引っ越しして2週間が経ちました。
まだまだ部屋は片付かず、稽古に追われる日々。
頂いたメールなどにお返事も出来ておらず、大変申し訳ない限りです。

ブログの更新もかなり空けてしまいましたが、
今日は久々に。


先日、KAAT(神奈川芸術劇場)で行なわれた

『背信』を体感する会

という催しに参加させていただきました。

KAATの大スタジオでは現在、
葛河思潮社が、
ハロルド・ピンターの『背信』を上演する為の稽古の真っ最中。
そう、劇場で稽古してるんです。約1ヶ月間!!
で、稽古が休みの時に、
ゴーチ・ブラザーズの方々が御厚意で、
若手演劇人に向けて、イベントを企画してくださったんです。

それに幸運にも参加させていただいた次第。

説明が長くなりましたが、
参加して改めて思ったのは
「こういう演劇の作り方がある」
という事。

小劇場では、1ヶ月に渡り本番を行なう劇場で稽古をする、なんて事は滅多にありません。
ていうか、ないか。
その辺の公民館などで、セットも仮のもの、ある体で稽古を進めていくことがほとんど。
予算の問題、という部分が大きいのでしょうが。

「葛河思潮社はお金持ってるから」

という思考に流れがちですが、そうではないんですな。
いや、そりゃお金は我々に比べたら断然持ってるでしょうが、
そこではなく、
演劇を作り上げる際の「予算のバランス」の時点で
なによりも
「場所」という面を重要視しているそうで。
実際に本番を迎える場所で、
役者が動き、装置を組み、音を流し、光を入れる。
それを、実際の客席から見つめる。
その時間を長く取れば取るほど、
丹念な作品造りが出来るというのは誠に道理です。

その、丹精込めた作品造りが行なわれている
KAAT大ホールに、立たせていただいたわけです。

15人程が集まり、
ピンターの『背信』をテキストに
実際に一つの場面を作り上げてみる。
4時間ほどの会でしたが、驚くほど多くのものを得られました。

「舞台が広いから広く使おう」

「いやいや、ここはあえて狭く」

一度、とにかく造ってみた後に、
それぞれが感じた事などをフランクに、真剣に話合い、
もう一度造り直し、発表。

椅子の位置に、自分の立ち位置に、
相手役との距離感に、
客席との関係に、
ああでもないこうでもない
を繰り返しながら、
一つの場面を作り上げる。
至福の時でございました。
こんなの毎日出来たら、そりゃもう!!


実際の劇場で、長期間の稽古を行なう。


それは役者の視点で見ると、
「劇場と仲良くなること」
に尽きるように思いました。
板を踏みしめ、空気を吸い、空間を把握し、我が物とする事。
自分の肉体を、声を、ノイズを、居方を、
場所に、そして自らの精神に刻みつける事。
いや、むしろ、自分を劇場の一部にする事、という言い方の方が近いでしょうか。
何人もの人々が立ち、幾人もの観客が何かを目撃した場所。
この場所の力に、背筋が正されるのを感じながら、
『背信』を体感してきました。
これはもう、文字通り、体感。
劇場に、演劇に血を通わせ、
劇場の、演劇の血を己が肉体に組み上げる。

劇場に入ってからの微調整、ではない何かを得る為には、
やはり時間が必要なのではと。

これは、実寸取れる稽古場で稽古するのとは、やはり訳が違いました。
照明も音響も演出も、きっと同じことと思います。

我々があの日、KAAT大ホールに刻んできた何かが、
少しでも、ほんの少しでも、
葛河思潮社の『背信』に良い影響を与えている事を祈るばかり。

葛河思潮社の『背信』は
【横浜公演】2014年9月10日(水)〜15日(月・祝)KAAT神奈川芸術劇場 <大スタジオ>
【東京公演】2014年9月18日(木)〜30日(火)東京芸術劇場 シアターイースト
【豊橋公演】2014年10月4日(土)、5日(日)穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース
【仙台公演】2014年10月7日(火)、8日(水)仙台市宮城野区文化センター パトナシアター
【新潟公演】2014年10月11日(土)りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
というスケジュール。

KAATでの公演が、僕の本番とかなりどんかぶってるんですが、
なんとしてもKAATで、もう一度『背信』を体感したいので、
公演後の15日に行ってみようと目論んでいます。

皆様もご興味ありましたら、是非に!
詳細はこちらのリンクから!!

同じくこの会に参加した、劇団→ヤコウバスの川名幸宏も、
この日の事をブログに書いてますので、ご興味ある方はこちらも読んでみてね。

なんだか川名とは、最近しょっちゅう合ってる気がする。
もう先輩後輩ってよりは、ガチで演劇の話が出来る友人みたいなもんですな。


二点ほど写真。

舞台セットを写さなければ撮影オッケー
とのことで、舞台から見た客席の写真を。

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背中が写ってるのは
写真撮影に熱を上げるMrs.fictionsの今村さん(ガチゲキぶりの再会!)
その奥に立ってるのが、DULL-COLORED POPの中村梨那。
いつかどこかで御一緒したい、素敵な女優でした。

そして、
葛河思潮社『背信』のチラシ。

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製作の過程をそのまま、チラシにしてるそうで。
今、『背信』はこんな感じになってるよ!という。
ここからどうなっていくのかは、是非、劇場で。

今のところ小劇場界には、
1ヶ月劇場で稽古しよう、なんて所はないでしょう。
かといって、
「そこはそこ、うちはうち」
としてしまうにはあまりにもったいない、意義深い時間を体感してきた身。
どうにかこの体験をフィードバックしなければ。
劇場との距離を縮める瞬発力を上げる、ってのは一つの方法でしょうが、
それ以外にもなにか。あるはず。

空間への関わり方。
劇場という場所。

本当に、貴重な体験をさせていただきました、
葛河思潮社・ゴーチブラザーズ・KAAT・関係者の皆様、
本当にありがとうございました。

この恩に!
報いる為に!
がんばる!