『二人で狂う……好きなだけ』
原題:DELIRE A DEUX ……A TANT QU'ON VEUT
作:ウジェーヌ・イヨネスコ
初演:1962年4月 ステュディオ・デ・シャンゼリゼ

訳:安堂信也

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「いつでも自分の方が正しいと思ってるんだな。」

そう言い合ってはお互いを否定し、罵り合い、喧嘩を続ける一組の男女の話。
彼らがいるのは、戦争の、
勢力と勢力がぶつかり合う中心地にある家。

戦争は激化し、家の中に手榴弾が飛んできたりしても、平気で投げ返す二人。
やがて戦争は終わり、調停軍がやってきても、
二人の争いは続いている、という。

分かり合えないものは、
決して分かり合えない地獄のような話。

相手の台詞を否定して自分の論を展開する二人の台詞が、
とても言葉遊び的で、
「音の響き・リズム」を作者が楽しんでる感がすごい。
(あれは、昇ってるんじゃなく、降りてるんだ。あなたが降りてるというのは間違いで、あれは昇ってるんです。僕が降りてるといったのを君が昇ってるといったのは間違いで、あれは昇ってるんじゃなく降りてるんだ、みたいな、「The・不毛」な台詞が続く。
こんなん、テキストで読解しようとしたらきっと頭おかしくなる気がする。否定する、という行動に核があるのだと、思いたい。)

【収録】
『イヨネスコ戯曲全集3(全4巻)』
訳:大久保輝臣、諏訪正、塩瀬宏、安堂信也
アルマ即興/無給の殺し屋/四人ばやし/二人で狂う……好きなだけ/瀕死の王さま
1969年 白水社

イヨネスコ戯曲全集〈第3〉 (1969年)

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【ネタバレあらすじメモ】

戦争。

女は旦那と別れて男についてきたが、今の生活に不満な様子。
亀とかたつむりは同じものかどうか議論する男女。
強い爆発音。
亀とかたつむりの話に、暑い寒いの話が加わる。
男も妻と別れたようだ、17年前だ。
爆発がすぐ近くまで。
外の様子を見ると、戦争中のようだ。
ここは町境、ちょうど争いの真ん中。
部屋のなかに銃弾が飛び込んだりする。
手榴弾が一つ、二つ、部屋に飛び込む。
相変わらず口論を続ける二人。
天井が崩れ始める。
芝居の終わりには天井も壁もなくなる、
という無茶なト書き。
二人はそれぞれ、客席に向かい、独白にふけり始める。
外が静かになる。
戦争が終わり、凱旋パレードが始まったらしい。
二人は、それはそれでうるさくて嫌らしい。
兵隊や隣の夫婦が顔を出すが、二人は再び家の守りを堅めはじめる。
再び口論。終わり。