っからせてくれ、と。
直に自分はここで用済みとなるだろう、そんなみじめな思いをしたくない、自分の土地が欲しい、と。
キャンディを仲間に加える。
と、スリムとカーリーが帰ってくる。
カーリーは、妻とスリムがなんかあったのではないか、と疑うが、スリムにやりこめられ不完全燃焼。
夢の話でまだニヤニヤしているレニーを見て、喧嘩をふっかけ殴る。
耐えるレニーだが、ジョージが「やれ!」
と声をかけると、カーリーの拳を握り粉々に粉砕する。
カーリーを病院に連れていくことになる。
スリムは、「機械で怪我したんだよな?」と言い含める。でないと事の顛末を暴露する、お前は笑い者だ、レニーを追い出そうとするなよ、と。
4
黒人・クルックスの馬屋。
皆が外に出ている間、レニーは子犬を可愛がりにくる。
クルックスに、夢の話をする。
クルックスは馬鹿の戯言だと思い、
「もしジョージがいなくなったらどうする?」
と問う。レニーは怒りに満ちてきた。仮に、が通用しない。
クルックスはレニーをなだめ、
人には仲間が必要だ、孤独は存在が危うい、と自分の愚痴を漏らす。
そこへキャンディ。
キャンディはレニーと共にクルックスに夢を語り、
クルックスも仲間に入れて欲しいと頼む。
そこへカーリーの妻。
クルックスは出ていけと言うが、
お前を木に吊るすことはわけない、と脅され黙る。
カーリーの妻はレニーの顔を見て、
カーリーの拳を潰したのはレニーだと悟る。
ありがとう、と。
そして、ジョージたちが帰ってくる。
クルックスは、仲間に入れてくれと言ったことを取り消し、しょげる。
5
レニーが子犬を死なせてしまう。
ジョージが怒ると怯えていると、カーリーの妻やってくる。
少し話し、柔らかいものが好きというレニーに、
妻は髪を触らせる。
レニーの手が髪にからまり、悲鳴をあげる妻。
レニーはあわてて妻の口をふさぎ、
暴れさせないようにしていると、
妻の首の骨折れて死ぬ。
レニー逃亡。
キャンディとジョージが死体を見つけるが打つ手がない。
一度そこから出て、皆と共に死体を発見。
レニー狩りが始まる。
6
困ったときにはそこへ、レニーは最初の場所に戻ってきていた。
妄想のクララおばさんやでかいウサギに説教される。
そしてジョージが現れる。
夢の話をせがむレニー。
ジョージは、川の方を向いていれば話してやる、と言い、レニーの背中に銃を向ける。
ためらいを見せるジョージだが、
農場の男たちの迫る音を聞き、老犬が撃たれたのと同じ位置を一発。
かけつける男たち。
スリムはジョージに、飲まずにおれんだろう、と語りかける。
他の男たちは、二人がなぜ落ち込んでいるのか、気にもかけない。
おしまい
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