ふとしたことから

恩師の親父ギャグが鮮明に頭に浮かんできた。

先生はわかっていたんだ
自分のギャグがうけないことを。

それでも毎授業新作を用意してきては

スベる

しかし先生は諦めない。寒い空気の中、苦笑いとも、「今回もダメだったか」的な笑顔ともとれる微笑みを浮かべながら

一瞬フリーズした後

授業を再開する。
暖かいギャグだった。暖かい笑顔だった。

そんな先生のギャグが一度だけツボにはまって、僕は大笑いしたことがある。
先生は、これ以上の幸せはないというような笑顔を浮かべて「そんなに面白いですか?」と
少し照れながら微笑んだ。

その素敵な笑顔を見て思った

幸せは案外小さなところにもあるのだと
そして
人は他人の幸せの宝箱の鍵を
ちゃんと持っているのだと。



翌日からも先生のギャグはスベり続けた。
翌日からも先生は笑い続けた。


僕に笑顔の暖かさを教えてくれたN田先生は、紛れもなく最高の恩師の一人である。
今日も日本のどこかで
寒いギャグと暖かい微笑みを振りまいているだろう。