劇団だるめしあん
『三人魚姉妹』

作・演出:坂本鈴
日程:2014年9月18〜21日
値段:前売2800円/当日3000円/三人以上のグループ予約→一人2500円
会場:APOCシアター
人の悩みの相談なんかを聞いていると、
その人に言葉を向けているようでいて、実は自分に励ましの言葉を送っている。
そんな気分になる事はないだろうか。
劇団だるめしあん『三人魚姉妹』は、
劇場を出るときに、まさにそんな気持ちにさせられる舞台であった。
思い悩む人々、
どこにも進めない人々が、
舞台上にいる。
観ている自分は、
「そうだよなー」
「わかるわかる」
とか
「こうすりゃいいんじゃない?」
みたいに思いながら観ている。
チェーホフの『三人姉妹』を文字った
『三人魚姉妹』でも、
「○○年後にはわかるのかしら」
「それがわかったらね」
的なあのラストシーンに近い物が盛り込まれている。
オリガ・マーシャ・イリーナのそれほど悲劇的ではなく、
よりライトな、しかし根の深い行き場のなさ。
わからんもんはわからん。
わからないことがわかった。
そう言葉を放つ人魚姉妹の三女の台詞が、潔い。潔いけれど、それで済ませてしまえるほどには、
人魚の血の業は浅くないのだろう。
言葉に出てくる部分など、所詮は残り滓なのだろうし。
悩み相談を聞いているとき
「こうしてみたら?」
と言うのは容易い。
「それが出来たらねぇ」
という返しが決まり文句みたいなもんだろう。
人のアドバイスに対して
「それが出来たらねぇ」
「分かっちゃいるんだけどねぇ」
と思うことの方が多いだろう。
少なくとも、私はそうだ。
どんなに仲が良かろうと、
根本的な痛みの共有は出来ない。
と、私は思う。
同じ問題で悩んでいても、感じ方は人それぞれ。
わからんもんはわからんし、
わからないという事実をわかる事もなかなか難しい。
そんな時に頼りになるのは、やはり自分の感じ方なんであろうと思う。
人の悩みを聞いているうちに、自分の悩みに答えが出る、という事も珍しいことではないはず。
『三人魚姉妹』は、こちらの悩みを鏡のように写してくれる作品のように思う。
それも、悩みが深ければ深いほどくっきりと。
「行きたいところに行けない」
「迫られた選択に対し、決断が出来ない」
程度はどうであれ、誰もが抱く悩みだろう。
それだけに、この作品が持つ「鏡」は写りが良い。
同劇団の『魔法処女☆えるざ(30)』
においても同様のテーマが扱われていた。
これを観た当時私は、
決断を下さねばいけない重要事項に二の足を踏み続けていた時期だったので、
非常に抉られたのを覚えている。
結局答えはうまく出せなかったが。
しかし、舞台上で悩む人々を観ることで、
自分の悩みにも気付く、
それはやはり、舞台上の悩みが本気の言葉で語られているからこそ引きずり出されるのだろう。
作家・坂本鈴が現在どれほどの悩みに直面しているかは知らんし、
実際は悩んでないのかもしれない。
何かに悩んでいるのであれば
「坂本、自分の悩み吐露しすぎだろ」
と思わなくもないし
特に悩みがないのであれば
「なんなの天才なの?」
と文句を言いたいくらいに
三人魚姉妹の紡ぐ言葉は悩ましい。
ある意味、この舞台がそんなに「響かない」という人は、
それなりに精神面が健康である、
という事なのかもしれない。
そういった意味ではこの舞台、
「良かった」「つまらん」
はハッキリ別れてくるように思う。
それは、良いことだろう、きっと。
「選択をしなければならない」
度合いが強かった『魔法処女☆えるざ(30)』に比べると、
今作『三人魚姉妹』は、ぼんやりとした悩みである。
しかし、
「この選択をしないとこれを失う!」
と迫られる選択よりも、
「選択をしないことも出来るし、その方が幸せかもしれない」
と囁いてくる悩みの方が、何かを蝕んでいく力は強いのかもしれない。
えるざがナイフのようなキレ味だったとすれば
、
『三人魚姉妹』はハンマー、鈍痛であった。
ぼんやりとしたものに、ぼんやりと蝕まれていく。
「たしかな事は、ごはんを食べること」
こんな感じの台詞があった。
例え悩みに答えが出なくとも、
飯がうまいと思えるように生きるって、
大事なことである。
作中に、擬似セックスの場面がある。
人間だった頃にしたセックスという体験を、
その体験をしたもの同士が、
擬似で行う。
非常に切ないシーンだった。
どんなに過去の「体験」を思い出してみても、
擬似、でしかない営み。
あの二人も、その行為を通して、遠くの何かを見ているのかもしれない。
人の気持ちは、心底では分かり合えない。
けれども、分かり合うべく、
分かりたいからこそ、
人は励むのかもしれない。
感想書いてて、
ミスチルの大好きな唄、
「ALIVE」
を思い出した。
久しぶりに聴いてみよう。
夢も救いもないけど、進む。
そんな芝居、私は結構好きなんです。
万人には勧められないけどね。
劇団だるめしあん『三人魚姉妹』は本日初日で、
今週の日曜日まで。
わりと席にゆとりがあるそうなので、
気になった方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
『三人魚姉妹』

作・演出:坂本鈴
