『向日葵の咲かない夏』著:道尾秀介平成20年 新潮文庫(み−40−1)なんだか話題の小説ということで手に取ってみた一冊。著者の道尾秀介さんの本はAudibleで『いけない』『いけないⅡ』を聴いて、その不穏な雰囲気にドキドキした記憶が。この『向日葵の咲かない夏』は道尾さ ...
【読書】『十二国記』と私/『風の海 迷宮の岸』あらすじと感想
『風の海 迷宮の岸(十二国記2)』著:小野不由美平成24年 新潮文庫十二国記。この作品との出会いは中学校くらいに遡る。当時NHKでアニメを放送していて、それをなんとなく観ていた。↑音声版感想はこちら古代中国、といった感じの世界観に、女子高生的な主人公が迷い込んで ...
【戯曲】マーロウ『タンバレイン 第一部/第二部』あらすじと感想
『タンバレイン』作:クリストファー・マーロウ(1564〜1593)訳:高田茂樹2012年 水声社「今まで使われたことのない兵器で、お前たちの町や黄金の宮殿を征服し略奪し完全に消滅させてやる」↑動画版感想はこちら↑クリストファー・マーロウの『タンバレイン』一部と二部がま ...
【読書】青崎有吾『地雷グリコ』あらすじと感想
『地雷グリコ』著:青崎有吾2023年/KADOKAWA 謎解きとか推理小説とか、読み合い、知能バトルが好きな人には是非オススメしたい一冊。ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説!射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。平穏を望む彼女が日常の ...
【読書】『実は伝わっていない日本語大図鑑』 監修:山口謠司
『実は伝わっていない日本語大図鑑』監修:山口謠司2023年/東洋経済新報社 ある特定の世代にしか通用しなくなってきている言葉たちに焦点を当てた一冊。色々な現場で起きているであろうジェネレーション・ギャップを取り上げ「この言葉は伝わっていないですよ」をイラストを ...
【映画】『怪獣ヤロウ』監督:八木順一朗
『怪獣ヤロウ』監督:八木順一朗2025年・日本上映時間:80分岐阜県関市のご当地映画。ご当地映画ながら、とても豪華でポップな一本。主演のぐんぴぃさんは、ずっと観てても飽きない、自然にぐんぴぃさんに目が向いてしまう怪演。監督の八木順一朗さんは芸能事務所タイタンの ...
【戯曲集・読みかけ】『イヨネスコ戯曲全集』1〜4巻
『イヨネスコ戯曲全集1』訳:諏訪正/安堂信也/木村光一/塩瀬宏/篠沢秀夫/大久保輝臣/宮原庸太郎/石沢秀二/佐藤信夫1969年 白水社【収録作品】禿の女歌手/諏訪正授業/安堂信也・木村光一ジャック、あるいは降参/塩瀬宏ごあいさつ/篠沢秀夫椅子/安堂信也先生(指 ...
【戯曲】イヨネスコ『先生(指導者)』あらすじと感想
『先生(指導者)』原題:LE MAITRE初演:1953年9月・ユシェット座訳:大久保輝臣頭がなかったわ、先生には!熱烈な崇拝者が多数いるらしい「先生」という人物を待つ人々。やってきそうでなかなか姿を見せない先生と、ドタバタする崇拝者、という構図の短い喜劇。やがて驚愕 ...
【戯曲】シング『谷の影』あらすじと感想
『谷の影』原題:In the Shadow of the Glen作:ジョン・ミリントン・シング1903年訳:松村みね子ある家にやってくる物乞い。その家では夫の死体を前にした妻がいて…と、設定だけ聞くとホラー感がすごいのだけど、やりようによってはコントにもなりそうな不思議な戯曲。作者 ...
【戯曲】イヨネスコ『授業』あらすじと感想
『授業―喜劇的ドラマ―』原題:LA LECON -Drame Comique-作:ウジェーヌ・イヨネスコ初演:1951年2月20日・ポッシュ座訳:安堂信也・木村光一「数学は言語学になり、そして言語学は犯罪の源ですからって…」授業をする教授と、授業を受ける女生徒。算術から比較言語学へと講 ...
