『軌道(黙劇)』
作 岸田國士
発表 1925年

軌道と書いてレールと読むみたいです。
素直でない男が、駅のベンチに座っている女性にちょっと憧れてうろたえたりする黙劇。

黙劇なわけで、全部ト書きなわけで。でもこうしてト書きだけの戯曲を読んでると、台詞が無くても表現出来ることが山ほどあることに驚かされます。
一つ一つの動きにどれだけの意味・思惑を込めることが出来るか。その辺りの可能性を、台詞のある戯曲を演じる際にどうも見失ってしまっているのではないだろうか。
台詞にだけ頼りきって身体性を見失ってしまっては、残念な訳で。そんなら戯曲読んでれば、な世界なわけで。
やはり大事なのは
「仕草を言葉に合わせ、言葉を仕草に合わせる」
という、ハムレットが400年前から旅役者に説いてきた基礎なわけで。
すげえわシェイクスピアって感じです。

とにかく、動きに関して、台詞への態度と同じように丁寧に向き合う、それに尽きると思うのです。



『岸田國士全集第一巻』/岸田國士著/1954年/新潮社
に収録。