『十円玉』
作:谷川俊太郎
1963年7月6日 放送

谷川俊太郎さんもラジオドラマ書いてたんですね。

10円玉がどんどん大きく化けて行くわらしべ長者的物語。
女の奔放な独り言が魅力的。
詩的な言葉のはずみがポンポンポイポイ出てくる。
楽しい。

しかし、途中出てくる
「世界が滅びるなら、最後の一人になってから死にたい。
誰もいない世界を眺めてから死にたい」
みたいな台詞が、なんだか思わせぶりである。

10円から様々な可能性が広がっていく様は魅力的だが、
なんだかどうも孤独が付きまとうような印象だ。


『現代日本ラジオドラマ集成』1989年 沖積舎

現代日本ラジオドラマ集成

中古価格
¥4,800から
(2015/10/3 02:37時点)




【ネタバレあらすじメモ】
どこに遊びに行こうかなと、
歌いながらほっつき歩く女。
彼女の所持金は10円。

と、中年の男に出会い、お茶をする。
10円は100円になって帰ってくる。
電話に10円玉を貸した礼だ。

やったー、100円になったとウキウキしていると
青年に賭けを持ちかけれらる。
勝って100円が200円に。

やったーとワクワクしながら、好きな小説家の家に行く。
サイン本をゲット。
それを売って持ち金が500円に。

立ち寄ったレストランのスロットマシンで遊び、
500円は3000円に。

見知らぬ男に寄付を頼まれ、
「一緒に遊覧飛行してくれるなら寄付する」と。
飛行機で町を見下ろす。
「こんな事して、僕に寄付までするんだから君はお金持ちなんだな」
「ううん、もう全部使っちゃった」

そしてまた、少女は歩きだすのだった。