『椅子 -悲劇的笑劇-』
作 ウージューヌ・イヨネスコ
初演 1952年

95歳の老人と94歳の老婆の住む、水に囲まれた住居。
95歳の老人は、全ての人が幸福に生きる方法を掴んだので、講演会を開く事にする。
自分は年寄りで上手く話せないから、弁士を雇って。
講演会に招待された観客が次々とやってくる。しかしその姿は見えず、増えていくのは老婆によって準備される椅子だけ。

やがて弁士が到着し、老人と老婆は幸福の絶頂で死にたいと、窓から水面に身を投げる。

残された弁士。彼はつんぼでおしである。うめき声を上げながら、用意された黒板にほんの短い単語を綴るだけ。
やがて彼は会場を去る。
幕。

って、これヤバいよー!個人的にツボだよー!
95歳と94歳の老人・老婆って時点で既に面白いのに、そこに姿の見えない多数の訪問者。見えない人と会話する老人二人。
その会話を、見えない人物たちを想像する実際の観客。舞台上には無数の椅子。
ヤバいよー。これぞ演劇空間だよー。
しかも終わり方がまた、秀逸。「終わったのか?」みたいな空気を漂わせつつ、お客さん、好きなとこで帰って、みたいな放置感。面白いねー。
芝居の中でもかなり長い間が用意されていたりとか、もうたまらん。上演してみたいなー!

・収録・
『イヨネスコ戯曲全集 1』/安堂信也訳/1969年 白水社