【戯曲】ダンセイニ『光の門』あらすじと感想
『光の門』原題:The Glittering Gate作:ロード・ダンセイニ発表:1914年訳:松村みね子「奴等のやりそうなことだ。まったく、やりそうなことだ。ふん、やりそうなことだよ!」閉鎖空間に男二人の、短い芝居。どこも行くあての無さに、ベケットの『ゴドーを待ちながら』の先 ...
【読書】よしもとばなな『まぼろしハワイ』
『まぼろしハワイ』著:よしもとばなな2007年 幻冬舎だれのために泣いているのか私はわからなかった。でも会えなくなってしまった人たちのためになのだ、ということはわかった。会えないことにはふだん気づかないけれど、神様が髪の毛をそっとなでたみたいな、今のようなとき ...
【読書】木下龍也『あなたのための短歌集』
『あなたのための短歌集』著:木下龍也2022年 ナナロク社長い間、片想いしていた相手がいます。もう前に進もうと決めました。背中を押してくれる短歌をください。ふりむけば君しかいない夜のバスだから私はここで降りるね歌人・木下龍也さんの短歌の個人販売で制作された百首 ...
【読書】中山七里『護られなかった者たちへ』あらすじと感想
『護られなかった者たちへ』著:中山七里2021年 宝島社 【公式あらすじ】誰もが口を揃えて「人格者」だと言う、仙台市の福祉保険事務所課長・三雲忠勝が、身体を拘束された餓死死体で発見された。怨恨が理由とは考えにくく、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗 ...
【戯曲】森本薫『みごとな女』あらすじと感想
『みごとな女』作:森本薫初出:1934年12月『女の一生』の森本薫の戯曲。みごとな女、であるあさ子の結婚の話が次第に進行していき、なんだか望まぬ結婚なんじゃないの?という感じの幕切れを迎える。この当時の、個人感の想いとは別の所にある「結婚」という出来事が描かれ ...
【戯曲】リルケ『白衣の夫人』あらすじと感想
『白衣の夫人〜海辺に於ける一場』原題:Die weisse Furstin. Eine Szene am Meer.作:ライネル・マリア・リルケ訳:森鴎外執筆:1909年海を見ながら誰かを待つ白衣の婦人。庭番や妹と会話。使いが不吉そうな知らせを持ってきたりする。話はやがて妹と婦人の間で、やってくる ...
【解説放送ナレーション】夜ドラ『バニラな毎日』
解説放送ナレーションを担当しておりますNHK夜ドラ『バニラな毎日』今週の月曜からのスタートでしたが、毎週金曜の夜からはその週の4話が連続放送されます。お菓子がより愛おしくなる、パティシエ人間ドラマ。ご興味ありましたら是非、解説オンでお楽しみ下さい。解説放送は ...
【映画】『皆殺しに手を貸せ』監督:オースティン・スネル
『皆殺しに手を貸せ』原題:THEY CALL HER DEATH監督:オースティン・スネル製作:2024年 アメリカ上映時間:91分渋谷・ヒューマントラストシネマのイベントで観てきた映画。イタリア産西部劇・マカロニ・ウェスタンの影響を色濃く受けたトンデモ西部劇。風合いを出す為にフ ...
こたけ正義感『弁論』をYou Tubeで観て
『弁論』企画・演出・出演:こたけ正義感日程:2024年12月06日会場:セシオン杉並ホール上記のイベントの映像が今、You Tubeで無料視聴出来る。2025年の1月15日までだから、割とギリギリに観たんだけれど、これは、観て良かった…。弁護士であり芸人であるこたけ正義感さんの ...
【読書】宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく/信じた道をいく』
『成瀬は天下を取りにいく』『成瀬は信じた道をいく』著:宮島未奈2023年・2024年/新潮社2024年の本屋大賞受賞作。私は共にAudibleで聴了。人生の目標は200歳まで生きること、と豪語するちょっと変わった主人公・成瀬とその周辺にスポットライトを当てて描く気持ちの良い青 ...
五所川原市から太宰の酒がやってきた
ふるさと納税で青森県の五所川原市からやってきた、太宰のリンゴ酒『人間失格』と『斜陽』たのしみ。箱についてるシールもかわいい。私の太宰朗読も、五所川原市に、届けっ!(記念館での朗読会に呼ばれたい、というのが密かな野望)太宰のリンゴ酒の各種SNSアカウント ...
