『回想の文学座』著 北見治一
中公新書849 昭和62年
この本、ヤバイ面白い。久しぶりにガツガツ読んだ。文学座に所属していた著者・北見治一が文学座とどのように歩んできたかが細かに描かれている。
著者は文学座の座史の編集もしていたようで、役者の回想録とはひと味違う視点からも描かれています。
特に興味をそそられるのが、文学座の二度に渡る分裂事件の記述。
福田恆存らが新しく劇団を結成するに至った第一次、そして三島由紀夫や著者が退座するに及んだ第二次。
そのいずれもが、著者の「自分の信じる道を行く」姿勢が強く現れた視線で描かれる。
福田らを批判するだけでなし、文学座を批判するだけでなし、「自分」の視点をはっきり持った人だなと感じました。
特に、著者が文学座を退座する際に交わした、杉村春子との対話が当時の様子をありありと、緊迫した空気の質感まで描き出すようで、ほんとに夢中で読んでしまった。
この本を読んでみて、文学座への興味がかなり深まりました。
文学座のようなビッグなところでもやはり、演劇に関する討論が行われ、対立・分裂が起こり、それでも前に進んでゆき。人が集まって何かを続けて行くことのエネルギーに改めて魅了されると共に、感心してしまうのでした。
安っぽい言葉でまとめてしまうと、「演劇が大好きな人たちの思いが、こぼれるほど詰まった一冊」だなぁと感じました。
芥川比呂志という役者・演出家の項目にとりわけ興味がわいたので、ちょっと調べてみようかな。
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