『アントニーとクレオパトラ』
作:ウィリアム・シェイクスピア
1606〜1607年

松岡和子訳で読みました。
すごいとっちらかった、お祭りみたいな戯曲だなー、と。
戦闘場面の応酬なんか、
観たらすげー楽しそうだなと思います。

以前、蜷川演出で舞台を観たときには、
後半のアントニーなかなか死なない件が
喜劇的に思えたんですが、
戯曲読んでみるとなんというか、
滑稽だからこそ逆に哀しい、みたいな感があります。

『ロミオとジュリエット』なんかより遥かにどうでもいいすれ違い、というか勘違い、
というか早とちりで起こる悲劇。

そして、シーザーのアントニー好きぶりがおもろい。
シーザーとクレオパトラによる、
アントニーの奪い合い、のようにも思えます。

政治を取るか愛を取るか、
という感じですが、
愛は政治、政治は愛、感がなくもないような。

シェイクスピア全集21 アントニーとクレオパトラ (ちくま文庫)

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【あらすじのメモ。ネタバレ】
【第一幕】
第一場 エジプト、アレクサンドリアの宮殿
アントニーがとにかくクレオパトラにデレデレしている。ローマからの使者にも会わない。

第二場 アレクサンドリアの宮廷
占いの場。クレオパトラの臣下達が、こぞって占い師に占いをせがむ。
アントニーはとうとう使者に会い、妻の死とローマの窮状を知り、エジプトを経つ決心をする。

第三場 前場に同じ
アントニー、クレオパトラを説得し、
出発を認めてもらう。

第四場 ローマ
シーザーとレピダスの場。
アントニー帰ってこいの場。

第五場 アレクサンドリア
アントニー出発後のクレオパトラ。
アントニーを思う日々。

【第二幕】
第一場 シチリアのメッシーナ、ポンペイの館
ポンペイ軍ミーティング。
アントニー戻ってるらしいじゃん、やべーの。
あいつ動かすくらい俺らの反乱すごかったんじゃない?
やべーけどとりあえずがんばろーぜ!の場。

第二場 ローマ、レピダスの館
シーザーとアントニー、ピリピリ。
レピダス、おろおろ。
そうだ、仲直りの印に、シーザーの姉とアントニーが結婚すれば万事解決!ね?

第三場 ローマ、シーザーの館
アントニー、シーザーの姉・オクテーヴィアと結婚。
アントニー、占い師に占ってもらう。
「あなたに勝ち目はない。シーザーの守護霊の前ではあなたの守護霊はかたなし。」

第四場 ローマ、街路
レピダスは二日ほど遅れて合流しまーす。

第五場 アレクサンドリア、クレオパトラの宮殿
クレオパトラのもとに、アントニー結婚の知らせが入る。その知らせを持った使者はクレオパトラにボコられる。

第六場 マイシーナムの岬
ポンペイ軍とローマ軍の睨み合い。
ポンペイはシーザー、アントニー、レピダスの三頭から提示された和平条約を飲み停戦。
宴が開かれることになる。
アントニーの臣下・イノバーバスと、
ポンペイの臣下ミーナスが語り合う。
イノバーバス曰く、
アントニーとシーザーの絆は、アントニーがエジプトに戻ったとき、首を絞める縄になる、と。

第七場 マイシーナム沖の、ポンペイのガレー船の甲板
酒宴。
ミーナスはポンペイに、三頭暗殺をほのめかすが、ポンペイは叱責する。
噛み合わないアントニーとシーザー。

【第三幕】
第一場 シリアの平原
アントニーの命によってパルティアに進軍したヴェンティディアス、圧勝。

第二場 ローマ、シーザーの館
シーザーの姉・オクテーヴィアが嫁ぐ。
シーザー泣きそう。
大切にしろと念を押すシーザー。

第三場 アレクサンドリア クレオパトラの宮殿
クレオパトラは使者からオクテーヴィアがどんな女かを聞き出し、ひとまず心を落ち着ける。

第四場 アテネ、アントニーの邸宅
シーザー、ポンペイに渡したシチリアに向け出兵。
高まるシーザーとアントニー間の緊張。
オクテーヴィア、仲裁のためシーザーのもとへ。

