立体叙事詩劇『まんだら』
作:寺山修司
昭和1967年11月23日 放送

語りとして、盲目の女。

自分がかつて一度生まれて、死を迎えた町を訪ねる女・チサ。
チサに会い一目惚れする男・謙作。
謙作の母と、彼の許嫁。
そして、チサの尋ね人にして元父・古間木。


祭りのエネルギー感と寺の静寂、
祭りの雑踏と病院の無音、
そういった場面が印象的に散りばめられている。
それがそのまま、現世と死後の世界のイメージのように繰り返されるのが面白い。

話から一歩距離を取った語り手が存在するのも効果的。

様々なものがひしめき合う、人間の生と死。
まんだら。


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:ネタバレあらすじメモ:
道に迷うチサに出会い、案内する謙作。
二人は途中の寺で地獄絵を見る。
どこかで見たことあるような、どこかで会ったことあるような。

チサは、かつての父・古間木の元を訪ねるが、彼は彼女を受け入れない。娘は死んだ。

謙作は、チサの事が忘れられず、
祭りの夜、人だかりの中に見つけた彼女を追う。
父は自分を受け入れてくれなかったと嘆くチサ。謙作は彼女に想いを打ち明ける。

と、そこに、彼女を東京から追ってきたらしい車が突っ込み、彼女は死の国へと連れ去られる。

彼女を追って病院へ向かう謙作。
彼女の声が聞こえる。
私は今は声だけ、振り返ってはいけない。
だが彼はそれでも振り返る。
この辺、ギリシャ神話のオルフェウスのあれである。
彼は、チサの遺体を抱えて、どこかへと去っていった。