『デッドエンドの思い出』
著:吉本ばなな
2006年 文春文庫

人生の中には、
本当に「輝きの一瞬」とか、
「時間が止まったような瞬間」とか、
「必ず思い出す瞬間」みたいな、
「瞬間」があるよなぁ、と思う短編集でした。
よく言う「あの頃は良かった」の「あの頃」的な感覚というか。
そういう、劇的じゃないにしても忘れられない時間。

そういった感覚の永遠性ったらないですね。
それを力にして、乗り越えて、今を生きていく物語たちでした。

そういう「時間が止まる瞬間」みたいな物を、
舞台で作れたら最高だなぁ、と思います。

デッドエンドの思い出 (文春文庫)

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【収録作品とあらすじメモ】
「幽霊の家」
洋食屋の娘とロールケーキ屋の息子のお話。
ロールケーキ屋の息子が住むアパートには、老夫婦の幽霊がたまに出る。
その部屋から始まる、二人の交流。

「おかあさーん!」
食堂で、毒物混入事件に遭遇した、私。
治療の過程で人との絆を確認したり、過去のトラウマと向き合ったり。
子供の頃のうまくいかなかった家庭。
それも本当は、うまくいっている可能性があった、
という願いが夢になって現れる場面が印象的。

「あったかくなんかない」
最後の景色、という言葉が印象的。
子供の頃交流のあった少年の話。
これ、良かった。

「ともちゃんの幸せ」
ともちゃんが、五年間想い続けた恋が、少しだけ進展する話。
どんな孤独の中でも、何か人を包むものがある。

「デッドエンドの思い出」
婚約者に裏切られ傷ついたミミちゃんが、
バーで働く西山君と過ごして、再出発を切るまでの時間。