『運を主義にまかす男』
作:岸田國士
1932年3月

現代風に言えば、
「ニートと就活生がルームシェアする家」
が舞台。
「果報は寝て待て」が主義の底野と、
「犬も歩けば棒に当たる」主義の飛田。
この男二人のもとにある日やってくる幸運。
軽妙なタッチの短編。二つの主義が服を着て歩いてるような二人の男の、
キャラが立ってる。
【収録】
『岸田國士全集5』1991年 岩波書店
『岸田國士全集(上巻)318作品⇒1冊』2015年 岸田國士全集出版委員会
【ネタバレあらすじメモ】
一
実家からの仕送りを頼りに生活する底野(果報は寝て待て主義)と、仕事をクビになり、片っ端から仕事を探し歩く飛田(犬も歩けば棒に当たる主義)が、
共に暮らす家。
底野が家でだらだらしていると、薬売りが訪ねてくるが、底野に言いくるめられ退散。
続いて、前の下宿の娘・こよがやってくる。
底野から家賃を取り立てに来たようだが、底野には金がない。お喋りして、諦めて帰っていくこよ。
飛田が帰ってくる。
底野はさっきまでこよと二人きりでいたことを、
飛田はさっきまで友達の成功を祝っていたことを、
勘違いを交えながらそれぞれが喋り続ける。
飛田の相手をこよと勘違いし、張り合う底野が面白い。
飛田が、犬も歩けば棒に当たる主義をプレゼンした所で、終了。
二
別の日。
底野が家にいると、傷痍軍人が薬を売りにやってくる。
底野は当然買う金はないが、
軍人の所属や功績を聞き出しお喋りする。
軍人仲間が「早くしろ」と外から。
苛立ってくる軍人は、底野に買う気がないと分かり捨て台詞を吐いて退散。
飛田が泥だらけで帰ってくる。
車に跳ねられそうになり、溝に逃げ込んだという。
お互いに気の利いたギャグを言い、終了。
三
朝食後。
底野(果報は寝て待て)は外へ出かけ、
飛田(犬も歩けば棒に当たる)が家で昼寝。
すると部屋に鴬が飛び込んできてしきりに鳴くので捕まえる。
と、宗匠風の男が鴬を探しに来たらしいので、飛田は引き渡す。
男によるとその鴬は300円相当の値打ちがあるとか。
いずれお礼に参りますと言って帰る男。
底野帰ってくる。
飛田が鶯の話をすると、
「なぜタダで渡した、拾ったものの二割程度は取れるのに」と。
と、鴬の持ち主の使いがやってきて、50円置いていく。
二人はご満悦。
底野と飛田は、互いが互いの主義を取った結果転がり込んだ運に
「犬は、歩かずに寝ていても棒に当たるんだ」
「果報は歩きながら待てだ」
とギャグを言い、幕。
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