【演劇書】ギャスキル『俳優を動かす言葉』
『俳優を動かす言葉 戯曲の読み方がわかる20のレッスン』著:ウィリアム・ギャスキル訳:喜志哲雄2013年/白水社久しぶりにどっぷり読んだ演劇書。やっぱり演劇の話は、たのし〜な〜。 この本は「この本の試論の大部分は、書かれた言葉がどのようにして生命を与えられて舞台 ...
【戯曲】シュニッツラー『耶蘇降誕祭の買入』あらすじと感想
『耶蘇降誕祭の買入』作:アルトゥル・シュニッツラー訳:森鴎外クリスマスプレゼントの購入にまつわる、男女の二人芝居。一緒にプレゼントを選んで欲しい、という所から始まり「ありあら」という展開になる。軽快で愉快な短篇戯曲。【収録】『鷗外選集 第19巻』1980年 岩波 ...
【読書】有川ひろ『アンマーとぼくら』
『アンマーとぼくら』著:有川ひろ2020年 講談社文庫(単行本は2016年)主人公が気がつくと、どうやら母親と三日間を過ごす沖縄の旅らしい。途中途中で差し込まれる回想シーン、人生のあの時に残した後悔。段々と違和感が漂い始め…。あれ、何が起きてるんだろう?ざわざわし ...
【読書】染井為人『芸能界』現代の諸問題に気付かされる
『芸能界』著:染井為人発行:2024年/光文社 『正体』の映画化でも話題の作家・染井為人さんの本。元芸能マネージャーという経歴を活かし、芸能界のアレやコレやを描く。黒い噂、SNS依存、ポリコレ、セクハラパワハラなど、芸能界のみならず現代の人々が抱える諸問題につい ...
【戯曲・シナリオ】イヨネスコ『怒り』あらすじと感想
『怒りー映画のためのシナリオー』原題:LA COLERE -Scenario de film-作:イヨネスコ訳:石沢秀二執筆:1961年12月「みなさま、まもなく、世界の終わりでございます」映画『七つの大罪』監督:シルヴァン・ドムの中の一シーンとして書かれた短篇シナリオ。平和な家庭の風景 ...
【読書】湊かなえ『贖罪』あらすじと感想
『贖罪』著:湊かなえ2012年/双葉社(双葉文庫)Audibleにて。朗読はドラマ版にも出演されていた小池栄子さん。しっとりと、それでいて迫力のある読みがシビレル。 ある殺人事件をきっかけに人生の歯車が狂ってしまった人たちの話。連鎖に連鎖が重なって、とんでもない事態 ...
【戯曲】郡虎彦『鉄輪 丑の時詣りの小戯曲』あらすじと感想
『鉄輪 丑の時詣りの小戯曲』作:郡虎彦執筆:大正2年3月丑の刻詣り(藁人形に釘打つやつ)の戯曲。あらすじとしては、呪われそうな男が助けを求めて安倍晴明を訪ねるが「えーとね、無理」と言われて絶望する、というもの。なのだけれど、そこは郡虎彦の言葉の美しさ。飾ら ...
【映画】『ヴェノム:ザ・ラストダンス』監督:ケリー・マーセル
『ヴェノム:ザ・ラストダンス』原題:Venom:The Last Dance監督:ケリー・マーセル製作:2024年/アメリカ映画『ヴェノム』のシリーズの三作目・完結作。今回も相変わらず、何も考えずに観て楽しめる映画でとても良かった。エディとヴェノムの漫才コンビの仲はますます深ま ...
【読書・未読了】『世界文学全集・第三十巻/ポー、ホフマン集』訳:江戸川乱歩(名義のみ)
『世界文学全集第三十巻ポー、ホフマン集』訳:江戸川乱歩(名義上は乱歩だが、ポーの作品は少なくとも、実際は渡辺温&啓助の訳)改造社おー、江戸川乱歩の訳でエドガー・アラン・ポーが読めるのか!と感激したが、実はポーの作品を訳したのは渡辺温&啓助兄弟だそうだ。昭和 ...
