『間違いの喜劇』
著 W.シェイクスピア
訳 松岡和子

この混乱ぶりはすごすぎる。ドタバタ喜劇という言葉がこんなにも似合ってしまう劇だとは思わなかった。
人違いから生じる理不尽なトラブル、どんどん引き込まれます。後半の物語の収束も見事。スピーディーにおもしろく、相当愉快。




・なんとなくプロット・
一幕一場
双子(アンティフォラスE&S)の父・イジーオンの身の上話と死刑宣告。執行猶予中の保釈金集め。

一幕二場
アンティフォラスSとドローミオEの接触。アンティフォラスSはドローミオEをドローミオSと思いこみ、なぐる。

二幕一場
アンティフォラスEの妻エイドリアーナ、夫がごはんの時間に帰ってこないことにへこむ。

二幕二場
エイドリアーナ、アンティフォラスSを自分の夫アンティフォラスEと勘違いし、食事が出来たからと家に連れ帰ろうとする。アンティフォラスSはよくわからないが、おいしい状況と判断しドローミオSと共にエイドリアーナの家に行く。

三幕一場
アンティフォラスEとドローミオEが客人を連れて家に帰ってくる。しかし、その家にはすでにアンティフォラスSとドローミオSがいるので、アンティフォラスEらは正当な主人と認めてもらうことが出来ず、門前払いをくらう。アンティフォラスEらは仕方なく外食に向かう。

三幕二場
アンティフォラスSはエイドリアーナの妹・ルシアーナに求婚。アンティフォラスEだと思っている相手に求婚され、うろたえるルシアーナ。
アンティフォラスSとドローミオSは、自分たちの素性を知っている人間が多すぎることを不審に思い、町を出る決意をする。

四幕一場
アンティフォラスE、受け取った金細工の金を払っていないとの理由で逮捕される。しかしその金細工はアンティフォラスSの手に渡っていた。

四幕二場
ドローミオS、アンティフォラスEの保釈金を取りにアンティフォラスEの家に。

四幕三場
アンティフォラスSをアンティフォラスEと勘違いしてからむ娼婦に対し、アンティフォラスSは冷たくあしらう。娼婦はアンティフォラスEが狂気にあると思い込み、彼の家を訪ねることを決める。

四幕四場
投獄されたアンティフォラスEのもとにドローミオEが戻ってくるが、彼が手にしているのは保釈金ではなく、アンティフォラスSに頼まれた縄。
そこへアンティフォラスEの妻・エイドリアーナらがやってきてアンティフォラスEとドローミオEを連れて帰る。するとその場にアンティフォラスSとドローミオSがやってくる。
アンティフォラスEが気違い扱いされるシーンは『十二夜』におけるマルヴォーリオのそれと非常に似ているように思える。

五幕一場
アンティフォラスSとドローミオSは金細工師な追われ尼僧院に逃げ込む。そこへエイドリアーナやルシアーナ、アンティフォラスEやドローミオE、公爵やイジーオンが現れる。イジーオンはアンティフォラスEを見て息子と呼びかけるも、アンティフォラスEにはイジーオンの記憶がない。
尼僧院からアンティフォラスSとドローミオSが出てくる。イジーオンを一目見た尼僧院長は夫と呼びかける。イジーオンと尼僧院長はアンティフォラスE&Sの両親だったことが判明、様子を見た公爵はイジーオンの処刑を取りやめる。
離ればなれだった家族は再会を果たし、めでたしめでたし。