『植物医師 -郷土喜劇-』
作:宮沢賢治
これは上演されたのを観たとて面白いのかどうかすごく疑問ではあるけど、
不思議な魅力がある。
植物の医者、と自称する男が詐欺まがいの治療を施す。
農民は簡単に騙されて、
その後文句を言いに来る。
ここで医者のこらしめで勧善懲悪かというとそうではなく、
萎縮する医者を見て人々は、
「自分たちの作物の育て方も悪かった」
と、
医師を許す。
愚かに見えるほど簡単に騙される農民たちが、
愚直さ故に輝いて見える清々しいラストが面白い。
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
輝く精神が流れているような思いだ。
【ネタバレあらすじメモ】
植物の医者を開業したという男のもとに、次々訪れる農民たち。
殺到する依頼人の症状はみな同じなので、
同じ薬を処方。
すると、薬で稲が枯れたと殺到する農民。
なんとか言い逃れようとする医師だが、どんどん追い詰められる。
やがて、攻めすぎてかわいそうになった農民たちは
「全部同じ稲だったのが悪かった」
「ひでりの年だったと思えば」
と、すがすがしく去っていく。
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