08/09 あうるすぽっとタイアップ公演シリーズ『ちっちゃなエイヨルフ』
作 ヘンリック・イプセン
上演台本 笹部博司
演出 タニノクロウ
2009年2月9〜15日
@あうるすぽっと
イプセン晩年の作品。
アルフレッド(勝村政信)とリタ(とよた真帆)ってダメ夫婦がいて、二人の間にはエイヨルフ(田中冴樹)っていう足の不自由な子供がいる。
エイヨルフはもっぱらアルフレッドの妹・アスタ(馬渕英俚可)になついている。
そのアスタに惚れてるのはボルグハイム(野間口徹)って人。
そして謎の鼠ばあさん(マメ山田)。
この六人の織り成す、ダメな匂いのするへんてこワールド。
一幕が面白かった。戯曲読んだことなかったので、それぞれの人物がひっそりと好き嫌いのエネルギーを飛ばし合ってる姿が新鮮。丁寧に描かれていてよかった。
一幕の幕切れもスリリングで好き。
この幕切れでとある事件が起こり、二幕は主にアルフレッドとリタが腹に持ってたものをぶちまける。
それぞれが持ってる「うしろめたさ」が他人を傷つける。それ以上におそらく、自分を。
さらに三幕ではアルフレッドとリタがダメっぷりを発揮。
事件の「原因」はなんだったのか、という思考から抜け出せない二人だが、その二人のもつれた思考は次第に前向きな方向を向いていく。
二人の、エイヨルフを巡る思考の流れが深く、しかし分かりやすく描かれていて見応えがあった。
英雄的な人物ではなく、人間のダメさ加減が印象的に描かれていてなんだか好感が持てた芝居でした。
鼠ばあさんが存在感ありすぎて怖い。一幕での、それぞれの人物が抱く「黒さ」を抉るような鼠ばあさんの、謎かけみたいな台詞は場を大いにかき回していて、観ていて迫力があった。さすが、ペニノのマメ山田です。
あと、エイヨルフがすげぇピュアでした。やっぱ子役ってすごいや。終演が遅かったのでカーテンコールには登場しなかったけど、いい芝居してたなぁ。
この、エイヨルフと鼠ばあさんの存在が芝居全体を支配する見えない何かのようで非常に印象的でした。
あまりチケットが売れていないのか、イープラスとかでは半額になってました。
正統派でしっかりした芝居なので興味がある方、足を運んでみたらいかがでしょうか。
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