【戯曲】イヨネスコ『ゆで卵ーシナリオー』
『ゆで卵 ーシナリオー』原題:L'ŒUF DUR -Scenario-訳:利光哲夫1966年【この作家の本をAmazonで探す】「気をつけろ。卵が通るから。」映像のシナリオ。ゆで卵を作るために買い物に行く所から丁寧に説明していく。町中では卵の安全が最優先されたり、調理過程で火のアップ ...
【読書】呉勝浩『Q』あらすじと感想
『Q』著:呉勝浩2023年 小学館【この本をAmazonで探す】Audibleで聴了。★Audibleのご加入はこちらから★ロク、ハチ、キュウという、母親の異なる三人の姉弟。困難な家庭環境から脱出する為に知恵を絞った彼らには、ある秘密がある。キュウは並々ならぬカリスマ性を発揮し、 ...
【戯曲・ラジオドラマ】イヨネスコ『モーター・ショー』あらすじと感想
『モーター・ショー ーラジオのためのスケッチー』原題:LE SALON DE L'AUTOMOBILE作:ウジェーヌ・イヨネスコ訳:加藤新吉初演:1953年9月(ラジオ放送は前年)【この作家の本をAmazonで探す】「では、あなた、あなたの車になろうかしら?うれしいわ。わたしのヘッド・ライ ...
【読書】下村敦史『逆転正義』あらすじと感想
『逆転正義』著:下村敦史2023年 幻冬舎★Amazonでこの本を探す★ 下村敦史さんの作品はデビュー作『闇に香る嘘』『絶声』以来三冊目の読書。Audibleにて。★Audibleへのご加入はこちら★『逆転正義』というタイトル通り、巧みなどんでん返しが沢山仕組まれている。「どんで ...
【戯曲】イヨネスコ『欠陥』あらすじと感想
『欠陥』原題:LA LACUNE作:ウジェーヌ・イヨネスコ訳:加藤新吉初演:1965年3月【この作家の本をAmazonで探す】アカデミー会員の妻が友人と悲嘆に暮れている。アカデミー会員の男が、大学入学試験に落ちたのだ。男は有能な学者だが、学歴に不備があり試験を受け直し見事落 ...
【解説放送ナレーション】『藤子・F・不二雄SF短編ドラマ シーズン2』
解説放送ナレーションを担当しております夜ドラ今日からは『藤子・F・不二雄SF短編ドラマ シーズン2』がスタートです。愉快でかつ考えさせられる短篇ばかり。【公式サイト・放送予定はこちら】 ...
【読書】降田天『少女マクベス』【演劇学校ミステリー!】
『少女マクベス』著:降田天2024年8月31日/双葉社【Amazonでこの本を探す】【Audible版も間もなく登場】演劇専門の女子高を舞台にして描かれるミステリー。マクベスの上演中に事故死した天才演出家の死の謎を探る、というストーリーで、三人の魔女とかマクダフとか、巧みに ...
【読書】『太宰治全集10』太宰治がぎっちり詰まった一冊
『太宰治全集10』著:太宰治1989年 ちくま文庫【この本をAmazonで探す】ちくま文庫版の太宰治全集最終巻。この巻では太宰治の芸術論や人となりがたっぷり味わえるエッセイたちが読める。新潮社の『もの思う葦』の収録作と被る所も多いが、この本でないと読めない作品もある。 ...
【読書】『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』
『アンドロギュノスの裔 渡辺温全集』 著:渡辺温 2011年 東京創元社/創元推理文庫【この作家の本をAmazonで探す】早逝した作家・渡辺温の文庫全集。 文庫ではあるけれど、これは全ての作品が入ってる雰囲気がある。 江戸川乱歩名義で発表したというポーの翻訳は収録され ...
【読書】『石垣りん詩集』岩波文庫
『石垣りん詩集』 編:伊藤比呂美 2015年 岩波文庫200-1 岩波文庫から出ている、詩人・石垣りんさんの詩集。 詩って本当に、詩人の「人」が見えてくるんだなと実感する。 全体的に静かで、それでいて激しく、何か鋭利な刃物のような感触が漂っている。 厳しい?物悲しい ...