彩の国シェイクスピア・シリーズ第18弾『オセロー』
作 W・シェイクスピア
演出 蜷川幸雄
2007年10月4〜21日
@彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
だいぶ前の話になりますが、10月19日に観て来ました。
吉田鋼太郎オセロー、蒼井優デズデモーナ、高橋洋イアゴーという豪華キャスト。
幕開きからキプロス島へ着くまでのヴェニスの街でのシーンが、極めて時代背景に沿って描かれていて、最近の和洋折衷的演出の蜷川シェイクスピアを観慣れている身としては少し肩透かしをくらった気分。
キプロス島に着いてからは装置は、「劇場の備品か?」とも思える、鉄製の脚立みたいな梯子と、キャットウォークみたいな橋だけ、というとても簡素な舞台に。
役者が良いから別段文句はないが、ちょっと寂しかった。
イアゴーはウィスパーボイスや小声を巧みに操り、終始狡猾なイメージ。その中で、卒倒したオセローを足蹴にするなど、力強い一面も覗かせる。
対するオセローは吉田鋼太郎独特のセリフ回しで力強く、威厳たっぷりに、どしんと舞台に存在する。その武人としての存在感は嫉妬に取り付かれてもなお消えることはなく、高潔な男の墜落を美しく描き出していた。
序盤はなんとなく物足りない感の強かった蒼井優デズデモーナだが、四幕のエミリアとのシーンが強烈によかった。このシーンの全てが、五幕の破滅へとなだれ込むようなイメージで、この芝居の中では印象に残った。女性の心情を丁寧に描いた『オセロー』だったように感じた。
ぱっと見るとオセローvsイアゴーだけで終わってしまいそうな印象もある戯曲だが、オセローとデスデモーナの愛がとてもよく感じられ、全てを知った後のオセローの嘆きのシーンには鳥肌がたった。
このシーンで微かにマシンガンの様な銃声・爆発音が効果音として流れる。戦場で多くの命を奪ってきたであろうオセローが、一人の女性の死に涙を流しわめきちらす場面でのそれは、何とも皮肉に、果てしない虚無感を帯びて聞こえてくるようであった。
コメント
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後輩が吉田鋼太郎さんの甥だったんです。
『リア王』はチケット取りました!