「恋愛日記」
作 竹内銃一郎


キヌ子とカノ子の二人の姉妹の間を行き来する男・オオスギ。
この微妙なバランスの関係に他者が入り込み、それは音をたてて崩れてゆく。

本人がいない所でその人物について語られるシーンが多く、その描写がおもしろい。
全体的には明るいイメージだが、合間合間に日常に潜む破滅的な悲劇の匂いが散りばめられており、すごく雰囲気がある。
4のオオスギとスズキのシーンが破壊的に面白かった。


〜あらすじ ネタバレ〜
1 暗闇
オルゴールのメロディー。二人のあどけない少女の輪唱。おそらくそれは、キヌ子とカノ子の幼い頃。

2 キヌ子のマンション
女優・キヌ子とそのマネージャー・ミズ枝がドラマのセリフ合わせをしている。キヌ子の夫・オオスギはカノ子という女性と浮気をしているらしい。
その事でオオスギとキヌ子はドラマのセリフを使って喧嘩を始める。

3 公園
カノ子とその恋人イシカワ。カノ子とオオスギの関係をよく思っていないイシカワだが、カノ子はまったく気にしていない。スキヤキにイシカワを誘うカノ子だが、イシカワは断る。

4 カノ子のアパート
晩飯の時間帯。オオスギとハル美がカノ子の帰りを待っているが、帰りが遅いのでハル美は迎えに出る。
カノ子に思いを寄せるスズキがカノ子を訪ねてやってくる。オオスギとスズキは二人でしばらく過ごす。スズキは正体を偽るが、帰ってきたハル美にすべて暴かれる。カノ子、ハル美、スズキは会社の同僚なのだ。
そしてオオスギはカノ子の義理の兄だということがわかる。

5 暗闇
声のみ。カノ子の家に無言電話がかかってくる。

6 公園のベンチ
スキヤキの翌日。スズキは福岡に転勤が決まっていた。カノ子に想いを伝えようとするもうまくいかない。

7 キヌ子のマンション
キヌ子とオオスギ。結婚や離婚の話。密かに流れる離婚と和解のムード。

8 カノ子の部屋
カノ子とハル美。ハル美はオオスギと付き合っているらしい。そこへオオスギ。カノ子は、二人で話したいとハル美を帰すとオオスギを問いつめる。別れを切り出すカノ子、そこへ突然イシカワが入ってきてオオスギに体当たり。その手にはナイフが握られていた。

9 夕暮れ
ママゴトセットの前のカノ子とキヌ子。二人はママゴトを始める。それは回想か現在かはたまた未来かわからないが、言葉は交錯し、オオスギの死あるいは生を連想させる。
幕。