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「禿の女歌手」
イヨネスコ戯曲全集1 白水社刊より
作 ウージェーヌ・イヨネスコ
訳 諏訪正


「反戯曲」と題名の横に記されたこの戯曲。読んでみて、確かに反戯曲という言葉はしっくりとくる。戯曲という概念がゆらいでくるというか何というか。
ただ、僕はこれだけは感じた。この「禿の女歌手」は、明らかに、本棚に並べられているだけでは本領を発揮しないだろう。戯曲はもちろん、上演を念頭に書かれているだろうが、シェイクスピアの「ハムレット」などは、文学としても最高峰と呼ばれ、上演するとかえって戯曲が壊れるという考え方をする人もいるほどだ。
しかし、この「禿の女歌手」、どう考えても上演命な感じがする。戯曲の内容と人物の行動の不一致、会話の脈絡のなさ、たくみな言葉遊び、どれも上演を通してこそ、存分に魅力を発揮するもののように思える。
作者は、38通りもの幕切れを書いたらしい。しかし、実現可能なものは3通りほどだとか。あとは映画でのみ実現可能なものが多いようだが。とにかく、読むだけのものではない。
上演されるのを観てみたいものだ。
「反戯曲」
この言葉の真意は、頭が悪すぎて僕にはわからない。が、「禿の女歌手」の魅力は、読むだけでは評価しようがない。それだけは実感。勉強しなくちゃ。