新国立劇場 演劇2007/2008シーズン『屋上庭園/動員挿話』
作 岸田國士
演出 宮田慶子『屋上庭園』
深津篤史『動員挿話』
2008年2月26日〜3月9日
@新国立劇場小劇場 THE PIT
『屋上庭園』『動員挿話』ともに、山路和弘・神野三鈴の演じる夫婦と小林隆・七瀬なつみの演じる夫婦の、二組の夫婦の物語。
『屋上庭園』では山路・神野は貧乏夫婦、小林・七瀬はお金持ち。
対して『動員挿話』は山路・神野は少佐とその夫人、小林・七瀬は馬丁とその妻とパワーバランスが逆転していて、同じ組み合わせで全く違う演技に出会えるのがまず面白い。
立場の違いから来る、微妙な会話の感覚のずれや、男女の感じ方の違いから来る小さなケンカなどが社会の大きな問題を投影している様は、戯曲の核心を表現しているようで良い。
そして特筆すべきは美術。
平たく言うと黒板とチョークなんだが、これがとても味がある。
『屋上庭園』では黒板にビル街が描かれている。『動員挿話』はそれが消され、役者がチョークで日の丸を描く所から始まる。
平和なビル街があっという間に姿を消し、戦意高揚を煽るように描かれる国旗を見ていると、昔も今も争いの絶えない世の中を思い悲しくなる。
デパートの憩いの場、屋上庭園は戦火に呑み込まれ、争い、憎しみが新たな悲劇を動員していくような構図が鮮烈に印象に残る。
どんな状況でも一生懸命生きている岸田戯曲の登場人物を見ていると、がんばらねばと思うのである。
がんばってる人は、かっこよくて、そして、滑稽なんである。
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