第五場 前場に同じ、別の部屋
イノバーバスとエーロスの会話中から、レピダスがシーザーに逮捕された事が知れる。

第六場 ローマ、シーザーの邸宅
シーザーのもとへ辿り着いたオクテーヴィア。
シーザーは言う、アントニーが戦争の準備をしていると。

第七場 アクティアム、アントニーの陣営
アントニー軍。
アントニーはクレオパトラに従い、海戦で戦うことを決意。
いろんな人が陸戦を提案するが、聞く耳持たない。

第八場 アクティアムの平原
シーザー軍は陸戦を避ける構え。

第九場 アクティアム近くの平原の別の場所
アントニー軍の作戦。

第十場 アクティアム近くの平原の別の場所
イノバーバスらによって語られる戦況。
クレオパトラの退却にアントニーが続き、総崩れ。

第十一場
ひたすら落ち込むアントニー。
クレオパトラも慰められない。

第十二場 エジプト、シーザーの陣営
アントニーの使者、シーザーのもとへ。
アントニーはエジプトで、またはアテネで平和に暮らすことを望み、
クレオパトラは跡継ぎにプトレマイオス王家を継がせることを願う。
シーザーはアントニーの要求は飲まず、
クレオパトラには、アントニーの追放または殺害を条件にと伝える。

第十三場 アレクサンドリア、クレオパトラの宮殿
シーザーからの使者に、シーザーへのへつらいを見せるクレオパトラ。
その現場を見て怒り狂うアントニー。
その後、クレオパトラと仲直りして決戦へ。
イノバーバス、アントニーから離れる決意。

【第四幕】
第一場 アレクサンドリアの近く、シーザーの陣営
シーザーはアントニーの一騎打ちの挑戦をはねのけ、戦闘準備を開始。

第二場 アレクサンドリア、クレオパトラの宮殿
アントニーが召使いたちを手厚くもてなす。

第三場 アレクサンドリア、宮殿の前
兵士たち、夜中に妙な音を聞く。
ヘラクレスの霊がアントニーから離れていく音、だとか。

第四場 アレクサンドリア、クレオパトラの宮殿
アントニー、クレオパトラに鎧を着せられ出陣。

第五場 アレクサンドリア
イノバーバスがシーザーについたことを知るアントニー。
荷物を贈って心のこもった別れの挨拶を、と。

第六場 アレクサンドリア、シーザーの陣営
シーザーは、アントニー軍から寝返った物たちを最前線に立て戦う。
シーザーの軍に下った物達は皆信頼されていない。
激しく後悔するイノバーバス。
そこへアントニーからの贈り物がとどき、
イノバーバスの後悔は頂点に。自殺を決意。

第七場 両陣営のあいだの戦場
攻める攻めるアントニー軍。シーザー軍を敗走させる。

第八場 アレクサンドリアの城壁の前
シーザーの軍を敗走させ、クレオパトラのもとに帰るアントニー。

第九場 アレクサンドリア、シーザーの陣営
祈るイノバーバス。それを立ち聞きする歩哨。
イノバーバスは祈り終わると意識を失う。

第十場 戦場
海戦の準備をするアントニー。

第十一場 戦場の他の場所
谷間に陣を張るシーザー。

第十二場 戦場の別の場所
アントニーが言うには、クレオパトラが裏切った。

第十三場 アレクサンドリア、クレオパトラの宮殿
クレオパトラが言うには、アントニーが狂った。
前場の様子から見ると、狂った、が正しいのか?
クレオパトラは自殺した、という嘘をアントニーに伝え怒りを鎮めるように命令。

第十四場 アレクサンドリア、クレオパトラの宮殿
アントニー、クレオパトラの死の報を受け、
自害を決意。
部下のエーロスにそれを頼むが、エーロスはアントニーの死を見るよりもと自害。
アントニー「お前の主人はお前の弟子として死ぬ」
自刃するも、死に損なう。
そこへクレオパトラは生きているという遅すぎる知らせ。
アントニーは自分をクレオパトラの所へ運ぶように命令。

第十五場 クレオパトラの霊廟の前
アントニー、クレオパトラの前に到着。
今の無残さを嘆くよりも、昔の幸運を思い出し喜ばしい気持ちになってくれ、と。
アントニー死亡。
クレオパトラも後を追う心構え。

第五幕
第一場 アレクサンドリア市外、シーザーの陣営
シーザーのもとにアントニー死去の報。
嘆くシーザー。
クレオパトラはくれぐれも生かしておくように、と。

第二場 アレクサンドリア、クレオパトラの霊廟の中
シーザーからの遣いには従うフリを見せ、クレオパトラは毒蛇に胸を咬ませて自殺。
最終場だけどとぼけた道化が出てくる。