日程:2014年9月18〜21日
値段:前売2800円/当日3000円/三人以上のグループ予約→一人2500円
会場:APOCシアター
人の悩みの相談なんかを聞いていると、
その人に言葉を向けているようでいて、実は自分に励ましの言葉を送っている。
そんな気分になる事はないだろうか。
劇団だるめしあん『三人魚姉妹』は、
劇場を出るときに、まさにそんな気持ちにさせられる舞台であった。
思い悩む人々、
どこにも進めない人々が、
舞台上にいる。
観ている自分は、
「そうだよなー」
「わかるわかる」
とか
「こうすりゃいいんじゃない?」
みたいに思いながら観ている。
チェーホフの『三人姉妹』を文字った
『三人魚姉妹』でも、
「○○年後にはわかるのかしら」
「それがわかったらね」
的なあのラストシーンに近い物が盛り込まれている。
オリガ・マーシャ・イリーナのそれほど悲劇的ではなく、
よりライトな、しかし根の深い行き場のなさ。
わからんもんはわからん。
わからないことがわかった。
そう言葉を放つ人魚姉妹の三女の台詞が、潔い。潔いけれど、それで済ませてしまえるほどには、
人魚の血の業は浅くないのだろう。
言葉に出てくる部分など、所詮は残り滓なのだろうし。
悩み相談を聞いているとき
「こうしてみたら?」
と言うのは容易い。
「それが出来たらねぇ」
という返しが決まり文句みたいなもんだろう。
人のアドバイスに対して
「それが出来たらねぇ」
「分かっちゃいるんだけどねぇ」
と思うことの方が多いだろう。
少なくとも、私はそうだ。
どんなに仲が良かろうと、
根本的な痛みの共有は出来ない。
と、私は思う。
同じ問題で悩んでいても、感じ方は人それぞれ。
わからんもんはわからんし、
わからないという事実をわかる事もなかなか難しい。
そんな時に頼りになるのは、やはり自分の感じ方なんであろうと思う。
人の悩みを聞いているうちに、自分の悩みに答えが出る、という事も珍しいことではないはず。
『三人魚姉妹』は、こちらの悩みを鏡のように写してくれる作品のように思う。
それも、悩みが深ければ深いほどくっきりと。
「行きたいところに行けない」
「迫られた選択に対し、決断が出来ない」
程度はどうであれ、誰もが抱く悩みだろう。
それだけに、この作品が持つ「鏡」は写りが良い。
同劇団の『魔法処女☆えるざ(30)』
においても同様のテーマが扱われていた。
これを観た当時私は、
決断を下さねばいけない重要事項に二の足を踏み続けていた時期だったので、
非常に抉られたのを覚えている。
結局答えはうまく出せなかったが。
しかし、舞台上で悩む人々を観ることで、
自分の悩みにも気付く、
それはやはり、舞台上の悩みが本気の言葉で語られているからこそ引きずり出されるのだろう。
作家・坂本鈴が現在どれほどの悩みに直面しているかは知らんし、
実際は悩んでないのかもしれない。
何かに悩んでいるのであれば
「坂本、自分の悩み吐露しすぎだろ」
と思わなくもないし
特に悩みがないのであれば
「なんなの天才なの?」
と文句を言いたいくらいに
三人魚姉妹の紡ぐ言葉は悩ましい。
ある意味、この舞台がそんなに「響かない」という人は、
それなりに精神面が健康である、
という事なのかもしれない。
そういった意味ではこの舞台、
「良かった」「つまらん」
はハッキリ別れてくるように思う。
それは、良いことだろう、きっと。
「選択をしなければならない」
度合いが強かった『魔法処女☆えるざ(30)』に比べると、
今作『三人魚姉妹』は、ぼんやりとした悩みである。
しかし、
「この選択をしないとこれを失う!」
と迫られる選択よりも、
「選択をしないことも出来るし、その方が幸せかもしれない」
と囁いてくる悩みの方が、何かを蝕んでいく力は強いのかもしれない。
えるざがナイフのようなキレ味だったとすれば
、
『三人魚姉妹』はハンマー、鈍痛であった。
ぼんやりとしたものに、ぼんやりと蝕まれていく。
「たしかな事は、ごはんを食べること」
こんな感じの台詞があった。
例え悩みに答えが出なくとも、
飯がうまいと思えるように生きるって、
大事なことである。
作中に、擬似セックスの場面がある。
人間だった頃にしたセックスという体験を、
その体験をしたもの同士が、
擬似で行う。
非常に切ないシーンだった。
どんなに過去の「体験」を思い出してみても、
擬似、でしかない営み。
あの二人も、その行為を通して、遠くの何かを見ているのかもしれない。
人の気持ちは、心底では分かり合えない。
けれども、分かり合うべく、
分かりたいからこそ、
人は励むのかもしれない。
感想書いてて、
ミスチルの大好きな唄、
「ALIVE」
を思い出した。
久しぶりに聴いてみよう。
夢も救いもないけど、進む。
そんな芝居、私は結構好きなんです。
万人には勧められないけどね。
劇団だるめしあん『三人魚姉妹』は本日初日で、
今週の日曜日まで。
わりと席にゆとりがあるそうなので、
気になった方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
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