『取引にあらず』
作:岸田國士
1929年1月

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これはもう、落語的な戯曲。
煙草屋の主人のもとに、家に帰るまで金がないがすぐに煙草を吸いたい、という若い男が訪ねてくる。

男は手持ちの尺八を、金を持って戻る証拠にと煙草屋に預け、家に帰る。

すると入れ替わりにやってきた老紳士が尺八を見て驚いた、それは家賃の10倍くらいは出してでも手に入れたい名作・筍玉菅だと。
煙草屋の主人は若い男と老紳士の間に入りこの取引を仲介することに。
若い男から安い値で買い取り、老紳士には高値で売りつけぼろ儲け、
という算段をたてるが…

うまい話はそうそう転がっていない、とはよく言ったものです。

話の進行の合間合間に煙草を買いに来る、
筋と関係ない客が結構登場するのが面白い。


【ネタバレあらすじメモ】

煙草屋の遠藤又蔵とその娘きぬの会話。
きぬは、煙草屋の看板娘ではなく、ちゃんと仕事がしたいと主張するが、又蔵に却下される。
やがて婿を取ったら店はお前に任せるから、と。
きぬは、外国煙草を扱うべきだと主張するが、又蔵に却下される。うちは国産奨励だ、と。

学生が煙草を買いにやって来る。
外国煙草を求める彼を見て、きぬはほらごらん、とばかり。
又蔵は学生に日本煙草を薦め、
学生は間に合わせにバットを買って帰っていく。

と、床屋の主人が訪ねてくる。
売家の話、薬の話、ビリヤードの話など世間話。

若い男が煙草を買いに来る。
今手持ちがないが、家に帰る前に煙草を吸いたい、
帰ってすぐ金を持ってくるから、煙草をくれ、と。
質に尺八を置いて、渡されたバットにすぐ火をつけて去っていく。

老紳士が葉巻を求めてやってくるが、
置いてある尺八を見てびっくり。筍玉菅という、
かなりの品らしい。
事の次第を又蔵に聞き、300円なら出すが、
その若い男と交渉をしてくれないかと頼む。
若い男が戻ってきたので、
話がついたら呼んでくれと、
老紳士は玉突きしに行く。

若い男と又蔵、二人きりの値段交渉。
若い男は100円で手放す。

きぬは老紳士を呼びに行く。
又蔵は妻のなほに、「ぼろ儲けだ」と。

床屋が経過を見にやってくる。
又蔵は、老紳士との話には付き合ってほしいとつげる。

隣の奥さんが(たぶん歯医者)煙草を買いに来る。

きぬが帰ってくるが、ビリヤード場に老紳士の姿はなかったという。
交代に探しに出る床屋。

なほ、飯が出来たと告げに来る。
又蔵、それどころじゃないと怒る。

職人が煙草を買いにやってくる。

床屋が老紳士の足取りを掴む。
タクシーに乗って巣鴨に行ったらしい。

きぬが、老紳士は若い男と一緒に話していたという情報をキャッチ。
担がれたのだ。又蔵は慌てて家を飛び出していく。