『シアター!2』
著:有川浩
2011年 メディアワークス文庫

「一人の演劇人が知り合いの演劇人を公演に招いて観劇料を得たとして、今度はまた別の演劇人の公演を観に行って観劇料を吐き出す。そのようにして演劇人同士で金を交換しているようなやり取りが公演収入のかなりの割合を占め、業界外からの新規の金ーつまり、演劇に関わっていない完全なる一般人の金はなかなか入ってこない。言ってみれば趣味の発表会をお互いに行き来しているようなものである。」


まさにグサリと刺さるお言葉です。

今まで何となく、利益のことなど考えずに続けてきた小劇団が、
制作の逃亡により巨額の借金を抱える。
主宰の兄(敏腕社会人)がその金を立て替える代わりに劇壇に突きつけた要求は、
2年以内に劇団の売り上げのみで300万の借金を返せなかったら解散、というものだった。
兄・司の視点から見ると演劇とお金の関係は疑問点ばかりで、彼は制作を勤める事を決意。
なんとかどうにかなりそうか?
という前作『シアター!』の続編。

前作では、「外側から見た演劇界の不思議」
みたいな色が濃かったが、
今回は劇団員一人一人のエピソードが綴られる青春群像劇、みたいな趣だ。

6つのパートに分かれ、

・物販を作ることになって、計画性のない劇団員たちに熱血黒川が吠える。
衝突から、全員に制作意識が芽生える←これ大事だと思う。

・新人劇団員・千歳を掲示板でディスるものが現れて一騒動。
女優・牧子と作・演出の巧の関係性が描かれる。

・ゆかりのドラマオーディション合格と、
彼女に寄せる小宮山の想い。
芝居を仕事にしていくことの可能性と実状。

・スズと千歳の、友達ゆえのぶつかりあいと、茅原の想い。

・有名劇場によるエンタメディスり。
巧の家出と牧子のアタック。

・司の感じる「家族に入れない感覚」 と、
演技を通して励ます千歳。この二人いい感じ。
演劇は人を元気にする。

という感じで、なんだかんだ恋愛模様が多い。
前回の、演劇の闇に切り込んでいく作風は、
あまり受けなかったんですかね?

キャラが立ってて、
前回薄かった印象のそれぞれの物語を丁寧に、
演劇とお金の事情を絡めて描く。

続きはありそうだけど、
まだ出てない。
演劇話はうけないのかなぁ…
演劇とお金を考える入門書としても良作です。


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