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箱庭円舞曲 第十四楽章
『とりあえず寝る女』
脚本・演出・前説 古川貴義
2010年4月2〜6日
@下北沢 駅前劇場

塩野谷幸蔵(和知龍範)が喋り始める辺りから、だんだんと話に集中して観られました。
それまでは丹波秀徳(小林タクシー)の事ばっかり観ちゃったのですが、
中盤から話が動き始めた感があってよかったです。

和知龍範の芸の細かさ
小林タクシーのオーラ
玉置玲央の大胆で心地よい演技

が印象に残りました。

タイトルの『とりあえず寝る女』ってのにつられ、
知らず知らずのうちに登場人物に
「とりあえず寝る」というレッテルを貼っていた自分がいたことに、
終盤の丹波のセリフに気付かされました。

見たわけでもないのにみんなとやかく言う、
噂の真相なんてわからんものなのに、
人間、簡単に人を傷つけるような噂を広めまくる。

そういう感じに、ぐいと胸を抉られた想いでした。

舞台設定の「団地」というのも、
都会の中の閉ざされた、極めて狭いコミュニティーとして
とても魅力的に思えます。

「○号棟の××さん、誰とでも寝るらしいわよ!」
なんて噂、実際にありそうで恐いです。

ただ、その「団地」という設定が、どうも舞台装置に活きていないように思えました。
そもそも、一つの団地の部屋の中に二階って無いような…
庭も立派すぎ、というか団地ってベランダでは…

なんてのはつまんない話ですが、
もっと団地らしく見えたらより面白かったな、と思うのです。

「とりあえず寝る女」というレッテルを周囲に、娘たちにすら貼られ、
それでも何も言わずに奥の部屋にずっと居る(といっても仏壇ですが)母の姿が、
今思うと、舞台全体を暖かく包んでいたように思えます。

発言しない、登場もしない人物がこれだけイメージに残るのは素敵だなと思いました。

娘たちが団地を去る一つのきっかけが母親の四十九日、
というのもラストシーンを引き締めていたように感じます。

それにしても、どう見ても女子高生にしか見えない井上みなみさんがやたらと印象に残りました。
パンフ見たら青年団の役者さん。
おそるべし青年団。

すごいどうでもいい事ですけど、
お金払って観に行って、
「とりあえず」連発の前説から始まると、少しだけ残念な気がしました。
前説で笑いを取りにいくのって大きな賭けだなと思います。