『かんしゃく玉』
作:岸田國士
1931年7月

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しっかりものの妻と、
「こんな情けない俺でいいのか?」と、
(主に経済面で)苦しむ夫が中心に描かれる短編。
この構図、『ぶらんこ』を始めよく岸田戯曲に登場する印象。
生活の貧しさに、心が蝕まれていく。

その回避法として、
「かんしゃく玉を鳴らす」
というユニークな仕掛けを選んだ夫婦の、
心のやり取り。

【ネタバレあらすじメモ】

家に一人で、夫の帰りを待つ妻。
隣の女が訪ねてくる。
妻は、イラつくことがあると、かんしゃく玉を破裂させることにしている。

隣の女が帰ると今度は、夫の友人の多田。
夫が仕事を探していることが分かる。
多田は、妻に頼まれて買い物をしに行く、
彼の金で。

夫が帰ってくる。
彼は、多田の事をよく思っていない。
利用するのはいいが、
いつのまにか利用されてはたまらない、と。
彼は、自分の友人の中で誰が一番好きか、
と妻に質問し、
妻は、どれもダメと答える。

ダメの例に出てきた小森と阿部がやってくる。
二人は、妻の方に、バーでも始めたら?と。
多田が帰ってきて、
教授の秘書の仕事を妻に薦める。
怒って多田を帰らせる夫。

続いて、小森と阿部の、
「バーやったら奥さん?」という話。
夫はこいつらも帰らせる。
仕事の話はいつも妻にばかりやってくる、
情けなさにかんしゃく玉をならしまくる夫。

隣の女が借りていたヘチマコロンの瓶を返しにくる。
かんしゃく玉がなくなった夫に彼女はその瓶を渡すが、
夫はそれを投げられない(色んな思いが彼を踏みとどまらせたんだろう)
妻は、夫の胸に飛び込んで泣く。